エジプト発掘展に行ってきた |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

じつを申せば、「ノー・ソリューション」は本格ミステリーではない、と私は思っている。
本格ミステリーであるための重要な要素が、「ノー・ソリューション」にはたった一つ欠けているからだ。
しかしながら、謎それ自体は本格に匹敵するだけのものを備えていると思う。
謎解きそれ自体は、だから非常に面白いものとなっているはず?

日本人にとって「本格ミステリー」とは?
昨年、大学の後期の講義でこれを見極められたのも大きい。
そのあたりのことを近々、皆さんにお話しする機会があると思う(たぶん薫葉君あたりから発信されるでしょう)。
遠回りしているようでも、無駄なことなど人生には一つもないのだと実感することの多い今日この頃。

ところで先日、「吉村作治の早大エジプト発掘40年展」に行ってきた。
早大がこの40年間にエジプトで発掘を行ってきた成果を展示したもので、日本ではこのような機会はなかなかないだろうと思い、足を運んだ。
素晴らしい発掘物の数々だった。
数千年という時の流れの残骸たち。
あるものは破損し、あるものは形を留め、あるものは色あせ、それでもなおその時代に生きていた人間たちの証明としてそこにある。

素晴らしい仕事だな、と感じた。
それだけでなく吉村先生の「夢は叶う」という熱い思いが、それらの成果から伝わってきた。
先生は子供の頃にエジプトに行こうと思い、そんなことできるはずもないという周囲の常識的発想の波を乗り越え、努力を重ねて来られた。
行けるようになったら行こうではない。
とにかく行ってしまえ、みたいな強い意志があった。

私と同じだな、と感じた。
吉村先生ほど私は偉大ではないが、夢は叶う、いや叶えてしまえ、というの意志は、自分にもあるつもりだ。