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「さあ、今日も鑑定終わったぞ~♪」
私はそのとき、いつものように面談を終えて、帰宅途中でした。
夜道、車を走らせながら、今日の晩ご飯のことなど考えておりました。
自宅は山ん中です。
まあ、今時はナビなどがありますから、誰でも住所を入力すればたどり着くことはできるでしょう。
しかし、普通の感覚で車を走らせていたら、絶対に不安になってきます。
「大丈夫なんかな。ホンマに着くんだろうか」と。
というのは、道は山の中で険しくなり、周囲には街灯はおろか民家もなくなるというような道筋なのです。
道幅も狭い。
でも、もちろん私にとっては通り慣れた、毎日のように車を走らせる道です。
が。
その夜のハプニングは、さすがにまったく予測していませんでした。
いつものように上り坂、愛車の軽四オッティで登っておりました。
まったくなにもない、暗闇ばかりの道。
ヘッドライトが照らす、その目の前に。
本当に、ひょいっという感じで、道の土手下から、大きなイノシシが

ひええ~~~~

もう、ブレーキも間に合いませんでした。
ペダルを踏むかどうかというぐらい。
本当に投身自殺のようなタイミングで、眼前にいきなり出てきたのです。
道も狭いのでよけられませんし、実際、よける暇もなかった。
ドン

ものの見事に、イノシシと衝突してしまいました。
ずささ~~~っと、何メートルはそのまま引きずるというか、前方へ押し出しました。
「やっちまた~~~

私は車をすぐにバックさせました。
すると、イノシシ君、なんとヘッドライトの中に立ち上がる。
彼からすると(彼女かもしれませんが)、横っ腹に車がつっこんできたわけで。
しかし、それでも立ち上がる、さすがは野生動物。
さすがにちょっと、ふらふらしていましたが、山の斜面に逃げていきました。
実をいうと、私の家の近辺の山野では、イノシシが繁殖しています。
そもそもが飼われていたイノブタを、誰かが山に放棄したらしいのです。
それ以前は存在しなかったのです。
ところが繁殖力が旺盛で、今や本物のイノシシと化し、時折、夜道を子連れで群れになって歩いていたりするのを、よく目撃していたのです。
この無責任な放逐のおかげで、近隣の田畑は荒らされ(イノシシは何でも食べます)、農作業をやめざるを得なかった家はいっぱいいます。
以前には、夜道で妖怪ヌリカベのような、巨大なイノシシを見かけたことすらあります。
(このときも、本当にゾッとしました)
私が衝突したのは、体長1メートルちょっとくらいのイノシシでしたが、愛車オッティは無惨な姿に。

しかし、不幸中の幸いか、ほとんどバンパーだけの損傷で済みました。
もう少し中央でぶつかっていたら、ラジエーターなどもいっちゃってたでしょう。
このところずっと安全運転を心がけていて、速度も低かったのも幸いしたようです。
現状、車の修理パーツ待ちの状態です。
この夏、もっともゾッとした夜でした。