アフロディーテの無責任約束はいらない |  ZEPHYR

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仕事か恋愛、どっちか一方が一生うまくいくとしたらどっち?
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先週の大学の講義で、トロイ戦争の神話について語ったzephyrです。

みなさん、ギリシア神話のトロイの物語は知っていますか?
トロイの木馬の話。

なんとなく知っている、という人は多いのではないでしょうか。
近年、映画にもなりましたね。
私も奥さんと一緒に観ました。

この伝説は、神々の物語が発端となっているので、史実ではないと考えられてきました。
かなり荒唐無稽な話です。

ところが19世紀のドイツの考古学者、ハインリッヒ・シュリーマンはギリシア叙事詩の中で語られるこれらの伝承が本当にあったことだという信念を貫き、あるときとうとうトロイの遺跡を発掘してしまいます。
トロイは架空の都市国家ではなく、本当に存在していた。

しかし、このトロイ戦争。

発端はまことにばかげています。

女神テティスと人間の子であるペレウスの婚儀が行われたとき、一人だけその婚儀と宴に招かれなかった女神がいた。
復讐の女神、エリスです。
このことに立腹したエリスは、宴の場に一個のリンゴを投げ入れる。

ただのリンゴではありません。
黄金のリンゴ。

それも。

「もっとも美しい女神へ捧げる」と文字を書いたリンゴを。

ほんとうに、ばかみたいなお話なのですが、叙事詩はこのとき、ヘーラー、アテナ、アフロディーテの三女神の間でリンゴの奪い合いが起こったと伝えています。

ヘーラーは最高神であるゼウスの妃、正妻です。
アテナはゼウスの娘で、生まれてくるときは甲冑を身につけていたという戦いの女神。
アフロディーテはいわずとしれた愛と美の女神(ローマ神話におけるビーナス)。

このとき最高神ゼウスは、彼女らから裁定を求められる。

きわめて現代的な表現をすると


ヘーラー「あなた! もっとも美しい女神は、最高神であるあなたの妻である、この私よね! そうでしょ?」

アテナ「ねえ、パパ。わかってるでしょ?(と、剣をゆる~く突きつける→「戦いの女神」) 若くて、一番きれいなのは、言うまでもなくあたしでよね?」 

アフロディーテ「ゼウス、わたくしは愛と美の女神です。誰もが認める。わたくし以外に、誰がもっとも美しい女神を名乗れるというのでしょうか」

てな、やりとりがあったのでしょうか?

困ったゼウス。

「誰を選んでも角が立つ!」
「妻を選ばなかったら怒りそう。怖い」
「娘を選ばなかったら刺される?! キレられるかも」
「アフロディーテを選ばなかったら、なんで彼女に愛と美の女神の称号を与えているのかという、自分の沽券にも関わる!」

ゼウスはどうしたか?

神話上、ゼウスはとっても卑怯なことをしています。
責任転嫁をし、

「うん。みなの言い分は分かった。わしはとても決められんから、この裁定はパリスに任せよう」

このばかげたゼウスの決定が、なんとビックリマーク

あのトロイ戦争の発端なのです。

そしてこのブログネタにもつながっています。


ゼウスから責任転嫁されたパリスは、ただの人間です。
彼の元へ、「自分がもっとも美しい女神」と言って貰いたい三女神が訪れます。

ヘーラー「おまえにこの世界を支配する力を与えよう」

アテナ「どのような戦争にも勝利させよう」

アフロディーテ「この世の中でもっとも美しい女性を、おまえに与えよう」

つまりは神ならではの御利益(ごりやく)で、賄賂、裏取引をしようというのですから、もうこれはホントにドロドロした世界です(どんだけプライド高いの!? ていうか、神様なのにそれはあり!?てな感じ)。

皆さんは、このような魅惑的な申し出があったとき(そして、本当にそれが実効性があると認められたとき)、どれを選びます?

パリスはどれを選んだか?

………
………
………

「じゃ、ぼく、世界一の美女ビックリマーク

と、叫んだかどうか知りませんが。
パリスが選んだのはそれでした。
つまりアフロディーテの申し出を受け入れたわけです。

この段階で、「もっとも美しい女神」と「もっとも美しい女性」にはどのような違いがあるのか?という根源的な疑問が湧いてきますが、女神と美女(人間)はやはり違う生き物なのでしょうね(笑)。

この選択をしたと知った時点で、パリスというこの男は、かなり世俗的な、目先の欲求を持った男だという印象を持ってしまいます。
というのは、ヘーラーの申し出は、ある意味でオールマイティです。
この世界を支配する力の中には、かなりの領域に影響を及ぼすものがあるはず。

冷静に考えれば、世界を支配できれば最高の美女も手に入るかも知れない。
最高までいかなくても、かなりの美女を手に入れられ、あとはもう好みのレベルで差が付く程度にできるかも知れない。

実際、「もっとも美しい女性」など、どういう基準で決めるの?
ミス・ユニバースだって、選ばれた女性よりも美しい女性は、普通に存在していないか?

戦争で絶対勝利できる力というのは、これはこの神話が紡がれた時代背景を考えれば、ある意味で「究極の切り札」です。
何かの条件の中で不利に立たされても、戦争をしかければ勝利なんですから。


「この世の支配権」と「戦いの絶対勝者」

これは現代的な感覚では、「社会的な成功」を意味し、このブログネタの「仕事」のほうだと言えるでしょう。
ところが、パリスは恋愛の方、女性の方が良かったのですね。


ところが、その時代、世界最高の美女はスパルタ王メネラーオスの妃、ヘレネーでした。
つまり人妻だったのですね。

アフロディーテは約束を実現せねばなりません。
パリスにヘレネーを奪わせ、そしてこれがトロイの戦争の発端となるのです。

一人の女性を巡っての戦争。

本当にそうだったのかどうか。

でもまあ、古代のことですから、本当にそのようなことで争いが起きたとしてもおかしくはありません。
クレオパトラのように美貌が世界の歴史に影響を与えた例もありますし。

このブログネタを見たとき、真っ先にこのトロイ神話を思い出してしまいました。

でもね、違うところもあります。
このブログネタは「一生うまく行く」という条件が付いてますよね。

アフロディーテの約束は「世界一の美女を与える」というだけで、彼女と幸せになれるかどうかは保証していないのがミソです。
結局、パリスをかばったトロイは亡んでしまいます。

一生うまく行くというのは、かなり重要なポイントですね。

でもね。

ここにも落とし穴があるんです。

このブログネタの条件は、「恋愛が一生うまく行く」というだけで、やはりその後のことは保証してない。
つまり恋愛は何度しても何をやってもうまく行くが、「結婚」については何の保証もないのです。

つまり恋愛期間を終えて、気持ちが安定期に入ってきたとき、「じゃ、結婚しようか」となったら、その相手との関係は保証されない。
それに普通に考えて、恋愛はうまく行くのですが、そうやって結婚後も恋愛ばかりしていたら、妻との関係がうまく行くはずもない。

じゃ、結婚せずに一生恋愛するか?

でも、70、80になっていつまでも恋愛できれば素晴らしいですけど。
やっぱ、限界があるでしょ?

死に際にも恋人がそばにいる。
まあ、それはそれでいいけど。
でも、あくまでも恋人であって、それは妻ではない。

肉体的精神的な限界が来たとき、恋愛もできなくなる。
そうしたら、へたをしたら死に際は孤独。

なんだ。

やっぱり、アフロディーテの無責任御利益と同じじゃないかっ!


というわけで、「恋愛」のほうが完全否定されてしまうので、必然的にzephyrは「仕事」を選びます。

でもな。

もし「愛(恋愛も結婚も含む)が一生うまく行く」という条件だったら、そっちを選んだかも。

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