サンショウウオの話28/礼子 |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

会社から帰ると旦那がドーモーの水槽に貼り付いています。
「ほらほら」
呼ばれて行ってみると枯葉ばっかり。
「実はここにいる」
一枚をめくるとドーモーが迷惑そうな顔を上げます。旦那はニコニコしてまた枯葉をかぶせます。着替えて通りかかるとまた呼ばれます。
「今はここにいる」
違うところをめくるとまたドーモーの嫌そうな顔。ズルズルと別の葉に潜りこんでいきます。
旦那の観察によると毎日葉っぱの位置が変わっているそうです。どうも一ケ所に集めているらしい。それ逃げているんだって。嫌われていますよ。
子供に鬱陶しがられるおとうさんってきっとこんな風なんだろうなと考える日々。