『鎌倉殿の13人』第47回『ある朝敵、ある演説』超簡易感想(ネタバレ有) | ~ Literacy Bar ~

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与力「ソウ……ヒョウ……?」

 

と何もかもスッとぼけてシレッと越年しようとかケシカランことを考え始めている今日この頃。いや、大丈夫。山場は越えました。最終回で三浦義村が小四郎に実は私は外星人第0号ですと視聴者衆知の衝撃の事実を明かすような展開にならないかぎり、放送の翌日~翌々日にはUP出来ると思います、多分、恐らく。

兎も角、総評に時間をかけたいので、今回は超簡易感想。ポイントはMVPの二人。

 

 

 

1.男は愛嬌

 

トキューサ「兄上には頼朝様と違って愛嬌がない。だから、厳しさが余計に目立つ。愛嬌は大事だぞ太郎、愛嬌は」

北条泰時「叔父上にはありますよね」

トキューサ「あるんだよ、それが(ニィ)

「見習いなさい」

 

愛嬌の塊トキューサ。自分の見栄えのよさを自覚していた畠山重忠に通じるものがありますが、それを口にしても相手に『あざとい』と思わせないところが、まさに愛嬌の賜物でしょう。ただ、愛嬌って奴は天性のセンス由来の才能なので、磨くことは出来ても元々ない者にはどうしようもないのも事実です。史実ではとっくに離縁している筈の初ちゃんは夫に『トキューサを見習え』と御高説を垂れますが、愛嬌は学べません、残念。愛嬌がない者はそれを自覚したうえで、他の才能や努力で総合的なポイントを稼いでカバーするしかないのです。悲しいね。私も愛嬌のない人間だからなぁ。

実際、自分宛にも後トヴァインの義時追討の院宣が届く予定であったと聞かされて、

 

トキューサ「……これは貰ってもいいですか? 記念に?」

 

とナチュラルに返答出来てしまうセンスは努力や鍛錬で培われるものではありません。院宣を有名人のサインみたいに考えているトキューサの発言には今年一番笑いましたが、このうえなく小四郎の猜疑心を掻き立てるシチュエーションから言い逃れるには、これ以上ない返事であったのも確かでしょう。やはり愛嬌……愛嬌は全てを解決する……! ちなみにトキューサが義時追討の院宣を『貰ってもいいですか?』と尋ねるのは最高のギャグシーンですが、自身に追討令が出されたことを『伊豆の土豪の次男坊が上皇から追討される側になった&清盛や頼朝や九郎と並んだ(あれ、義仲は?)』と喜ぶ小四郎も似たような受け取り方をしているのよね。それを片方はギャグに、片方はシリアスに持っていく三谷さんスゲー。

そして、既に鎌倉には寝返る相手がいなくなった(鎌倉内部では誰にも信用して貰えない)から、ついに上皇へ寝返る or 上皇から寝返るしかなくなったメフィラス義村。どういう経緯で上皇を見放すのか気になっていましたが、まさかのコピペ院宣に気分を害したからという展開。皆も大事な論文や文章はコピペじゃなく、自分で考えようね!

 

 

2.女は度胸

 

政子「向こうは貴方たちが戦を避けるために執権の首級を差し出すと思っている……バカにするな! そんな卑怯者はこの坂東には一人もいない!」

 

このバカにするなの台詞でゾクッとなりました。小池栄子の凄み。本作の政子って、何時まで経っても組織の上に立つ人間の自覚がないままで終盤まで感情移入出来ずにいたのですが、今回で大幅に評価を修正(といっても総合的にはまだ低いですけど)。彼女は政治家でなく、最後まで北条家という家族を守る女性の立場であったのですな。どんなに闇落ちした弟であろうと、どんなに権勢欲に囚われた妹であろうと最後は家族を守ろうとする。それが明確に打ち出されたのが前回と今回でした。放送前の番宣とかで『本作は家族の物語』というフレーズが出ていて、本編を見ている視聴者から『どこがやねん!』と突っ込むのがお約束となっていましたが、ここに来てキチンと有言実行。

今回……というか、今年の大河ドラマは『史実とされる政子の演説』にどう持っていくかが最重要事項の一つと考えたので、途中で原稿を捨ててオリジナルの演説を始めた政子を見て、少し嫌な予感を覚えたのですが、史実とは異なる、しかし、本作ならではの魅力ある虚構の名演説を示してくれたと思います。御家人への説得も政治家としての損得や頼朝の恩義よりもお前ら舐められっぱなしでいいのかと坂東武者のプライドをくすぐる、ある意味でより極妻的な趣旨の演説。大江広元Pも推しが自分の書いた歌詞……じゃない、草稿を捨てて自立したことに目を見開いて喜んでいた模様。大江Pって『公のためには身内をも残忍に処断する相手でないと萌えない』という『お清めエッチが好き過ぎて一度推しをひどい目に遭わせないと萌えない』俺レベルの性癖拗らせたド変態で、自身の理想を推しに強要しようとしていたフシがありましたが、今回は大人の階段登るシンデレラを見るような思いであったでしょう。

ただ、如何せん朝廷パートの描写が弱過ぎるせいで『俺の首級一つで手打ちにしろ』という小四郎の覚悟がイマイチ伝わりにくかったのも事実。ひょっとしたら『執権の支持率が落ちているな……一つ大芝居でも打って御家人共の忠誠心を引き締めるか』という小四郎の計画で、最終回は自分たちがまんまと小四郎に乗せられたと気づいた政子や御家人たちによる意趣返しで主人公が消されるという展開かも知れません。実際、

 

政子「大丈夫、カッコいいままでは終わらせません」

 

という脚本家の心の声がダダ漏れの台詞不吉過ぎる最終回のサブタイが提示されましたからねぇ。どうなる最終回? どうする総評?