一日目はココ
女性陣を引き連れてのミュンスター観光が終わってからの、夕方から夜のスケジュールにかけては、迎えのバスを待ち、研修でお疲れの男性陣を迎えに行き、ホテルへ戻り、もう一度ウエルカムパーティーのために、ミュンスターへ戻るというもの。
ちょうど男性陣が研修をする会社がミュンスターから、ホテルへ戻る時の帰り道にあるので、男性陣を拾ってからホテル到着。
夕食の8時までにはまだまだ時間があるはずなのに、30分後にはもうロビーへ集まらなければいけません。
勿論、日本人の皆さんもこんな疑問があったんでしょうが、ここはドイツ。渋滞でもあるのかしら、と疑問までは口に出さず、皆さん、キッチリ30分後に集まってくれました。
「あら、これって、今朝の道じゃない?!」
バスに乗るとしばらくして、小Nさんが聞いてきました。
流石ですね。車やバスの中では暗示がかかったように眠ってしまう私とは違い、起きている人は、自分が通った道をちゃんと記憶しているのです。
「ミュンスターは少し北の方なので、会社が位置している場所を通っていくのだと思います」
そうこうするうちに、なぜか、朝着いた会社へ到着。
会社の前には、二人のドイツ人男性が立っています。
女性陣には知らされていなかったのですが、このお二人は研修に付き合った方達だそうで、今日のウエルカムパーティに一緒に来るそうです。
おしゃべりで気さくな方がミスターA。
そして、無口でクマさんのような方がミスターD。
お二人ともきちんとした名前があるそうなんですが、日本人には発音が難しかったらしく、名前の頭文字をとって、ミスターA、ミスターDとなったそうです。
さて、これで出発!
と思っていたら、バスはなかなか国道に出ません。
小さな道をクネクネ走っています。
なんかおかしい・・・
「まさか、クリスさんを迎えに行くのかしらね?」
とまたまた小Nさん。
ドイツ側の責任者である彼は、会社では乗り込んできませんでした。
それまで、私はてっきり、ミュンスターで落ち合うのだと思っていましたが、バスがなかなか国道に出ない辺りを見ると、もしや…と思っていたのがムクムクと頭をもたげてきたのです。
「あ、見てみて。クリスさんの家よ。」
今朝方、危うかったK本さん前方を指差しています。
そして、その家の前にはニコヤカにクリスさんが手を振っています。
やっぱり!迎えに行くから、不必要に早く出なくてはいけなかったんです。
お客さんなのはどっちなの!と呆れてしまいました。
日本人のお客さんたちが怒っていないかどうか心配でしたが、そんなことはないようです。
怒っていても、きっとその場では言わなかったでしょう。
さて、ウエルカムパーティーが行われる場所は日本人が経営しているレストラン。
ドイツ側が気を利かせて、日本食にしてくれたのでしょうが、女性陣がらは、せっかくドイツに来たのに日本食…とガッカリ。
私は、通訳として同行している立場なので、理事や会長が座るテーブルに同席させていただきました。
その席には勿論、ミスターA、ミスターDも一緒です。
レストランなのでお寿司や刺身、海草サラダなどでます。
ミスターDは不思議そうな顔をしているので、日本料理は大丈夫ですか、と尋ねると
「もう、洗礼は受けてきたんだ」
とのこと。どうやら、もう日本へ行ったことがあるようです。
ムシャムシャと海草サラダをお食べになっていました。
最初は頑張って、通訳を通して会話していた皆さんも、最後には話題が尽きてきます。
そうなると、もう飲み比べまっしぐら。
すると、ミスターAが私に話しかけてきました。
どこでドイツ語を習ったのかということから、会社のポジションまで色々です。
彼は日本以外にもよく出張に出るらしく、各国の話に花が咲きました。
話題は次第に食べ物の話になりました。
どこの国だったかは覚えていないんですが、東南アジアだったと思います。
彼は接待でレストランへ行ったのですが、彼の席からはどのように調理されているか、見ることができ、食べるのが怖くなったそうです。接待なので食べないわけには行きません。
意を決して食べた結果、お腹がひどく痛くなり、トイレへ駆け込んだところ、あまりにトイレが汚すぎて吐きそうになったとのこと。
そこから話題が発展し、世界のゲテモノフードに飛び、話がエジプトになりました。
すると、ミスターAはまじめな顔で私に尋ねるのです。
「君はファラオの復讐というものを知っているか?」
まあ!なんてミステリアスな響きなの!とばかりに私も話題に飛びつきました。
実は私、エジプトにどうしても行きたくて、一人でフラ~と行ってしまうくらいエジプトが好きです。
隣では、私達の話題を聞きつけたミスターDが一生懸命笑いを堪えています。
「エジプトに行ったものは必ず、ファラオの復讐にあうんだよ。ファラオの復讐は、表立って知られていないんだけど、彼のささやかな復讐まだ存在する!」
というのが彼の仮定です。
さて、それではどんな復讐が待っているのか、何をしたらそんな目にあってしまうのか、私はもうワクワクして待ち切れません。
「まずは地元の人と仲良くなるんだ。そうして一緒にご飯を食べに行く仲になる。食べに行かなくても、水を飲んだりしてもいいんだ」
この「水を飲む」と言った時点で少しだけ、??となった私ですが、それを無視しました。
「で、その後、何が起こると思う?」
……と言われても、エジプトに行った時、何も起こりませんでした。
二人とも、笑いを抑えきれません。
この時点でミステリアスなことではないのもわかりますね。
さて、エジプトで飲み食いした時に伴うものはなんでしょうか?
下痢です。
………
「下痢をして、旅行中の2日か3日はエジプト滞在が台無しになる。
それが現代人に対してのファラオからのささやかな復讐なんだ!」
二人は大爆笑して大喜び。
止められません。
二人とも30代後半、40歳になったかどうかの紳士です。
子供のようにおおはしゃぎ。
毎回、言葉の通じている人を捕まえてはこうやってはしゃいでいるのでしょう…
大爆笑をして、他のお客さんが尋ねて来ました。
ミスターAもDも、「面白いから是非話してあげて!」とのことです。
それを聞いた日本人の方も笑ってくれましたが、半分引き気味だったのを私は見逃しませんでした。
後に
「ミスターAもDも、あんなにステキなのに、中身は下品ねーっ!」
との女性陣からのお言葉も…
そういった話題で盛り上がるのは本当に世界共通ですね