先日、大学の講義で江戸川乱歩、横溝正史、松本清張の三人を取り上げた。
これまで個別にを話をすることはあっても、三人まとめてということはなかった。それなりに有意義な論考ができたと思う。
この三人が日本ミステリーの三大偉人であることは、ほぼ異論がないと思う。
いや、現在それ以上の人がいる、彼ら以上の書き手がいる、彼らなど問題にしないほど売れている作家がいる…と、こういったご指摘があるとすれば、これは論点がずれている。
我々が彼らを偉人とするのは、時間という洗礼を受けた後に現れてくる彼らの業績(作家として残した作品群、そして世間に与えた影響など)をもっての評価である。
日本ミステリーの礎を築いた乱歩、本格推理の王道を職人技的な創作で貫いた正史、社会派ミステリーの源泉ともなり、推理小説全般の評価を文学として確固たるレベルにまで引き上げた清張。
彼らの業績がなければ、今のミステリー界は存在しない。
この三人の個性と著作、そして時代背景などを見たときに、非常に有益な収穫があった。
今まで多くの人が見過ごしてきた「空白」=ブランクがミステリー界に存在することに気づかされた。
これはきわめて重要な発見なので、この場では公表できない。
なぜかというと、今後の私やZEPHYRの創作にも関わる話だからだ。
私自身、大好きなある方向性。これをなぜ今まで他の人は選択しなかったのだろう?
あまりにも目立ちすぎたのかもしれないし、それが幼稚に思えたのかもしれない。
しかし、本当は違う。
戦後のミステリー史は面白い。