波乱の大学後期がスタート |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

先日、火曜日のこと。
私はいつものように大学に向かいました。9月末の火曜日が、私の後期講義の始まりの日だったからです。
だいたい初日というのは、まだエンジンがかかっていません。

「うーん。だるいなあ。今日から後期だよ」
などと娘にぼやいておりました。大学の教壇に立つ仕事は、結構やりがいもあるし、楽しいものです。
なので、やる気がないわけではありません。ただ長期の休みの後って、ねえ?
それにこれから後、毎週講義の準備をしなければなりません。
何も用意しなくても、毎年同じようにできるほどまだ慣れていませんし。そういうことを考えると、ちょっと気鬱でした。

ところが。

いつものようにチャイムに合わせて、割り当てられている講義室のある建物に向かっていると、その入り口で男の子が。
「せんせー、中に入れないんですけど」
「? なんで?」
「いっぱいで、入れないんです」
「マジで?!」(←あまり大学の先生っぽくない発言)
「階段まで溢れてますよ」
まさか。そんなことはあるまい。
階段を上ろうとすると、もう二階のあたりまで学生が並んでいる! 私の教室は四階です。

ど、どど、どーしたの、これ!

こりゃ、いかん。
とりあえず、なんとかしなきゃ。
私はわりとものに動じないたちですが、このときばかりはちょっと面食らいました。
「ちょっと、待っていてくれ。なんとかするから」
「いよっ! 人気者!」
「イエ~イグッド!
学生のはやしことばに、そんなふうに応じながら(ホントに先生らしくない)、とりあえず教務課へ行き、「こういう場合はどうしたらよいですか」と。
じつは前期でも、結構教室は一杯でした。場合によっては部屋を変えてもらうか、2コマに分けてもらうかする必要があるな、とは感じていたのです。

しかし、まさかここまでとは。

現在の教室は、200人弱の収容数。
溢れている生徒は、20や30ではなさそう。
教務課で調べてもらったら、300人を収容できる一番大きな講堂が使えるとのこと。人数的にもそこしか収容できそうにない。
急ぎ戻り、生徒たちに移動を指示。

用意したプリントも全然枚数が足りていない!
150枚ほど増刷して、その新しい講堂の入っているビルに向かうと、その講堂が八階にあるため、まだエレベーターで待ちの行列ができている!
もう苦笑しながらその列の最後の方に、前期でも講義を受けてくれていた女学生の顔を発見し、
「いったい、どーしたの、これ? なんで、こうなったの?」
「さあ、わかりません。それより、先生、なんでわたしが○○点なんですか!」
「いやいや、それはね……」

八階の講義室はすり鉢状というのか、奥の席がせり上がっている映画館のような構造。
どたばたで30分遅れで講義はスタートしました。
人数の圧力を心地よく感じながら、自己紹介と講義の進め方、生徒さんの評価の仕方などを説明し、まだ履修が確定していないので簡単なさわりの部分だけを。
もう完全に目が覚めていました。

「水戸黄門、ウルトラマン、浅見光彦。この三者が同じ根から誕生した存在だということを講義の中で証明していきます」
「日本人はなぜミステリーがかくも好きなのか」
「なぜ、人々は『負』の物語を語り続けるのか」

こういった事柄をテーマとする講義であることを述べ(最初のテーマで口を開けていた生徒さんもいました)、初回のプリントを配布、回収して講義は終了しました。
そして気づきました。

私は試験をしません。
初回の講義に出た生徒さんは、人数はだいたい250人でした。
そして私はプリントを何度か配って、それを採点していきます。
この作業がこれまで以上に苦しくなることを叫び

嬉しいような、悲しいような。
ま、でも、生徒さんがろくに取ってくれないのは寂しいよね。
なんだか、よくわからんが、がんばろう。
って、来週行ったら、がらがらだったりして。

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