女神は嫉妬深い? |  ZEPHYR

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先日、ある方から出雲大社にカップルでお参りすると別れるという話を聞いた、と質問(?)を受けました。

この春、私は家内と二人で出雲に行き、できたばかりの島根県立古代出雲歴史博物館を見学した折、やはりお隣の出雲大社にお参りをしています。
一般的には縁結びとして知られる出雲大社にはじつは嫉妬深い神様がいらっしゃって、カップルを別れさせようとするという話は、ずいぶん前にも聞いたことがあります。
ただ祀られている大国様(だいこくさま)、オオナムチの命は男性で、七福神の印象もあって、どうも嫉妬深さとは縁がないように思われます。
出雲大社におわします神様には、たぶん謎があると思われます。

神話上、オオナムチにはスセリ姫という奥様がいたことになっていますが、北陸のヌナカワ姫のところへ出向こうとするオオナムチに対して、嫉妬心を訴えたことが記紀に記されています。
案外、出雲大社にはこの妻神の影響が強いのかも知れませんし、またオオナムチそのものが実は女性神であったという可能性も出てくるのかも知れません(そんな記述は記紀のどこにもありませんが)。

しかし、嫉妬の神様として知られる弁財天は、やはり女神です。
もう十年ほど前になるでしょうか。
私は家内を伴って、奈良県の天川弁財天に行ったことがあります。
到着は早朝で、私たちはちょうど宮司さんが朝のお勤めをされるところに居合わせました。
他にはたぶん地元の男性の方が一人いらっしゃっただけで、宮司さんのほかは三人でした。

このK宮司さん、その世界ではたいそう有名な方で、ご自身も霊的な能力があるとか。
その祝詞を聞いているうち、私はものすごく気持ちよくなって、眠気さえ覚えました。
すーっと全身が浄化されるような心地でした。

その後、宮司さんが私たち一人一人にお参りを許されたので、順番に前に進みました。
私の後、家内がお参りをしようとしたとき、K宮司さんが、
「奥様ですね。少し後からお参り下さい」
と告げたそうです。
つまり私といっしょにお参りしないように計らってくれたわけです。

後でその話を聞いたとき、弁財天は嫉妬の女神という俗説を思い出し、そのことを気にされたのだろうかと考えたのを覚えています。

しかし、だとすると私たちはかなり無謀なことをこれまでにやってきています。
上野の不忍池の弁財天、東京稲城の弁天洞窟、和歌山の三段壁洞窟の牟婁弁財天、他多数。
めいっぱい行っています。
しかし、別れたりしておりません。
なぜか自分たちは大丈夫という確信が私にはあり、平然としているのですが、気にされる方は好んでカップルで行かない方が良いでしょう。
恋人はダメで、夫婦なら良いという俗説もあります。

個人的には、そういう場所に出向いてしまった者には、神様はそれなりの試し(試練)を与えるようなことがあるのかもしれないな、と感じています。
しかし、それを越えたら二人の絆はより強くなる。
越えられない場合、結果的にうまくいかなくなるので、「別れさせる」という俗説ができたのではないでしょうか。

ちなみにあまり知られていませんが、縁結びの本家本元は、やはり出雲の八重垣神社です。スサノオの命と、彼が八岐大蛇から守り抜いた妻、クシナダ姫を祀っている神社です。
興味ある方は行ってみて下さい。
ひっそりとしたきれいな神社です。
奥に池があり、そこに和紙を浮かべ、コインを載せてする占いができます。
その和紙が早く沈めば、早くに結婚できる。
近くに沈めば、近場の人と結婚する。
逆に遠くへ行き、遅く沈めば、距離も時間もそれなりにかかるということです。

私は神社大好きです。