「たしかにものすごく大局的な流れの中には、時には『愚かなこともする』人生が計画されていることもないとは言い切れません」
私は言い、彼女がつぶやきました。
「大局的……」
「魂は何度も生まれ変わります。そうして人としての経験を積み重ねていきます。そういう何回、何十回という輪廻転生のプロセスの中には、という意味です」
「ああ。そういう流れの中で、何回かに1回くらいは『愚かなこともする』ということですか?」
「何回に1回とか、一概には言えないと思います。個々の魂によって、辿るプロセスは違っているでしょうから。ただ、愚かなこともする計画だから、愚かなことをしてもいいという考えは責任転嫁につながります。
いいですか? 生まれ変わりの研究では、死後、魂はこれまで自分が送ってきた人生をパノラマ現象のように追体験し、そのときに自分自身ではなく、自分が何かした相手、何かを言った相手の立場になって、すべてを感じ取るときがあるのだそうです。
殴った相手がいたら殴った相手の痛みや悔しさを感じ、言葉で傷つけたら傷つけた相手の辛さを感じながら。
そこで何も後悔しない、恥じない魂はいない。みな、過去の行いを悔い、苦悶し、嘆くのだそうです」
「そんなことがあるんですか。まるでエンマ様の裁きみたいですね」
「仏教でも他の宗教でも、類似した概念が語られていますが、それはそういったものをかいま見る能力のある人、あるいは一度死にかけてあの世に行ったけど、何かの弾みで奇跡的に生還した臨死体験者とか、そういうかたがたが、死後のその苦しみについて知り、それを語ったからではないでしょうか。
そうした反省、内省のときが死後にあり、人はそこでかならず自分の過去の罪の認識をさせられてしまう。
大局的に『愚かなこと』をする計画があったとしても、それはあくまでもそれをする個人の責任なんです。
ホロスコープは人の魂の計画が反映されたものだというのが私の解釈ですが、ここにいかに犯罪的なことが表示されていても、それをするしないは、あくまでもその人個人の責任です。
実際には『犯罪者のホロスコープ』というのは存在しません。
ご主人とまったく同様なホロスコープを持っていても、犯罪に手を染めず、まっとうに生きている人はいます。
もちろんその星のハードアスペクトに見合った、何らかの辛い体験はすることが多いでしょう。でも、善良で、人のためになる生き方をしている人だって、かならずいます。
要は星の使い方なんです」
「星の使い方?」
「たとえば火星という星は男性的な星で、喧嘩や暴力、刃物、兵器、こういったものにも深く関わっていますが、うまく使えば活力、積極的な行動、スポーツなんかにも活かすことができます。
火星のハードアスペクトを持っているスポーツ選手はたくさんいますよ。
ハードなので、当然、辛い思い、苦しい練習などをしなければなりませんが、ハードだからこそエネルギーも強くて、それまでの限界も超えられます」
「わたしたち夫婦は、星の使い方を間違ってきたということでしょうか」
「そう言えると思います。あなたがたのホロスコープは一致している点が多い。
ご主人は12ハウスに凶星を持ち、言われたような犯罪や不倫といった行為にも反応しやすかった。
あなたのホロスコープには、逆に配偶者が12ハウスに関連を持ち、互いに理解するのが難しいようなことが表示されています。
ハードアスペクトですから、あなたがご主人と理解し合うには、もっと正面から向かい合って、理解し合う努力(ハード)をする必要があったのに、互いにそっぽを向いてしまった。
その結末が、今の状況なんです」
「わたし自身、不倫してきたことがこういう状況を生み出してしまったんでしょうか」
「一つの大きな要因だと思います。
あなたの態度が違えば、ご主人の選択も違ってきたと考えられます」
「別にこういうことになるということを、計画して生まれてきたわけじゃないんですね……」
「決まっているのは、なんらかの枠だと思ってください。
その枠の中で、魂はそれぞれが試されている。しかし、悪い方へ傾くことは簡単です。
ご主人のしたことはほめられたことではないですが、世の中にはもっともっと凶悪な犯罪に落ちて行く人間もいます。
大量に何人も人を殺す犯罪者もいます。
しかし、そのような計画をあえて立てる魂があると思いますか?
魂はみな、光であり愛なのに」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ここで、生まれ変わりの研究の基礎となっている、退行催眠による過去世の記憶再生、中間生(あの世)の記憶再生、臨死体験について、少し補足説明をしておきたいと思います。
たとえばこの記事の中にある、中間生で体験する死後の自己認識、追体験ですが、これはトロント大学のジョエル・L・ホイットン博士の研究がよく知られています。
また臨死体験者のこのような事例を報告されているのが、ワシントン大学メルヴィン・モース博士です。
人がこの世に生まれる前に、ある種の計画を立てる(本人の望む学びのために)ということについては、退行催眠による事例で非常に多くの報告があり、アメリカ代替療法協会会長グレン・ウィリストン博士、1000人以上の人に退行催眠を行ったヘレン・ウォンバック医師など。
これらの研究報告の中には、よく言われる「ツインソウル」や「ソウルメイト」に関する報告もあります。
以前ですが、私が「ホロスコープにはツインソウルとかソウルメイトといった、魂の繋がりも表示されるのか?」という質問に対するお答えの記事を書いたとき、
「占星術の理論とかなんとか言っておきながら、なんだ?! おまえなんか信用しない!」
というコメントを頂戴したことがあります(苦笑)。
たぶんこのコメントを書いたかたは、私がこういった生まれ変わりの科学的な研究成果を背景に、占星術師としての活動を行っていることをご存じなかった。
たぶんその頃の記事だけを読まれたいたのでしょう。
それで、占星術かと思えば、今度はスピリチュアル、霊能者的なことか、とお怒りになったのだと思います。
私も誤解を招くような書き方をしていたのかも知れません。
が。
科学的手法による生まれ変わりの研究が実際にあり、その積み重ねによって、
「人は生まれてくる前に計画を立てる」
ということは、理性的な判断を下すならば、十分に信じて良いだけの結果がすでに提示されている、ということを、ここであらためてお知らせしておきます。
この計画は、以前からブループリントと呼ばれていました。
西洋にも東洋にも、そのような計画が人の魂の中にはあるよ、ということを指摘してきた優れた霊能力者がいました。
日本にもいらっしゃいました。
誤解を避けるために、その方のお名前はここには表記しませんが、私はその方の著書を高校時代に何冊も読みました。
すでに故人です。
また上記の多くの博士、医師の方々の研究報告については、飯田史彦さんの著書の中に詳しく触れられています。
「生きがいの創造」「生きがいの本質」「人生の価値」など、いずれもPHP文庫から出ています。
これらの他にも飯田さんは多くの著書を出されておられ、さまざまなことを述べておられます。
読者の皆さんがどう受け取られ、判断を下すかは個人個人の責任です。
でも、ここに挙げた三つの書については、リアルな研究報告と、それに基づく仮説や提言で占められていますから、興味のある方はお手に取られることをお勧め致します。
明日は、よく言われる、カルマ、業といったものに関する、私の個人的な解釈、推論について述べたいと思います。
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