リロケーション・チャートについて |  ZEPHYR

 ZEPHYR

ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

最近、スカイプやメールで海外の方を鑑定することも多くなってきました。

以前にも書いたことがあるのですが、占星術の出生チャート。

これは日本なら日本での、生年月日、出生時間、何県何市の生まれであるとか、そういう出生データを元に作成されているわけですが、このチャートも生活地が変われば、変化します。

天体の位置は、何月何日の何時何分でのそれぞれの星座の度数で固定されていますから、天体間でのアスペクトなどはいっさい変化しません。

が、ハウスやアセンダント、MCなどはこの生活地によって変化します。

これをリロケーション・チャートといいます。

たとえば九州で生まれて東京で暮らしている人は、鑑定時にそのことを一応考慮しておかねばなりません。

ハウスの場所がずれれば、太陽が1ハウスにあったものが、12ハウスにずれてしまうこともあり得るからです。

まして海外ともなれば、かなり大きな変化が起きてしまうこともあります。

ヨーロッパ、アメリカ、ブラジルなどの鑑定もこれまでにありましたし、最近でも同じアジアの他の国からの依頼がありました。

依頼人は、まあ、日本人なのですが、外国で仕事をされていたり、海外の方と結婚されていたり……様々です。

ブラジルなど地球の裏側ですから、チャートとはぐるっとひっくり返ってしまいます。

地の底にあった天体は上空へ。

仕事運も変化しますし、人生を構成している様々なものが変わってきます。

もちろん恋愛や結婚も変わってきます。

日本にいたときには、様々な体調不調、アトピーや喘息に悩まされていた人が、ヨーロッパに仕事で行っていた間、まったくその症状が出なくなったこともあるそうです。
(帰国後は症状が戻っている)

こういったケースでよく言われるのは、「やっぱり気持ちの持ちよう。心理的なものが大きいんじゃない」ということです。
あるいは、水が合うとか合わないとか。

土地が変わったら病状が変化するというのは、科学合理的にはナンセンスです。

その土地に喘息やアトピーを打ち消す何かがあれば別ですが、実際にはその土地にもそのような症状に悩まされているわけで。

だから、結局、気持ちの問題になってしまう。

もちろん、その要因は大きいと思われます。

病は気からという言葉もありますから、気持ちの持ちようが変われば、身体コンディションが変わるのは当然。

けれど、リロケーション・チャートを適用した方が、もっとずっと明瞭な説明ができたります。

アトピー、喘息に悩まされていたその人は、健康を管理しているハウスに、まさにそのようなものを抱え込んでいるのですが、ヨーロッパに行くと、その健康のハウスに強壮な火星が入ってくる。

この火星は太陽ともトラインを作っているので、こりゃ、本人が元気になるのは当然。

もちろん、その代わり、元々あったハードアスペクトは別なハウスにシフトしてしまうので、そのまま滞在を続ければ社会生活や家庭生活には多大な問題が生じたに違いないのですが。

このリロケーション・チャートの効果がどれくらいの滞在期間から効果を発揮するのかとか、移住したときにもともとの出生図に示されていたものがどのように変化するのか?
出生図はチャラになってしまい、リロケーションのほうが完全支配するのか?
あるいは出生図もある程度の影響を残しているのか?

これらは研究者にとって、考え方も異なると思います。

私は出生図が消えてなくなることはないと考えていますし、もし海外に移住するような人なら、出生図の中にそれだけの要因を持っていることが多い。

ただ、時代は変化してきています。

かつて高度成長期には、田舎の若者たちはこぞって東京を目指したわけですが、それ以上に現在は選択肢が広がっていると見るべきかもしれません。

日本ではどうにも閉塞感を感じ、海外へ飛び出す人も多くいます。

海外に居住しそうな特別な要因がなくても、普通に世界を飛び回っている人もいます。

その人と海外を結びつけているものがなんなのか、やはり一つ一つホロスコープを解読していく必要はあるでしょう。

そういう意味では、占星術もこういった問題では、今後、研究を積み重ねていく必要があるでしょう。
100年200年前にはほとんどなかった事例ですから。

リロケーション・チャートの効果はかなり絶大なものがありますが、出生図とのかねあいも含め、私も研鑽を積んでいかねばなりません。