未来が現在を創造する? |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

私が絶対に認められない考え方の一つに、「未来は決まっている」というものがあります。
これは最先端の量子物理学の結論にも反しますし、不確定性原理(観測者の観測行動そのものが物体に干渉し、未来を変えてしまう=客観的に完全に未来を予測できる第三者は存在しない)もそれを裏付けるように思えます。
つまり、おこがましくも人間が「あなたの未来はこうです」なんて言うのは、不遜もいいところ。
意志と選択で、未来はどうにでも変わる。

これが私のスタンスです。
しかし、この頃、未来予測を行っていると、未来が現在を創造しているのではないかと、ふと錯覚に陥ることがあります。
たしかに量子の世界では、未来は何も決まっていない。
これが真実です。
しかし、もっと低いレベル、あるいは物質的なレベルでは、未来が確定的になってしまっている事柄も存在する。

たとえば単線の鉄道で、止まるべき駅で各駅停車の列車が待機せず、向こうから特急列車が走ってくるような状況では、このままでは列車は正面衝突するというのは、誰にでも分かる話です。
未来に起こり得る出来事は、出産にたとえられます。
出産という未来があるとき、それに先だっては当然、性行為があります。
生まれてこようとする子は、まだ人々の目に触れてはいませんが、受精後、母親の胎内の中で確実に成長し、現実化していきます。それにつれて、母親のお腹は目に見えて膨らんでいきます。母体には大きな変化が生じます。
つまり生まれくる子が未来、母体が現在なのです。

私はホロスコープを解読するとき、よく運気を天気にたとえます。
「今日は晴れ、明日は曇り、明後日は雨。つまり占星術は天気予報みたいなもの。これが運気で、星の上ではこれは確認できること。しかし、雨の降った日にどうすればいいのか? 家にいるのがいいか、傘を持って出かけるのがいいか、それは本人が決められます。そこに無限の未来があるのです」
運気自体は変えられない。
雨の運気だったら、それは受け入れるしかない。
しかし、そこで幸せに生きられるかどうかは、すべて本人にかかってきます。
それは自己責任なのです。
肺ガンになる危険が非常に高いと指摘できる運気の人が、煙草を毎日吸い続ける。

これは肺ガンという未来によって、現在を左右されているとも言えるのかも……いや、違う! 断じてそんなことはない!
私は首をふる。絶対にそれは受け入れられない。
それは本人の責任。
断固とした意志で煙草を断てば、未来は変わる。
それをするか、しないか。それだけだ。

しかし、あまりにも予測通りに起きたチベットの悲惨な状況を見ると、そんな弱気な考えも起きてしまう。
でも、私は運命論者にはならない。
絶対に。