進行と経過について |  ZEPHYR

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この点については、もっと早く記事にすべきだったかなと思うのですが……。

ブログの中で、「進行金星が出生太陽と合」とか、「進行火星が出生木星に150度」とかいう表現をすることがありますが、この「進行」という言葉について、勘違いされている方がけっこういらっしゃいます。

つまり、今空を回っている星のことだと。
あるいは2年前の3月だと、2年前の3月の星が自分の出生太陽に合になっているとかいうふうに誤解されているケースが、まああります。

ところが、そのときのリアルタイムの星は「経過」なのです。
これをトランシットといいます(トランジットと表記することもある)。

途中経過という言葉がありますが、経過の火星とか、経過の木星というのは、たとえば今、この記事を書いている瞬間だと火星は乙女座7度、木星は牡牛座10度にあります。

2年前の今日の経過だと、火星は獅子座0度、木星は魚座14度にあります。

これが要するに経過であり、トランシットです。

2年先、10年先であっても「経過」は「経過」です。

これは「進行」ではないのです。


出生図というのは、その人が生まれたときのホロスコープのことを指すのは当然ですよね?

それに対して、進行というのは、出生図をある法則に基づいて、文字通り「進行」させたものなのです。

進行させる方法はいくつもあります。

1日1年法などがよく知られていますが、これは出生後1日たった時点での天体と相関関係が、その人の1年後の運勢を表示するというもので、10日後の天体が10年後、20日後が20年後となるわけです。

たとえば、2000年4月1日午後2時に生まれているなら、この人の進行図としては2000年4月25日午後2時きっかりが24才の運勢表示となっているわけです。

こういった進行は、プログレス、あるいはダイレクションなどと呼ばれますが、技法がいくつもあります。
1度1年法というのもありますし、ダイレクション黄経とか、またソーラーアーク・ダイレクションというのもあります。

ソーラーアーク・ダイレクションというのは、1日1年法と同じように太陽を進行させ、その太陽の進行度数分だけ、他のすべての天体を進行させるというものです。

ソーラーアークは、たとえば動きの遅いトランスサタニアン(天王星、海王星、冥王星など)や土星や木星などもそうですが、1日1年法ではまったく動かないといっていいほどの進行速度しかない天体を、ダイナミックに動かすことができます。

私がもっとも頻繁に使う進行法は、太陽、月、水星、金星は1日1年法で観測し、火星以遠の天体はソーラーアークを適用するというものです。

他の高名な占星術師の方も、これをよく使っている人がいるそうです。

進行の冥王星、などは、1日1年法だとまったく動いていないのと同じで、私がこのブログで火星以遠の天体の進行について言及するときは、だいたいこのソーラーアークで進行させたものとお考え頂いて間違いないかと思います。


私がプログレスとかダイレクションとかいう言葉をブログで使わず、「進行」という言葉を使っているのは、そのほうが何も知らない読者の方にもイメージしやすいと考えたからです。

対して「経過」という言葉は、もう一つ、イメージしにくい。

経過の土星といわれても、なんとなく「?」ではありませんか?

そこで、トランシットという言葉は占星術を囓っている人なら、かなり理解されておられますし、普及しているものです。

経過に関しては、「トランシット」という表記に最近はするようにしています。

このようなことを理解してもらっていると、多少はブログが読みやすくなるかもしれません。