「進行の太陽が星座を移るとき、何か起きるのでしょうか?」
このような質問を頂いていて、まだお答えしていなかったので、書いておきたいと思います。
そもそも進行の太陽というのは何か?
占星術は出生図をまず作成します。
生年月日、出生時間、そしてその出生地における図面を作成します。
これがすべて基本です。
進行の天体というのは、出生図面上の天体を、あるルールに従って動かしたものを言います。
よく知られたのが、1日1年法、ソーラーアークダイレクションなどですね。
たとえば出生日が8月5日だったとして、それから24時間後の星の位置が、一年後の状態を示しているという考え方です。
馴染みのない方には、そのようなことを説明されても、「そんなんで分かるの?」と思われるかも知れませんが、その人のその後の運気の実情を説明するときに、不思議に合致しています。
たとえば進行の月は、もっとも動きが速く2年ちょっとで一つの星座やハウスなどを出ることが多いのですが(ハウスによってはもっとかかる場合もあれば短いこともある)、たとえばここしばらく会社を休業し、ようやく復帰しようとしている男性を、ちょっと前に鑑定致しましたが、この「休業」は月が12ハウスに入る頃から始まり、復帰はちょうど12ハウスを月が出るときに合致していました。
12ハウスは世間から隠れた部屋なので、この時期に一時的に社会活動から引いている、という形で起きていたのだと考えられます。
ハウスだけではなく、星座を移るときにも、それなりに何かが目立ったこととなってくることはあります。
私の個人的体験では、過去、月が一つの星座の終わり頃に来たときに、決まって父が入院するという騒ぎを体験しています。
それだけが原因ではないのですが、かなり目立った出方でした。
しかし、進行天体が星座を移るときに、何かが起きるということが決まっているわけでは、決してありません。
たとえば私の場合、1995年に進行太陽は山羊座を出て、水瓶座に入りました。
この時期に、なにか顕著な出来事があったか? と問われたら、そう記憶に残るようなものはないのです。
そのときの星のコンディションが、全体として悪くなかったということもあるのでしょうが、さりとて画期的な何かを体験したわけでもない。
きわめてスムースに、太陽は水瓶座入りを果たしています。
もしかすると、これは山羊座水瓶座というのが、地→風のエレメントとはいえ、昔は土星がどちらの星座も支配星であったことと関係があるのかも知れません。
変化の衝撃が少なかったのかも。
星座の境界を天体が渡るときに、何か起きやすいのは、エレメントの親和性がない星座へ天体が移動するとき、一種の拒絶反応というのか、衝撃が生じるからだと私は理解しています。
しかし、12星座というのは、それぞれその星座の終わり頃になると、次の星座への準備を始めるものです。
ちょうど虹の色の境目が曖昧になっているようなものです。
だから、あるとき線路を越えたらすごい衝撃が来た、というようなことの方が珍しいと思います。
けれど、なんらかの境目になっていることは、実際にあります。
たとえば私の奥さんですが、昨年の2月に進行太陽が牡牛座に入っていますが、このときに顕著にあったのは、じつは私の方でした。
このときに勤め先のホテルの常勤を解かれ、現在に至っています。
これは仕事上、結構大きな変化です。
女性の場合は太陽は配偶者も示すので、この変化は奥さん自身よりも私のこととして表示されていたのでしょう。
ちなみに同時期、私の進行の月は出生の太陽に対してオポジション(=180度)で、やはりちょっとした節目であることを感じさせます。
太陽と月の関係が、人生上の節目であることは、「太陽と月のトライン」の記事なども含めて、これまで書いてきました。
夫婦は互いの運気をある程度共有していることが多いので、相互間で関連のある星が同時期にサインを放っていることがよくあります。
(こういった不思議な一致を見つけると、進行運の考え方にも納得させられてしまいます。不思議に二人が一致しているのですから)
ともあれ、他に強烈なハードアスペクトが生じていなければ、星座の境界を越えること自体に、それほど警戒をしなくても良いと考えています。
むしろ何かの節目を感じさせるような出来事は起きやすい。
それが悪いことのように、いたずらに怯える必要はないと思います。
もちろん、こういったことはその人の全体像を見ての判断になってきます。
いちがいにこうだということではありませんので、参考までに。