五匹は今巫女となった |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

一見、「最後の五匹」と今回の「ヤオヨロズ」の間には、ストーリー上の関連性はありません。

登場人物はもちろん。

当初、その関連性を持たせるべく、サルタヒコを登場させる予定でしたが、ストーリーの構成上、また登場人物の整理上、難しかった。

少なくとも舞台上では、できるだけシンプルにしなければならず、そういった間接的な接点も消えました。


にもかかわらず、作者である私の中では、この「ヤオヨロズ」は「最後の五匹」の続編なのです。

現代がメインであったお芝居から、時間的には古代どころか、半ば神話の世界へ――。

時間軸はむしろさかのぼっていますが、関連性があるのは、そのテーマです。

「最後の五匹」は、絶望的な状況の中でも希望を失わずに立ち上がり、自分のできることをする、というものでした。

彼ら最後の五匹の活躍で、世界は破滅から救われました。今もみんな、自分のできることをしています。

それで物語は終わっています。


「では、その後、私たちはどんな世界を、どんな世の中をつくっていったらいいのか」

ということが、作者の中での関連性であり、「ヤオヨロズ」が「最後の五匹」の続編であるという、理由なのです。

あの後、作られたはずの世の中、私たちが本当に共に生きていける世界。

その「共に生きる」「共生」ということが、最初から「ヤオヨロズ」のテーマでした。


ヤオヨロズというタイトル自体、この共に生きる世界ということを考えている時に、降ってきたタイトルでした。
その時点で、すでに日本神話を題材にしようと考えていたからです。


ヤオヨロズ。
多くのもの、たくさん。

この多くのものが集まった世界が私たちの世界です。

私たちは一人一人、すべてが違う。

この違いが、人種や宗教、経済原理、価値観、また性差なども含め、古代から争いを生み続けてきました。

その違いを乗り越え、共に生きる世界こそが、絶望的な破滅の淵から帰還した私たちの前に広がっているような、予感がしたのです。

それを呼び寄せるために、私はひそかに「最後の五匹」たちをもう一度、舞台に出演させることにしました。

本当にそれは作者の自己満足であり、今日この時まで誰にも語っていないことなのですが、わかる人たちにわかるようにした隠れたメッセージとして。

それが、「今巫女」たちだったのです。

「今巫女ってなに?」
と思われるはずですが(笑)、ヤオヨロズに登場するワの国各地の巫女たちのことです。

お芝居をやっていると、何やら設定されていない名前も次々に現場の人によって創作されていきます。

「ストーカーのシーン、やろう」とか「ああ、あそこ、重労働のシーン」とか。
人物に関しても、いつの間にか「今巫女」という名称が確立されたのですが、これは黄泉の国に登場する「黄泉巫女」との対照関係から、そのような二つの名前が成立しました。

その今巫女、これが五人なのです。

先日、本番ステージを借りての通し稽古があり、そのときに五人の巫女たちがステージに並んでいる姿を見て、「あれ? これ『最後の五匹』みたい」と思った関係者もいるかもしれません。

私の中では、この今巫女たちこそ、このミュージカルの中に取り込まれた最後の五匹たちであり、だからこそ彼女たちは「○○○○ことなんかない……」と歌い、自分たちにできることをしようとします。
(あまり書くとネタバレになるので、あえて不鮮明にしておきますが)(笑)

そして、彼女たちの存在は、物語の結末に大きく関わることになるのです。



これからの時代を開くかたがたへ。
見て頂く価値のあるミュージカルですぞ!
是非、お越しください。

当日チケットなどもこちらで!
    ↓
ヤオヨロズ制作委員会