徒然日記 ~2024/08/12~ | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

 

 

 

プロ野球とJリーグのように『双方楽しむ派』と『相容れない派』の温度差が激しい(個人の感想です)大河ドラマと朝ドラ。私は後者&やきう派&大河ドラマ派なので、朝ドラは殆ど見たことがなく、ドラマの内容の是非を論ずる術も資格も持ちませんが、当該記事自体は自ら『ホメゴロシ』と題するだけあって、未視聴の私でも楽しめる皮肉に溢れた筆調でした。パロディにせよ、オマージュにせよ、評論にせよ、面白いものは元ネタを知らなくても楽しめるというマンガ夜話&いしかわじゅん理論、好き。尤も『ロジカルな作劇で社会問題に鋭く斬り込む野木亜紀子』というのは、グロい真実をビターエンドで包むストーリー展開はズバ抜けている分、社会問題の描写は『アンナチュラル』の忖度ネタとか『MIU404』の桔梗と我孫子のやり取りとかのように極上のカレールーに火の通っていないジャガイモがゴロっと入っているような取ってつけた生々しさが鼻につく野木作品の評価としては意見が分かれるところ(個人の感想です)。この辺が野木作品は『面白いけど好きじゃない』理由の一つかな。題材の生々しさ=社会派ドラマのクオリティの高さではありません。単に旬の話題を取り上げるだけだったらドラマよりもドキュメンタリーのほうが適しています。これは冒頭で触れた朝ドラにも通じるものがあるように思いますが、本編未視聴なので深入りはやめておきましょう。今回の更新は諸事情で少な目&短め。まずはこれ。

 

 

 

 

本日、閉会式を迎えたパリ五輪。ライダー最終フォーム感溢れるゴールデンボイジャーと無数の色丞狂介は要らなかったな。個人的には露悪趣味と紙一重の政治・芸術意識高い系セレモニーでブツギを醸した開会式のほうがフランスらしさに溢れていたように思います。閉会式はトム・クルーズの登場まで、どの国からどの国に引き継がれるのかサッパリ伝わらない内容でしたので。

さて、その開会式に関しては、

 

「フランス革命の光か影か、どちらかしか見ない議論よりも『長谷川版ナポレオン』と『フランス革命の志士たち』を読もうぜ! 面白いから!(要約)

 

という装鉄城さんのオススメに従い、後者を密林でポチッとな。パリ五輪の開催期間中、ずっと読み続けていました。実に面白かった。数万もの犠牲者を出した恐怖政治は誤りであったという大前提を踏まえたうえで、革命とは往々にしてそうした側面を持つことを日本の明治維新との比較で論ずるところは幕末好きにはクリティカルヒット。実際、理性的な穏健派が排除されて、集団が過激思想で先鋭化して、悲惨な内ゲバと無謀な対外戦争の挙句、四方と国内に敵に抱えて、滅亡寸前の状態から突如現れた天才に救われて、その思想が軍事的成功と共に各地に広まり、新時代のテーゼになるという流れは幕末の長州を彷彿とさせます。長州とフランスの大きな違いは殿様の首級を刎ねなかったことくらいかしら。やはり、そうせい……そうせいは全ての保身に勝る……!

著者が最も推していたのはダントンとロベスピエール(推しを描く際の筆調が塩野七生ちゃんぽい)ですが、私の推しはラ・ファイエットとジョセフ・フーシェ。以前から装鉄城さんの記事を読んで、苦境にあっても絶望を知らない超絶ポジティブシンキングと裏返しの現実把握能力と実務処理能力の欠落っぷりが『ダメ人間大好き』な私のツボにハマり、好きな歴史上の人物ベスト10入りしていたラ・ファイエットですが、本著を読んで益々推しになりました。独立戦争に貢献した恩義に報いて、今でもラ・ファイエットの墓には7月4日にアメリカから新しい星条旗が手向けられているというエピソード、狂おしく好き……というか、パリ~ロスというフランスからアメリカへの架け橋を担うオリンピックの引き継ぎ役はトム・クルーズよりもラ・ファイエットのほうが適任だったんじゃあないのか。ちなみにベスト10の他のメンツは足利尊氏、毛利輝元、山川浩、郭再祐、曹丕、侯景、朱祁鎮、キケロ、カミーユ・クローデル。才能や功績はさて置き、人間性がマトモな順番に並べるとキケロがベスト3(ラ・ファイエットと同着)に入るの、何気に凄いな。

また、開会式でのマリーさんの首チョンパに対する『フランスは現代のリベラル・ポリコレ思想に毒されている』との意見、私は『フランスって昔からこーゆー露悪趣味が好きだろ』と思っていましたが、本著に掲載されている、

 

「いかなる幻想、いかなる慣習を身にまとっていようとも、王政はそれ自体が永遠の犯罪であり、この犯罪に対しては、人間は立ち上がって武装する権利を持っている。人は罪なくして国王たり得ない。国王というものは、すべて反逆者であり、簒奪者である」

 

というサン・ジュストの処女演説を読むと『あれは現代思想の影響ではなく、フランスという国に根差した復古的な価値観だよな』と改めて確信した次第。他国の歴史をイジるイジられる際には『やーい九月事件』『うるせー鰊蔵』『ぐぬぬ』くらいのユルくてファジーな距離感を保つのが丁度いいんじゃないかと思います。

 

次はこれ。

 

 

佐々木「実はね、このお店ね、僕が出資して買い取ったの。僕の元の飼い主から遺産相続したお金でね。あんまり帰ってないけど持ち家もあってね」

 

『SHY2期』『推しの子2期』『ニーアオートマタ2期』『逃げ若』『キン肉マン』『汚いヨルクラ真夜中パンチ』と激戦揃いの今季夏アニメで、一際異彩を放つ『ラーメン赤猫』。本当にねー、本作ってねー、

 

面白いと思って見ている私にも『何が面白いのか』を具体的に説明出来ない作品

 

なのよ。ネコあるあるネタやラーメン屋あるあるネタを掘り下げる訳でもなく、ストーリー自体はベッタベタな飲食店人情ドラマの域を出ないのに、登場人物……じゃない、キャラクターがネコというだけでメチャクチャジワジワ来る作品なのよ。ネコらしい話はブラッシングの重要性くらいで、ラーメン屋らしい話はクリシュナ(トラ・CV早見沙織)虎打ち麺がなかなか出ない~ポスターを出してアピールしよう~ヴィジュアルじゃなくて味で売れたい~いいものなら売れるというナイーブな考え方は捨てろというラーメンハゲネタのやり取りくらいだからなぁ。冒頭の佐々木さんの台詞も名前が人間っぽいから『飼い主』ってとこしか違和感ないけど、実はコイツもネコだから逆に『飼い主』ってとこしかフツーのことを言っていないんですよ。ネコが『出資』『買収』『遺産相続』『持ち家』とかホンマジワる。クリシュナさんもネコの店にトラが居る時点で半分反則臭いのに、

 

クリシュナ「私、日本の動物園生まれなんですよ。パパはアムールトラで、ママはベンガルトラなんです。私はパパに似て体が大きくて、小さい頃は一緒に暮らしていたんですけど、でも、パパとママの動物園の契約が終わって、それぞれ元の国に帰ることになったんです。パパかママについていくしかなかったけど、私、他の国に行って全く違う暮らしをするなんて怖くて……日本に残りたいって希望したんですけど、パフォーマンスの出来ないトラと契約してくれる動物園なんてどこにもないんですよね」

 

とか『外国虎同士のハーフ』『親の帰国』『パフォーマンスの出来ないトラと契約する動物園なんてない』と言葉の洪水をワッと一気に浴びせかけるのは待ってくれたまえと言いたくなるレベルの情報量をサラッと垂れ流して、しかも、唯一のニンゲン従業員の社さんが一切ツッコまないのが面白いのかも知れません。時折、彼らの仕事を理解せずに冷やかしに来る一部のココロないニンゲンに弄られる苦労が描かれている構図はダイバーシティビジネスのメタファーと思えなくもありませんが、それは『翔んで埼玉』が反差別をテーマにしたルサンチマン映画と捉えるレベルの深読みのし過ぎというものでしょう。シンプルに夜中にネコの姿を愛でて、ラーメンの画で飯テロを食らうアニメとして楽しんでおります。