「あなたは、ひょっとして薫葉豊輝さんではないですか」
「誰ですか、それは」
「まさか、記憶を失ったとか」
「……そうかもしれません。幼い頃から学習した言語は覚えているんですが、自分にまつわる記憶の方が……」
「なら、ご自身のブログを御覧なさい。記憶を取り戻すよいアイテムかと思われますよ」
「では、そうしてみます」
ブログ閲覧中。
「あ~っ思い出した。それにブログをやっててよかった~! ブログは、記憶喪失者の回復に効果ある素晴らしいアイテムだ! 早速、(私家版)『二十一世紀大事典』に記録しよう」
数年後。
世の中の記憶喪失者の回復が増加しているという噂が流れた。
その原因はどうも、薫葉豊輝著(私家版)『二十一世紀大事典』の中の「記憶喪失者の回復法」という欄を読んだ者達から波紋が広がったことが原因であると究明された。
そして薫葉豊輝はその印税で、自身の参加している「ZEPHYR」という団体のために、「ミステリー・バー」を開店させたようだ。
左右にホームズ像とリュパン像が店頭に並ぶ雰囲気のあるドアを開けよ。
ミステリーにちなんだ(店主I特性)のお酒を杯にくべよ。
何だ、このミステリアスな味は。 (青汁のCM風に)不可解、もう一杯!
そして、奥へ行くと、プチ風車があり、ボタンを押すと、「風」が発生した。
どうやら風を自力で起こす機械らしい。
風よ、吹け吹け。
BGMから、そんなフレーズが聴こえてきた。