6月の予測を書く前に、皆さんにご報告したいことがあります。
失笑を買うかも知れませんが、占星術師としての私が抱えていた問題は解消されました。
もう? と思われるかも知れませんが、私は答えを見つけました。完全ではありませんが、少なくとも再起するだけに十分な力を得ました。
それをもたらしてくれたメールを、ここに原文のまま転載致します。
「今日は長時間に渡りお話を聞かせて頂きありがとうございました。(中略)上手く表現できませんが、いろいろお話を伺いなんだかホッとしています。すごく今は幸せな気持ちで胸がいっぱいです。(中略)なんだか未来が楽しみになりました!」
この方は、私が今月中で占いを無期休止すると聞いて、駆け込みで予約を入れてこられた、私にとっては当面、最後になるはずの相談者でした。
初めての方です。
私はいつものように占星術とタロットを使った鑑定を行い、そして相談者の方の出生時間が不明だったので、調べてメールで連絡して下さるようお願いしていました。それによって、よりはっきりとした鑑定が行え、アドバイスが可能になるからです。
その方は出生時間を調べて、私にメールをくれました。その前後のやりとりで、上記のようなお言葉を頂戴しました。
これで当分、占術から遠ざかるつもりだった私にとって、「幸せな気持ちで胸がいっぱいです」という言葉は、強烈なボディブローのようでした。
理屈ではありませんでした。
「私は小さいなあ」と、私は家内に言いました。「こんな事を言ってくれる人がいるのに、私は自分の悩みで頭がいっぱいで、占いから手を引こうとしている」
未来が見えていなかった人、これという希望が持てなかった人に、これだけの気持ちの変化をもたらすだけの力が自分にはある。なのに、自分はそれを丸ごと放棄しようとしている。
力と言っても、本当は知れています。私は自分を救うのは自分以外ないと思っています。すべては本人次第です。占星術やタロットは、そのささやかな補助をするだけ。
小さな子が、補助輪付きの自転車に乗るのと同じです。そんなものはすぐにいらなくなる。自分で走って行くことができるようになる。
でも、そのささやかな導きで、人の心に希望の火を灯すことができる。
それを見ることが、私自身の喜びでもありました。
そんなものは錯覚だよ、という人がいます。
それどころか、キミは間違ったことをしている、という人も。
そうなのだろうか?
私のしてきたことは無意味?
それどころか、罪?
ここのところの懊悩は、それでした。
占いを辞めてしまおうと決意し、商業占術からの撤退を表明しました。
そのとたん、私は失調しました。1年と5ヶ月ぶりにダウンし、その後もなかなか回復しませんでした。その折りに顔を合わせることがあった薫からは「顔色が悪いというより、オーラが違う」と言われる始末。
頭痛持ちでもないのに、こめかみのあたりがずっとすーすーして、気力も体力も底を突いた感じになってしまいました。
してはならないことをしようとしている?
ふと思いが胸をよぎりました。
しばらくすれば治る。そう思っていました。
しかし、なにか胸に穴が開いたような感じがしていました。頭もずっと、すーすーしている。
そう、空洞があるのです。
寂しいのです。
その正体が、その方からのメールではっきりと見えてしまいました。
例外的な少数の人、縁ある人だけは今後見ていく、ということを考えていた私は、その方のような、これから私が出逢い、話をし、救ってあげられる(正確にはそのささやかなお手伝いができる)人の可能性を、ごっそり排除してしまっていたのです。
未来の出逢いを。
そこで待っている人たちを。
いつの間にか、私は鑑定で会う人々に、一種の普遍的な愛情を感じるようになっていたのです。
それを切り捨てる。
それゆえに、私の胸に穴が開いていたのです。
「い・や・だ」
女探偵Kはそう言った。
「君のことはずっと変わらずに見てあげるからいいじゃないか」
「いー・やー・だ!」
なぜ、彼女は自分が受けられるものは変わらないのにそう言ったのか。
私が私でなくなるのが、嫌だった……?
私は傲慢だったのかも知れない。
笑えば笑え。
軽率だとか、節操がないとか。
だが、自分をごまかすことができない。
私は自分に戻ろう。
そう思った。
それに、もう一つ、頭を悩ましていた問題が、とたんに崩れ去った。同期したかのように。
これは偶然?
しかし、このことで私は押し入れにしまい込んでいたものを全部引っ張り出し、整理することができた。
皮肉にも。
そして、この先、自分がどこへ到達すればいいのか、そうすべきなのか、見えている。
それは、この出来事があったから。
この苦しみがあったから。
具体的な目標。
そして私が精神的に到達しなければならないポイント。
その二つを抱えて、戻ろう。
みんなのところへ。
未来で待つ人たち。
そして今も共にある人たちのところへ。