ある飼い主との会話(注・飼い主は私ではありません) |  ZEPHYR

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ゼファー 
― the field for the study of astrology and original novels ―
 作家として
 占星術研究家として
 家族を持つ一人の男として
 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。


「にゃんた! 大変よ!」
「どしたの?」
「か、か、か……」
「また隣でカレーを食べている人のをつまみ食いしたの? コバンザメみたいに」
「違うわよ!」
「分かった。海パン男が目の前に出てきて叫びながら踊ったんだ」
「踊らない踊らない、そんなもん! うるさいから黙って、よく聞いて、いい?」
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じー。
「なんと、火星が地球に最接近するのよ」
じー。
「火星がね、地球に近づくの。すごくすごく近づくの」
じー。
「それがなんと今日なのよ!」
じー。
「なに、冷静に見てんのよ! なんとか言ったら? ちっとは驚きなさいよ! カニカマ、上げないわよ!」
「……で?」
「え?」
「それで、どうなるの? 火星が地球に最接近すると、なにか起きるの?」
「…………」
「ねえ、なにが起きるの?」
「そ、それはねえ……」
「夜空に赤い星がすごくよく見えるようになるなんて言わないでね。今だったら、オリオン座の左の方にすごくよく見えてるけどさ」
「あうあう……」
「火星が地球に近づくと、どんなことが起きるの?」
「それは、ほらっ、引力とかの関係で……ねえ」
「また誰かから占星術の専門的なこと聞きかじってきたでしょ」
「う……」
「いいよ、もう。直接、電話して聞くから。携帯貸して」

にゃんたから私(zephyr)に電話があったのは、その5分後だった。