東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」を読み終わってしまった。たった2日で。ああ、もったいない(時間のない私にとって2日で読了というのは、異常に短い。つまりそれだけ面白かったと言うことだ)。
以前、薫葉君から聞いたのだが、この作品についてなにやらネット上で議論が巻き起こったとか。
私は普段、ネットで遊ばないし、あまり関心もないので、それがどういう議論であったか、内容はまったく知らない。
煎じ詰めれば、小説は読んで面白いかどうか、ミステリーなら謎解きに納得がいくかどうか、その解明が美しいかどうかといったところが重大なのであって、要するに個人的にそれらが満たされれば何もいうことはない。
私にとって「容疑者Xの献身」は、このすべてを満たしていた。最後には力でねじ伏せられた。
さすがは東野さん。素晴らしい。(拍手)
ただ、実を申せば、この作品の三分の一弱のところで、私はこの事件の中での最大のトリックを見破ってしまった。比較的早くに気づいたので、その後のストーリーも8割は読み切ってしまった。
私も以前、イベント・ミステリーのある原作で、似たような方式をとったことがあるので、たまたま気づきやすかったのかもしれないし、私もミステリーの読者としてはかなり嫌らしいタイプだ。
作者の張る伏線にかなり敏感な方だ。
ただそのトリックの用法というのか使い道について、若干異なる想像もしていた。
しかし、解決では全納得した。
比較的早く見破ったからと言って、作品が面白くなくなるなんてこともない。
最後の結末では、「人間」が立ち現れてきた。「心」が現れてきた。
これぞ上質のミステリーだろう。
最高のディナーを頂戴しました。
ごちそうさまでした。