12星座のスタート地点となるこの星座は、いくつかの側面を持っています。
まず男性星座であること。
他の獅子座、射手座などと同じ火のエレメントであること。
そして、カーディナル・サイン(活動宮)であること。
タロット・カードがナンバー0の愚者が旅立ち、魔法使いや皇帝、隠者などに巡り会いながら遍歴してゆき、悪魔の誘惑や破滅などを体験しながら、最終的にはナンバー21の「世界」を知るという構造になっているのと同じように、占星術の12星座も魂の遍歴を表示していると思われます。
牡羊座はつまるところ、生まれ落ちた子供と同じです。
元気で活発なエネルギーに満ち、自己の存在がここにあることを全身で訴えています。
牡羊座の本質は、何をおいてもまず「自己」の活動と確認にあります。
「オレは生きているんだぁ」的な満足こそが、望みです。
牡羊座的な人は、これを覚えておくといいでしょう。
「生きているはりあい」「生きていてよかったと思うこと」
これが「生きがい」というものですが、牡羊座的な生きがいとは、まさに自分の生を実感することです。
この世に在る、ということは、肉体を持って在るということです。
それゆえに牡羊座的な欲求の発露と満足は、この肉体を通じて得られることが多いようです。
牡羊座の支配星は火星ですが、これはスポーツや武術、特定の技術などに通じています。
火のエレメントは燃焼を行うわけですが、これが肉体活動ということにつながると、スポーツや武道に打ち込んでいるときに、「生」を実感するということも起きてきます。
夢中になって練習している。
一日を終えて、やり遂げた満足を得る。
大会に出場し、成果を上げる。勝つ。
これぞ牡羊座的な生きがいを感じられる瞬間ではないでしょうか。
あるいはなにかの技術に長じ、それを磨き上げていく。
焼き物でもいいでしょう。
彫金技術などでもいいでしょう。
一身にそれを作り、形にしていく。
これもまた牡羊座的な満足につながります。
またバイクで峠道を走り回って危険なスリルを感じながら、しかし、そこでこそ自分の生を感じられる、などというのも、このような衝動の一種であろうと思われます。
火のエレメントは燃焼することが本質なのですが、燃焼し続けることはできません。
大会に出場し優勝したら、そこで一度火は消えます。
そしてまた燃えさかっていかねばなりません。
このような特定の方面に傾注できる人はよいのですが、とくにこれという目的や目標がない人も大勢いらっしゃいます。
このようなケースでは、日常の中に自分の存在を燃焼させて確認できる何かを、次々に求めていくようになります。
これが牡羊座が「熱しやすく冷めやすい」と言われるゆえんです。
なにかをやり始め、最初は夢中になります。
しかし、ある程度燃焼して満足してしまうと、火は消え、興味も失います。
しかし、牡羊座はどうしても「生きている自分」を実感したいので、次なる興味の対象をかならず見つけ出してきます。
この燃焼の仕方は、牡羊座的な要素を持つ人の中でも、個人によってかなりの差があります。
たとえば月が牡羊座にある人は、きわめて日常的な短いサイクルの中で、ぱっと反応したものに関心を覚え、夢中になりますが、すぐに忘れてしまうことがあります。
金星がある人は、愛のありようが牡羊座的なものとなりますが、まさに「愛に燃えている自分」に満足を覚えることになります。
しかし、たいていの場合、恋愛期間というのは永続的には続きません。
どうしても恋愛感情は冷めてきます。
そうすると、牡羊座的な金星はまた燃焼対象を他に求めたくなるということもあるでしょう。
飽きっぽいと言われる牡羊座ですが、これは自己の生をどの星座よりもがむしゃらに実感として求めるからに他なりません。
牡羊座的な生きがいとは、生の実感、です。
