80、90年代の人々 part.2 |  ZEPHYR

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昨日の続編です。

バブル景気。
いろいろと捉え方の差はありますが、だいたい80年代の終盤から90年代初め頃を指して言われることが多いようです。

前の記事で述べているように、87年頃から土星と天王星の合が発生し始め、それが射手座から山羊座へ移っていきました。

この時代はどんな時代だったのか、占星術的に。

山羊座は現実的な成果や、出世とか社会的地位とかいうことに深く関わっています。
権勢欲も強いと言われますが、この山羊座が10ハウスの定位置に当たることを想起してもらえば分かりやすいでしょう。

10ハウスは個人のチャートでも社会的な成功を示す部屋です。

10番目の星座、山羊座はこれに関連している。
地のエレメントで、現実的な「モノ」に関わる星座。

しかし、よくよく考えてみてください。
10ハウスは社会的な地位や名声に関わっていますが、社会的な成功のポイントで最も重要なのは、MCです。MCは9ハウスと10ハウスの境界線でもあります。

星座でいうと、射手座と山羊座の境界線が、MCに該当するポイントなのです。

こういう見方をしたならば、この射手座→山羊座に移行しながら合になった土星と天王星は、この現実世界、物質的な世界での「モノ」に関わるピーク期でもありそうです。

土星は本来は山羊座の支配星で、そこにあるときに最強になります。

つまりこの時期に、土星・山羊座の非常に強力な働きかけがあった。

これだけなら物質至上主義になっておかしくないのですが、このときは天王星や海王星も山羊座に入っていた。

こういったことを考えると、この日本でバブルとその後の崩壊が起きた出来事を付き合わせると、たぶんこうなのではないかということが見えてきます。

それは物質文明の解体と改変に関わるものです。

山羊座へ向かって、海王星、天王星、土星がこぞって上昇していた時期が、いえば物質文明の「究極」だったのではないでしょうか?

その出方は国によっていくらかのずれがあるものと思われます。
日本の場合は、そのサイクルが非常に顕著で素直だったようです。

そうしてバブルの絶頂を迎えた。

そしてはじけた。

それから20年が経過し、かつて合になっていた土星と天王星がちょうど180度の対立を示すようになったとき、リーマンショック以降の世界不況が襲ってきた。

こういう流れを見ると、明らかなように思えます。
土星と天王星が刻むサイクルは、ここで一つのターニングポイントを迎えており、ここで示される出来事は、もともとの土星・天王星の合のときに植え付けられていた種が育ち、はっきりと目に見える形で出現したのだと。

そもそも土星が山羊座に入るだけなら、物質文明の強調でよいのですが、天王星があるということは、これを改変しようという働きが生じる。

ましてや先行して、山羊座には海王星がいました。

山羊座に海王星が入ったのは、1984年以降ですが、じつはこのとき、海王星は木星と合になって、ほとんど同時(1月19日)に山羊座にイングレス(侵入)しています。

動きの遅い星が、同日に星座の境界をまたぐのは、きわめてまれなことです。

木星は海王星発見以前は、魚座の支配星だった星で、今でも準支配星です。

人間の精神性といった側面で、じつは木星と海王星、射手座と魚座はつながっているところがあり、その傾向はどちらも拡大と拡散です。

つまり精神的な価値観やスピリチュアリズムといったものを、すでに前段階で山羊座に持ち込んでいるわけです。

つまり物質至上主義であった世の中が、これからは精神的な側面にアレンジされていく可能性がこの段階ですでにあり、土星・天王星という時代を分けるものがやって来たときには、とくに移動速度の遅い海王星が、山羊座の中で着々と作業を進行していたわけです。

海王星はどんな作業をしていたかというと、たぶん山羊座の現実的な成果や富といったモノを精神的な領域へ転化するための下地作りであったり、逆にスピリチュアルなモノを現実世界に下ろして影響を与えるといった作業ではないかと思います。

こういったことを考え、到来しつつある海王星魚座時代のことも考え合わせると、この80、90年代に起きた出来事は、「物質文明のピーク」と「物質文明を精神文明と融和させる、あるいは精神的な方向へ改変させる」予兆だったのではないかと思えます。

だからこそ、土星・天王星の周期で、リーマンショックが起き、物質文明にまたここで亀裂が入った。

モノや欲に依存していたのでは、誰も幸せになどなれないのだと。

モノも欲も、たとえばお金もとても大事なものです。
それを蔑み捨てる必要はないのですが、それだけではいけないのだということを、じつはみんなが理解できる時代になってきた。(それ以前は、極端に言えば、『カネで心も買える』のだというような論理もまかり通っていた)

そのためにはモノが一度、二度、壊れる必要があった(モノというのは物質文明の価値観のことです)。

そのためのサイクルがリーマンショックと世界不況の流れにあり、ここでターニングポイントを迎えた人々は、たぶんより精神的な方向へ向かっていく。
そのための海王星魚座時代の14年間は用意されているのだと、私は理解しています。

海王星最強の時代が。癒しの時代が。

これには、もうちょっと本当は補足しないといけないものもあり、1995年頃から天王星は水瓶座に入り、2003年頃までそこにいました。
水瓶座の支配星は天王星なので、この期間は「天王星最強の時代」なのです。

つまり改変の動きのひな形がここにあるのです。

この時期に生まれた子供たちは、今はまだ成人もしていませんが、それでも多感な時期をこの不況と大災害を目撃して過ごしています。

彼らが成長したとき、きっともっと大きな改変の動きが生じてきます。
かならず。

80、90年代の人々は、こうした大きな流れのちょうど端境期にいて、今、かなりの割合の人が成人して今の世の中を見ています。

就職しようとして困難に直面している人もいれば、その手前でこの艱難のときを見つめている人もいますし、すでに社会生活の中でショックに立ちつくしている人もいるでしょう。

この時代の人で象徴的なのは、1990年頃に生まれた人たちではないかと思います。

この出生時期の人たちを、これまでにも結構鑑定してきたのですが、非常に解読が難しいホロスコープを持っています。

山羊座に海王星、天王星、土星を集合して持っているためです。

占星術師の見識や解読力にもよりますが、へたをすると「ただの運勢の悪い人」という結論になってしまうことも考えられます。

しかし、この世代的な星位を、やはりもうちょっと深く考えて、それが個人に与えている影響も考慮しなければなりません。

私が受ける印象では、この90年頃の生まれの人は、かなり極端に分かれています。

モノ、物質面に囚われている人も顕著に見られます。

一方で、そういったモノの中で、「ちゃんと私を見て」「中身を見て」と言っているような人も顕著に見られます。

これは土星山羊座という、土星の最強状態の中で起きている、かなり苦しい全般的な傾向だろうと見ています。


この90年頃に生まれた人を一つの象徴としてみれば、80、90年代の人々は、おそらく物質文明から精神文明への橋渡しをすべく登場してきた人々で、そのために苦しい立場も引き受けている世代なのではないかと思えます。

単純にこの先にあるのが精神文明と断定するのは早計で、そればかりでは決してないのですが。

この物質文明と精神文明のせめぎ合いは、おそらく2032年頃まで続き、そこで人類は完全に次のステップに進むことになると思うのです。

その年代、私が生きているかどうか分からないので、ここに書いておきますが、そのときには物質文明の完全破綻(?)というのか、完全な脱却があるように思います。

そこから根本的なやり直し、生き直しがあるように思います。

今はそこへ向かっての流れの中にあり、こうやったいくつもの星々が織り成すシンフォニーを伴いながら、人類は螺旋階段を上っていく。

その先に何があるのか、個人の力はあまりに小さくて見えませんが、私には神の経綸はそのときまでも、その先までもずっと続いているように思えます。

長い記事にお付き合いくださいまして、ありがとうございます。