私はこのブログで、この種のことを記事にするときに、独自に決めているルールがあります。
たとえば結婚時に、「こりゃダメだろう」とか「別れそうだな」というようなことが判明しても、事前にそれを記事にするようなことは決してしません。
おめでたいことに、わざわざケチをつけなくても良いじゃありませんか?
そりゃ、記事以外で、身の回りにいる人に「この2人はたぶん別れるよ」なんて漏らす程度のことはありますが、こういうWEB上で言及する必要などありません。
それに、2人の持っている「別れそうな運気」は、別な形を取って顕れる可能性もあります。一時期に重大な危機が生じるとか、どちらかの健康や仕事上のことで問題が発生するとか、その上で2人が乗り越えられたなら、それはそれで「別れそうな運気」が消化されてしまうことだってあるのです。
「絶対、別れる」なんていう言い方は傲慢です。解読としては「80%程度、離婚の可能性が高い」とか、そういう表現の方が適切だと思います。基本的に未来は決まっていないので。
だから、別れそうな2人に関しては沈黙を守り、離婚が決定的になった場合、その解読を行うことはあります。それによって、ホロスコープ・チャートの不思議さや星々の影響がどのように働くかを知ってもらうことで、皆さんに役立つこともあるでしょうし、そこから重大なヒントを得られる人だっているかも知れません。
あ、ただ誤解しないでほしいのは、私がなにも言わない2人は「別れそうなんだな」と深読みしないで下さいね。私は基本的に芸能界にはあまり興味がなく、いちいちそんな他人様の結婚について解読を行うほど暇ではありませんから。つまり解読していない人の方が、はるかに多いのです。
中村勘太郎さんと前田愛さんの結婚について見てみようと思ったのは、会見がほほえましかったこともありますが、歌舞伎の世界で生きている男性とその奥さんになろうかっていう女性は、いったいどんなんだろう、という興味もありました。
そして、かなり興味深いことが判明しました。
これは記事にする価値があるだろう。
中村勘太郎さんは1981年10月31日生まれです。
前田愛さんは1983年10月4日生まれです。
両名の出生時間不明です。したがって解読の精度は落ちます。
蠍座生まれの中村勘太郎さん。前田愛さんは天秤座。
同じ10月の生まれですが、隣り合わせの星座です。
そして勘太郎さんは出生時の月が、射手座にあります。
これを見たときに、すぐに思い出したのは、会見時に前田愛さんが結婚後は「もう少しきれい好きになってほしい」と述べていたことです。
射手座気質にはずぼらというのがあります。
射手座的な側面を持っている人間は、だいたいにおいて部屋などきれいに片づけません。散らかっていても、自分さえ分かればそれでいいのです。あまり厳密な意味での自己管理というのができませんし、「ま、いいか」的なところが強いのです。
対して、前田愛さんの出生月は、几帳面で清潔好きな乙女座です。
彼女がせっせと勘太郎さんの部屋を掃除している姿が浮かんできます。こういう人を奥さんにすると、男性は居心地の良い生活空間で暮らすことができますが、乙女座には結構批判精神が強く、細かいことを注意してきたりするので、勘太郎さんはたぶん「どうしてこんなこともできないの」「ちゃんとしてよ」という愛さんの尻に敷かれる可能性もあります。
射手座と乙女座は、スクエアという凶角星座で、同じミュータブル(変動)サインでありながら、まったく違った気質を持っています。
射手座は何かを見極めようとする星座で、精神性と肉体性の二面性を持っています。歌舞伎芸能はまさにこの精神性と肉体性の両面の表現で、ここを追及して行くにはいい星位だと思われます。
だからこそ、こういう射手座気質は「現実的な対応力」「実務能力」が低いのです。
前に宗教や哲学は射手座の領域という話をしましたが、そんな世界に没頭している人間が、実務的な対応が十分にできるはずもありません。すでに浮世離れしているわけですから。
これに対して、乙女座は実務では12星座中でも突出した能力を誇ります。
自分鍛錬や修練という事に関わるのは乙女座で、たとえばマザー・テレサも乙女座でした。「修道女」というのは、乙女座的な職業ですが、マザー・テレサ自身の全人生が「己を高みに磨き上げる」ためのものだったとも考えられます。他人へ無私に尽くすことでのみ得られる自己修練の道だったわけです。
このように乙女座気質を持つ人は、他人のためにいろいろと細かいことまで世話してやってくれるのですが、それは自分を磨くという意欲の裏付けがあってできることなのです。
だからこそ、同じ職場にいて、同じようなことができない人間には批判的になるのです(乙女座の批判精神はここから生まれる)。
勘太郎さんの出生チャートには、他に特徴的に見られる部分が二つあって、天秤座に土星・水星・木星・冥王星の四つの合があること、射手座に月・金星・海王星の三つの合があること、などが挙げられます。
天秤座は芸術に関係する星座で、そこに伝統の土星、遺伝の冥王星があり、発展性の木星と自己表現の水星が関与しています。
また精神と肉体の射手座に、芸術の海王星、娯楽や芸事の金星、そして一般大衆の月と揃っているわけですから、この方の歌舞伎役者としての血筋と素養の高さを物語っていると思われます。
ちなみに金星と海王星が合になっている人は、愛に対してロマンチックです。夢想や幻想を抱きやすいのですが、芸術的な自己表現方法を持つと良いとされます。
「愛さんはうちの(母親)に似ている」と、勘太郎さんのお父様が言っておられましたが、勘太郎さんのチャートでは恋人である金星と、妻であり母である月は同宿で、同じイメージを持つ女性を求める傾向が読み取れます。
うーむ。現実の発言と、非常に良く一致していますね。
そして金星や月の入っている「射手座的」な女性が好きだということが分かります。
前田愛さんは射手座的なところを持っているのでしょうか?
私はチャート解読をしていて、この方は午前11時前後の生まれではないか、と推定しています。その根拠はいくつかありますが、この場合、彼女の誕生時の東の地平線(ASC)が射手座になり、射手座的な容貌や雰囲気を得るからです。
勘太郎さん好みの女性となるのです。実際、射手座ASCの女性の顔立ちのパターンを、彼女は持っているように思えます。
ほかにもその根拠はあるのですが、あまりに専門的になりますし、もしかすると違っているかも知れませんので、出生時間に頼った解読はやめておきます。
前田愛さんは、お母さんが昨年1月に病気で亡くなられています(娘さんの幸せな姿を見たかったでしょうに)。
じつは彼女の出生チャートのなかで、かなり特徴的な部分に、これを暗示するようなものがあります。母親である月が火星と合、金星ともゆるい合。そしてこれらの三つの集団が、天王星・木星とスクエアになっていることです。天王星は別離をもたらす星です。母親を早くに失う可能性があったわけです。
そして一昨年頃から、前田愛さんの進行太陽は出生の土星に重なっています。現在もなお。
やはり試練の時、辛いことがある時期ということが示されています。
通常では、この時期の結婚はお勧めできないのですが、見方によってはお母さんがこの星を持っていってくれたということも言い得ます。
お2人は七年越しの交際ということですが、勘太郎のチャートでは、2004年頃から強い恋愛の調和座相が発生し、現在もなお持続してあります。金星と火星の調和です。たぶん、彼女を愛する女性として意識し始めたのは、この頃からではないかと推測されます。
一方の愛さんにも、同様の金星と火星の合がここ数年、形成されています。ただこの合は、出生チャート時からあったもので、ある意味では意識しにくいものなのかも知れません。普通なら熱烈な恋愛を引き起こすものですが、「結婚願望は希薄だった」との本人の弁。
愛さんが結婚を意識するようになったのは、ここ2年くらいのこととか。
これはちょうど、太陽が土星に合になった頃です。
通常は試練の星であるこの星。
太陽と土星の関係。
ここにお2人の関係の秘められた部分があります。
じつは、勘太郎さんと愛さんのお2人の出生チャートを付き合わせると、普通だったら「やめておいた方が無難ですよ」といいたくなるような星が、相互にあるのです。
勘太郎さんの出生太陽は蠍座7度。愛さんの出生土星は蠍座の4度。
愛さんの出生太陽は天秤座10度。勘太郎さんの出生土星は天秤座の15度。
つまり、相互のチャートを重ね合わせると、それぞれの太陽と土星が合になっているのです(許容角があり、まったく同じ度数である必要はありません)。
太陽と土星の合は、相性を見る場合、大きなマイナス点となります。どの占星術の本にも、似たようなことが書かれていると思います(相性について詳しい本なら)。
これらの関係では、「腐れ縁」となりやすく、愛情が冷めても、なかなか縁が切れず、ずるずると続いてしまう。そして土星側が太陽側へ、さまざまな問題や精神的な苦痛や重さを持ち込み、最終的には土星側の方が疲れてしまうとも言われています。
これが相互にあるのです。
普通の人間関係だと、これは非常に重苦しいものとなります。
しかし、この2人に関しては、むしろこうでなければならないのではないだろうか、と思わせられる側面があります。
それは2人の結婚の背景に存在する、歌舞伎という特殊な世界です。
歌舞伎は芸能(金星)ですが、ここまで歴史的なものとなってくると、もはや権威や伝統と無縁ではなくなってきて、職業的にはむしろ土星的な性格を強く有するのです。
梨園の妻となる前田愛さんにとって、これは土星の元へ嫁ぐという側面があって当然です。
逆に勘太郎さんから言えば、彼にとって歌舞伎という世界は出生土星で示されているわけで、そこに共にいてくれる女性でなければならないわけです。
やや強引ではありますが、太陽が彼の土星と重なるような女性であっても不思議はないわけです。
また愛さんが結婚を意識し始めたのが、ここ2年くらいというのも、土星に太陽が重なった頃ということになりますが、これは自分(太陽)が歌舞伎の世界で生きている男性(土星)のもとへ嫁ぐということの顕れとも読めます。
つまり、普通の感覚でいう恋愛→結婚という発展ではなく、愛さんにとってこれはまさにリアルそのものな選択という見方ができます。
その過程でお母さんの死去があり、そばにいてくれた勘太郎さんへの愛情へとようやく変わった(金星・火星の合)というプロセスなのかも知れません。
このお2人の関係は、たぶん大丈夫だろうと思います。
常識的にはまずい部分があるわけですが、この2人に限ってはこうでなくてはならない関係、それが太陽と土星の相互関係に見える気がします。
占星術にはいろいろな法則や決まり事、セオリーがあるわけなのですが、いつもいつもそのセオリー通りの解読をしていると、とんでもない過ちを犯してしまうこともあります。
100人に当てはまるからと言って、1000人に当てはまるとは限らないのです。やはりそれぞれのケースについて考えてみて、その背景まで考慮に入れなくては、正確な鑑定はできません。
自分自身、自戒と共に学べる解読でした。
2人はきっとうまく行く。
この解読は多分正しくて、だからこそ、この記事を書いてみる気になりました。
梨園で2人、素晴らしい夫婦となってほしい。
そんな願いを込めて。
