徒然日記 ~2022/03/21~ | ~ Literacy Bar ~

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ここはイマイチ社会性のない自称・のんぽりマスターの管理人が、
時事、徒然、歴史、ドラマ、アニメ、映画、小説、漫画の感想などをスナック感覚の気軽さで書き綴るブログです。
※基本、ネタバレ有となっていますので、ご注意下さい。

 

 

流石に一瞬のことで視聴時には気づきませんでしたが、報道を見ると思っていたよりもガッツリと映り込んでいました。寧ろ、何故、そのポジションで映らないと思ったのか気になります。まぁ、不祥事には違いないので、主に撮影と編集スタッフには猛省を求めたいところですが、再放送や円盤化に際しては確実に修正バージョンが用いられると思うと、カメラマンが映り込んだ無修正映像が稀少価値を生みそうなのも確かですね。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』無修正バージョン。意味深な響きやね。

今週も非常に面白く、そもそも、放送話数が二ケタ台に突入して一度も捨て回がない時点で凄いと思いますが、今回は他にも触れたい作品があるので、簡易感想バージョン。まずは大河ドラマの感想から。

 

 

1.『鎌倉殿の13人』第11回『許されざる嘘』感想(ネタバレ有)

 

北条義時「あの人は私のことをとても頼りにしている」

八重「お断りします」

 

正式にフラれたショックでエシディシを彷彿とさせる号泣を見せる小四郎君。小四郎君の『自分は八重に頼られている筈だ』という根拠なき自信は何処から来たのかサッパリ判りませんが、それこそ、先週の九郎が述べたように『経験もないのに自信もなかったら何にも出来ない』のも確かなので、当たって砕けるのも若者の特権なのでしょう。そういや、先週、八重ちゃんにカッチカチの草餅と共に結構な肘鉄を食らいながら、

 

三浦義村「男女の仲なんてモノはな、振られてからが勝負だ」

 

と、小四郎を煽る義村君(13~14)も八重ちゃんを諦めていない模様。中の人がリアルで嫁さんを落とした方法を知っていると説得力を通り越して、慄然としなくもありません。局長の電話番号を手に入れた方法は一歩間違えたら訴訟不回避案件でしたからね。煽られた小四郎君が絶望と憤怒に満ちた表情を見せていたのもコイツはやるといったらマジでやるという義村のスゴみを本能で察知しているからでしょう。八重ちゃんの周りにはロクな男がいないのが可哀想ですが、基本的に八重ちゃん本人も残念なタイプの美人ですからね、仕方ないね。江間次郎さんが一番マトモでしたね。

尤も、失恋のダメージを引き摺らないのが小四郎君の美点の一つ。頼朝の秘書官のようなポジションで人材登用や恩賞分配のノウハウを吸収していきます。小四郎君はフラれると仕事に逃げるタイプ。はっきりわかんだね。この辺の切り替えの巧さもエシディシに似ています。似てない?

 

 

 

ナレーション(きりちゃん)「清盛の死を受け、宗盛は後白河法皇に政権を返上する」

 

大河ドラマで政権を返上することに定評がある小泉孝太郎。流石は『政権与党をブッ潰せ』と公言した宰相閣下の御子息。ハマリ具合が半端ありません。ブッ潰された政権与党は未だに当時のダメージが抜けきっていない様子ですが、そこはドラマの本筋とは無関係なので深入りは避けましょう。

さて、今回で退場となったサンバのほうの松ケン清盛ですが、ここは本作では珍しい明確な減点対象。サンバのほうの松ケンの演技に問題があった訳ではなく、シンプルに彼をキャスティングした必然性が見えないままで終わったのが痛い。『草燃える』で北条義時を演じた繋がり&『平清盛』で主人公を演じたのがサンバじゃないほうの松ケン繋がりという以上の意味があったとは思えませんでした。今のところ、京都方面の登場人物は大きな見せ場がないのも確かですが、アホボン宗盛・生霊ゴッシー・早とちり康信といった具合に他はそれなりにキャラが立っているからなぁ。清盛はキャラが立つ前に退場になってしまった感がありました。残念。まぁ、ゴッシーが生霊として登場する作品ですから、清盛も死後に幽霊として出番で増えて、そこでキャラクターを確立する可能性も微レ存。

 

 

 

義円「文を書く」

源義経「それはいいと思います。私が渡して差し上げます」

義円「思いをしたためた」

源義経「必ずお渡しします」ビリビリ

 

『兄弟だから当たり前』とアルシンドリスペクトなフレンドリーな対応をしつつ、裏では頼朝宛ての義円の手紙を破り捨てる九郎さん。話を聞くとはいったが、頼朝に伝えるとは言っていないのでセーフです。セーフじゃない? 従来型の源平ものでは兄弟を冷遇する頼朝に対して、肉親の情愛を求める義経という対比がスタンダードでしたが、本作では真逆に描かれているのが面白い。しかも、九郎の義円に対する鬱屈の一因は甘え相手の政子を奪われた(主観)逆怨みというのが怖い。『お前フケたな』でキレた広常と同じく、怒りスイッチの在り処が判りにくいのが当時の武家の特徴ですね。九郎さんが義円の手紙を破り捨てたのは腰越状の伏線になると予想してみます。実際、九郎さんがセルフシュレッダーにかけた書類を復元したのは誰あろう梶原景時さんでした。ここで既に後年の因縁が発生していようとは。しかも100%九郎さんが悪いというのが斬新。ここは梶原さんが正しかった。綺麗なオーベルシュタイン感ありましたわ……この時は。

 

 

 

畠山重忠「主人が恩赦なら下人も許すように、との御指図があったのですが、果たして逃がしてよいものかどうか……このようなものを身につけておりました。北条の三郎殿が持っていたものです。ひょっとして、三郎殿を討ったのはこの男では」

梶原景時「……鎌倉殿に御伝えする」

 

芹沢といい、伊東の爺様といい、財布で足がつくことに定評がある三谷大河。もしも、広常が密謀に同席していたら来世の予感に首筋が寒くなったかも知れません。この三郎の財布は序盤の狩りの報酬で畠山重忠と遣り取りするシーンがあったので、それを思い出した時は鳥肌が立ちましたよ。特に意味ありげに描かれた訳でもなく、大して印象に残らない流れの中のワンシーンでしたので、今後は全く余所見出来ないと思うと怖いです。スマホ片手に実況している場合じゃねぇ! いや、実況は楽しいからやるけど&内容の見落としがないように二度見三度見するけど。

前回の感想で『近年の大河ドラマにはキチンと御説教の出来るキャラが少ない』と書きましたが、本作はキャラではなく、ストーリーで言外に御説教をしてくるタイプと思いました。伊東の爺様の最期も元を糺すと無辜の孫を手にかけたことが全ての発端であり、自分一人が穏やかな余生を過ごすことは許されない。頼朝も一度は佑親を『許す』と約束しておきながら、三郎の仇という小四郎を黙らせるに足る物証と千鶴の鎮魂が世継ぎ誕生の必須条件という理屈が揃うや、徳の高い行いよりも己の復讐心を優先させてしまう。その結果が二代目三代目のアレに繋がる訳で、コメディタッチの作劇の陰に、

 

仏法的因果応報思想

 

がキッチリと盛り込まれているのよ。キャラクターの退場に善児を酷使し過ぎる(恐らくは今後も彼の手で幾人かが退場するかも)という見方もあるでしょうけれども、彼は権力の毒の象徴ではないかと。善児本人には善も悪もない。与えられた命令をこなすだけ。彼を用いるか用いないか、それは権力者の心得一つに掛かっている&用いた因果は必ず巡る。それを表現するために善児がいるんじゃあないかと思います。実際、今回の件で新たに善児を囲い込んだ梶原景時も、その最期はアレな訳ですからね。義経の件では綺麗なオーベルシュタイン感があった梶原さんも、伊東の爺様の件ではダークな軍務尚書の雰囲気がありました。ダークなオーベルシュタインって『頭痛が痛い』レベルの言葉の重複かも知れませんが、何れにせよ、将来的に主人公が善児を用いるか用いないかは作品の重要な要素になると予想してみます。まぁ、あまり変な予想をしていると来週辺りに政子と亀ノ前の後妻打ちに巻き込まれてアッサリと善児が退場して、赤っ恥を晒す可能性もあるので、深入りは避けることにします。ホンマ、次回予告の下手な合戦回よりも不穏な雰囲気好き。

 

 

 

2. 『岸辺露伴は動かない』#10『ホットサマー・マーサ』感想(ネタバレ有)

 

 

 

岸辺露伴「ああぁッ! クソッ! 原稿が……! マスクのせいだッ……! こんなのいつまでするんだよ! 酸素が脳に行かずにバカになるぞ!」

泉京香「先生、大丈夫ですか?」

岸辺露伴「……イライラしているだけだよ……失言しそうだ……原稿が進まないってのもあるが、全て何もかもの原因の根本は、ずっとコロナ禍でどこへも出掛けてないからだ」

 

思っていたよりもガッツリとコロナでメンタルを削られていた露伴センセ。第6部の加速した世界でも原稿を落とさなかった露伴センセですが、流石にコロナのダメージはスタンド攻撃よりも深刻でした……というか、基本的にソロ作業で取材もヘブンズドアーで他人との会話の必要がない自分と、マスクをつけて大騒ぎする女子学生やマラソンランナーや咳き込むオッサンを見て、どちらがズレているのかという根源的な疑問に苛まれている模様です。露伴センセは『マスクはしない』と腹を括ったら衆目を気にせずに自由にやるタイプかと思っていましたが、表面上は意外と空気を読むタイプでした。その気配りを1/10でいいから康一君に向けて欲しいものです。

さて、連載35周年記念刊行の『ジョジョマガジン』に掲載された『動かない』シリーズ最新作。タイミングといい、題材といい、年末の実写ドラマに好適の内容でした。今年の三作品は『ジャンケン小僧』『密漁海岸』『ホットサマー・マーサ』になることに露伴センセのエンコを賭けます。本誌とほぼ同時期に発行された『吼えろペンRRR』の炎尾燃も常ならぬ弱気な台詞が多かったことを思うと、インドアなイメージが強い漫画家も、実際は外に出て取材してナンボということが改めて理解出来ました。炎尾燃VS岸辺露伴の夢の対決が見たい。

 

 

泉京香「著作権的にいろいろ面倒くさい事になるから、このデザインは止めた方が良いと申し上げているんです。クレームが来るという都市伝説かもしれませんけど、あたしの意見では誹謗中傷は確実です。2つの円が『耳』になってるのは駄目なんですよ! キャラの色も黒で超似てるしィ」

 

京香ちゃんによる報道管制と王族参加のパレードが恒常的に行われている某夢の国への忖度発言。ハハッ! リアルの荒木センセは第6部でも某国のキャラクターでやりたい放題していたので、実際の編集者は気をつけているのかも知れませんが、一応、露伴センセとは別人なので京香ちゃんの取り越し苦労だと思います……別人だよね? 『ド低能』を『クサレ脳ミソ』に改変された過去といい、荒木センセの自主規制に対する根深い思いを察せずにはいられない導入部でした。ちなみに先述した炎尾燃……じゃない、島本和彦センセはTV番組の収録で放送にも漫画にも乗せられないネタを描いてボツられた模様。漫画家って追い詰められると同じ方向に暴走するものなんでしょうか。

 

 

岸辺露伴「ひとりでいるのは全然平気だ。でも、その土地へ出掛けて行き、『土を触って! 動きを感じ! 沢山の人の中に入り、時には腐ったものでも舐めてみる』。それが僕の漫画だ」

 

最後の一言以外は全ての漫画家、或いは創作者に共通する思いかも知れません。実際に触れる&やってみないと判らないことって一杯ありますからね。昨年放送された実写ドラマでも脚本家も、露伴センセの背中合わせウォークにチャレンジしてみたというブッ飛びエピソードがありました。或いは原作者からドラマ制作者に対する『背中合わせウォークは真似出来ても、腐ったものは舐められないだろう』という挑戦状の可能性もアリ。まぁ、小林靖子さんなら『納豆舐めました』と返してきそうな雰囲気ありますが。何れにせよ、いつもの創作リズムを崩されて絶賛大スランプ状態の露伴センセ。今回は珍しく~するなのタブーを犯した訳でもないのにトラブルに巻き込まれてしまったのも、いつもの露伴センセらしさに欠いたからでしょうか。

 

 

岸辺露伴「君! あれから原稿に何をやった? 僕の部屋に入ったのか?」

泉京香「キャーッ、先生ッ! 『ホットサマー・マーサ』あれからもの凄い売れ行きですぅー! 今年№1の傑作だって皆様がSNSで騒いでます」

岸辺露伴「君なぁ~、質問に答えろよッ」

 

質問に質問ですら返さない京香ちゃん。会話が噛み合わないことに定評がある露伴センセが手を焼く時点で相当ヤバいです。今回はスデに3カ月が経過していたので、結果的に露伴センセの質問がよりトンチキな内容になっただけで、社会人としては失格の受け答え。露伴センセがガチ泣きしているのも、ホットサマー・マーサのデザインが変わったからだけでなく、毎度毎度コミュニケーションが取れない編集者との会話に絶望した可能性も否定出来ません。ドラマの飯豊さんの好演のおかげか、本編でも再登場となった京香ちゃんですが、作中の露伴センセには大迷惑な話でしょう。彼にとっては死ぬほど縁を切りたい編集者ですので。

 

 

神主「全ては樹の中に住む『藪箱法師』のしわざなのです」

 

ちょっとしたスワンプマンな怪異の正体。姿もDNAも本人と全く同じで暗黒面のみが強調されたもう一人の自分と3カ月も入れ代わられていたとか、普通は絶望しかありませんが、こと露伴センセにかぎっては(あくまでも現時点では)大きな問題はなかったように思います。原稿自体も本人が認めるレベルで再現されており、作品も爆売れ。三カ月ぶりに対応した京香ちゃんの対応も相変わらずの様子という事情を鑑みるとちょいと我儘なだけで何時もの露伴センセであった可能性が高いです。露伴センセの普段の行いがアレ過ぎて、周囲に全く違和感を感じさせなかったのではないでしょうか。更に(あくまでも現時点では)ちょいとメンヘラ気味とはいえ、彼女も出来たのですから何をわざわざリセットする必要があるのかと思わないでもありませんが、

 

岸辺露伴「いいか……僕が描いていない『絵』が僕の『絵』でこの世に出回っているッ! 社会的な『善』だの『悪』だのは最初から問題にしてないッ! そーゆーのは許せないんだよッ! 円が『4つ』のデザインなんて僕は描いていないんだッ! 元に戻る方法が有るのか無いのかさっさと教えろォーッ!」

 

と本編でもスピンオフでも滅多に見ないブチぎれっぷり。一応、主人公ですが、この土壇場での理不尽なキレ散らかし方は6部や8部のラスボスの最期に通じるものがあります。多分、承太郎パイセンでしたら『やれやれだぜ』の一言で済ませていました。

 

 

岸辺露伴「『ヘブンズドアー』で祠の内側を這うように、悟られないようにッ! ちゃんと回転させたんだ!」

 

勿論、ダメでした。御約束の展開。露伴センセと戦う相手は基本的にヘブンズドアーやスタンドの利点をほぼほぼ封殺してくるハメ技系の敵が多過ぎる件。ただ、一介の怪異にスタンドが見えているとは思えないので、これは露伴センセの心の問題かも知れません。心のどこかに『スタンドが見られていたらアウトかな』という思いがあったから、そこに藪箱法師の突け込む隙が出来たのでしょう。如何にスタンドで危機を回避しても、本人が『これはルール的にOUTかも』と少しでも思ったら現れる取立人マリリンマンソンと同じ原理ですね。

 

 

ファンの女「先生ェ……あたしィ、シングルマザーは絶対にヤダからね。あたし、10年後も20年後も50年後もズッとズーッとズーッと先生と一緒に暮らすのォォ」

 

三カ月で『ちょいとメンヘラ』というレベルでは済まなくなっていたファンの女。流石にファンの子に手を出すのはOUTです。モノホンの露伴センセはやらないでしょう。ここが藪箱法師の暗黒面の象徴かも知れません。尤も、先述のように漫画家としての仕事はキッチリこなしていたので、暗黒面の露伴センセも取材の一環として『デキ婚男の心境を味わってみたい』という禁断の心理を抑えられなかったのかも知れません。原作の露伴センセには康一君が死んでも構わんと頁を毟り捲った前科があるので。しかし、ファンの女にまでヘブンズドアーの存在を悟らせていたのは藪箱法師の失策でした。彼女を操って鏡を回転させなけりゃあマジでヤバかった。入れ代わらされた彼女には気の毒ですが、今まで何度も住居不法侵入をやらかしてきたので、多少の報いは仕方ないね。手に負えない災厄は誰かにおっ被せるしかない。これはミラグロマンへの対処に似ています。

 

 

岸辺露伴「も、元に戻ってないぞッ? 泉京香……あっ、あいつぅ~」

 

ファンの子に殺されかけてまで半年分の時間をリセットしたものの、露伴センセが最も拘っていたホットサマー・マーサのデザインは藪箱法師とは無関係であったというオチ。露伴センセも藪箱法師には暗黒面はあっても漫画には自分と同じように真摯であることは彼の原稿を見て察せられた=デザイン変更は彼の判断ではないことに気づけたでしょうに、結構な勇み足で独り相撲を取ってしまった感があります。先述のように承太郎パイセンなら『やれやれ』の一言で済ませたでしょうし、露伴センセもホットサマー・マーサのデザイン以外は現実と妥協出来たかも知れません。コロナ禍のストレスで冷静さを欠いていたことが要因でしょう。一方、元凶の京香ちゃんは『富豪村』に続く二度目の生命の危機も何のその。今回も逞しく……というか図々しく、しかも無自覚に生き延びました。これは早く飯豊さんのヴィジュアルで見たい。