みんなが持っていないのは鍵だけ |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

今日は大学の日。
「ノー・ソリューション」を使用した講義の二回目。
第一話の初級編ミステリー、「消滅した夜」をみっちりとやりました。先週は風邪のために休講させて頂いたのですが、先々週と二回に分けてストーリーを解説。その上で、今日は生徒たちにプリントを配布して、二つの設問に解答してもらおうとしたのですが……。

設問は、「犯人は誰か」「伏線を三つ述べよ」というもの。
やはり事前にインターネットで「ノー・ソリューション」の解答を見ていた生徒以外には、なかなか答えられない(「ノー・ソリューション」は解決がない推理小説ですが、ネットで解決編を読むことができます)。
まあ、無理もないのですね。普段は本も読まない生徒たちがほとんど。推理小説の謎解きをして、その根拠を示せと言われても、できるはずがありません。

しかし、これまでの講義で伏線のなんたるかは学んできた生徒たち。
このままプリントを回収しても、ネットで解答を読んだ生徒と読まなかった生徒に差が出て不公平になるので、私の方から「消滅した夜」の伏線を説明しました。これとこれとこれだ! みたいな感じです。
「消滅した夜」のメインの伏線は四つ、ないし五つあります(補足的なものも含めると七~八個かな?)。
これらをストーリーから抜き出して、書き出す。そして、これが伏線だ、では犯人は誰か? というような問い方をしてみたら、ネットで解答を読まなかった生徒からも正解の声が上がりました。

皆、ちゃんと推理できる力はあるのです。
しかし、目の付け所が分からない。

これは重要なポイントです。
もちろん推理作家は、どこに目を付けたらいいのかわかりにくいように書いています。でなければ、プロではない。
しかし、伏線について深く考察していくと、「わかりにくい」書き方にはいくつかのパターンがあることが分かってきます。
ということは、生徒たちの問題は、どちらかというと技術的な問題、視点の問題ということになります。

これをクリアできれば、彼らにも名探偵になれる「力」があることになります。
前期の講義の、(新しい)目的はこんなところにもありそうです。
なぜなら、これは推理小説の読み手の力量云々だけの問題ではないからです。

ホロスコープなどを日頃から解読している身としては、個人の才能や力にはもっともっと可能性があるはずなのです。
その可能性を指摘しても、多くの人は首をかしげます。
自分にそのような才能や力があると思えないからです。

これが今の教育制度や子供を育てる家庭環境が作り出した人間たちということになります。
でも、人にはもっと可能性があるのです。
じつは。
要はそれを信じられるかどうか。
そして、それを発揮できる一つの手がかりが得られるかどうか。

ここが私の講義との接点になりそうです。
からくりさえ知れば、皆、名探偵になれる。
鍵さえ手に入れれば、皆……?