以前にリクエストがあったのですが、なかなか取りかかることはできなかった故・立川談志さんのホロスコープを解読してみます。
もちろん、ここでいう談志さんは、7代目談志さんのことです(自称は5代目というお話です)。
これは座興とお考えください。
出生時間も不明ですし、その推定作業(レクティファイ=修正)は行っています。
が、絶対に正しいものとは言えませんし、談志さんが亡くなったのは昨年の11/21です。
まだ没後の時間がさほど経過していない段階で、取り扱うことには多少の抵抗があります。
が、リクエストしてくださった読者の方が言われていたように、現代では自分の言いたいこともはっきりと言えずに過ごしている日本人がたくさんいます。
奥ゆかしいのは美徳ですが、そのために心を病んだりするケースもあります。
性根を据えて、ビシッと自分の言いたいことを言い放つ。
このような人間がいるからこの世はおもしろいし、日本人はもっとこのような気質の人に学んでも良いと思います。
私自身、そういうところはあります。
そこで改めて談志さんのご冥福を祈りつつ、解読を行ってみたいと思います。
1936年1月2日、東京小石川生まれ。
詳しいことは省略しますが、私が推定した談志さんの出生時間は18時30分ごろです。
もちろん前後にある程度の幅があります。
その後の経歴、とくに癌という病と闘った時期などから推定した、かなり有力に思える出生時間です。
もっと時間をかけて取り組めば、もう少し違った時間が出てくる可能性はありますが、とりあえずこれでやってみましょう。
出生図でまず目につくのは、蟹座26度の冥王星、山羊座24度の水星、牡羊座20度の月、牡牛座1度の天王星が全体で構成しているTスクエアです。
天王星と月は南中点、MC付近にあり、大衆に人気を博すことと、天王星的な独特の個性が社会の中で打ち出されやすいことを物語っています。
これを受け取っていくのが、6ハウス(職場)にあり、話すということそのものを表示している水星です。
古典落語を現代的なものへと変えていこうとする特異な天才ぶりも、この構造の中に当てはめると、いかにも天王星の革命児といった印象です。
これだけ活動宮で、ハードアスペクトが構成されていると、とても落ち着きのない活発な運気を示すことになりそうですし、私たちの知る立川談志さんという存在は、おそらくこのTスクエアとその力を受けた水星そのものであろうと思われます。
つまりもっとも世間に対して露出していた談志さんということです。
この水星は冥王星や天王星の後押しを受けているため、とても強力で、しかもサビアンシンボルは「東洋の敷物を扱う商人」「高価な東洋の絨毯がたくさん置いてある店」というもので、このシンボルは所属している社会や世界の中に、新しくて異質なものを持ち込み、そうすることでその環境を活性化させるものです。
水星のTスクエアだけでも革命児的なのに、このサビアンシンボルには思わず笑ってしまいますね。
本当に談志さんの生き様そのものです。
そしてそれは常に、「言葉」というものを通じて表現されてきたのでしょう。
これだけハードアスペクトが強いのですから、人に対してやさしいとか思いやりがあるとか、そのようなソフトな表現方法にはならないことは、かなり明白です。
もちろんこれは人としての中身は別です。表現方法として、という意味。
実際に落語の上演中、居眠りをしているお客さんに退場を勧告するなど、普通の感覚ではやらないようなことすら、ズバッとできてしまう。
こういうことはできるのは、ハードアスペクトだけです。
今日は談志さんの、こういった「見えている部分」だけの解読に留めるつもりです。
プライベートな部分について、あれこれ憶測するのは亡くなられて間もない今、心を痛めておられるご家族もいらっしゃる中で好ましくないと考えます。
しかし、ご家庭は良いものであったのではないかという印象を抱きます。
さて、この談志さんのホロスコープを拝見して感じること。
まずこのようなハードアスペクトの強いホロスコープを提示され、「職業は?」などと質問されたときに、私たちもついソフトアスペクトを持つ天体やサインに目が向きがちです。
私がもしこのような方に同じ質問をされても、「水星は確かに強そうだが、苦労が多そう」ということは考えるでしょうし、普通の感覚では水星を仕事にしなさいなどとはアドバイスしにくい。
が、このようにもっともエネルギーが高い天体のことも重視すべきなのです。
ハードアスペクトがあると、その星が不調になるという安易な考え方は間違いの元で、実際には普通の人間ができないようなことをやり遂げる可能性も示されているわけです。
松本清張先生のチャートがそうであったように、ハードであればあるほど、それに見合うものを支払う必要はあるかもしれませんが、突き抜けたときに得るものは大きい。
それは強い個性として出てくるでしょうし、余人には不可能なやり方や切り口も演出できるでしょう。
諸刃の剣であることは確かに言えます。
なぜ談志さんの場合、咽頭や声帯に癌が発生したのかということも、この水星が示してくれています。
でも、それでも潔く。
江戸っ子らしく。
こだわって。
粋に。
やせ我慢してでも。
「オレはやっぱ水星なんだよ」
そんなことを天国から言い放ってくれそうなホロスコープです。
ご冥福をお祈り致します。