良い小説とは? |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

そう言えば、しばらく前に娘が通っている大学の先生からお手紙を頂戴した。
ファンレターだそうな。

どういう成り行きかは知りませんが、父親が作家であるということを知った先生が、私の本を読みたいと所望。「業火」をお貸ししていました。
何でもご夫婦で読まれたとか。
その感想を書いて来て下さったのです。

過分なお褒めの言葉に預かり、嬉しかったのですが、その先生は大学の講義でも「小説にとって一番重要なのはプロットだ」と教えられているそうだ。
これは実際、そうだと思います。
プロット。つまり筋立てなのですが。
どこまでをプロットの定義に当てはめるかは、人それぞれ微妙なものはあるでしょうが、プロットを作成する背景には、作品のテーマや登場人物のことまで、ある程度視野になければ作れません。
それに物語世界を構築していくときの、構成力といったものも、このプロットには如実に現れます。

フリーハンドで、プロットも作られずに書いていく作家の方もいらっしゃいますが(内田康夫さんのように)、謎解きをメインに据えた推理小説では、プロットなしでの創作は自爆を招きかねません。
最後に辻褄が合わなくなってくる危険もあるからです。
たしかにプロットは重要。
後は文章力、表現力ですかね。

私は小説の構成する要素はいくつかに分けて考え、前期の講義ではそれを生徒さんに教えていたりするのですが、それは以下のようなものです。

テーマ。
ストーリー。
登場人物。
推理小説の場合、これに「謎」が追加される(一応、ストーリーには含まれますが)。

作家としての力量要素としては、

文章力、表現力。
構成力。

の二つに大別されます。
文章力は人物や情景、心理などの表現力に関わっていて、内的なものです。
構成力はストーリー全体の骨組みや、章立てに関わっていて、どちらかといえば外的な性格です。
パソコンで言えば、前者がソフトで後者がハードでしょうか。

プロットはどちらかといえば、ハード面です。
しかし、ハード面が弱くても、人物の心理描写などに突出した光るものがあれば、弱さを補ってあまりある魅力を持つ小説になることもまた可能です。

小説家を目指す方は、ここら辺のことを意識して、自分の性格にあった小説の書き方をしてみたらいいでしょう。