予定通り14日にはフォーシーズンの新作を脱稿した。
原稿にして117枚。
実質、12日間で書き上げた。
イベント用の作品だから、内容については何もいえない。
が、これまで書いたことの無い種類のものであることは間違いない。そんなものが自分にできるのかどうかと言う不安は、最初から感じていなかった。だいたいいつも出来ると信じている。
傲慢ゆえではなく、人間の潜在能力を信じているからだ。
作家と言うのは自分ひとりの力で作品を書くのではない。--ということを、本物の作家なら必ず体験的に知っているはず。
それは神秘的な創作作業で、「自分が創る」のではなく、「自分に宿る」のだ。
今回,久々にその「宿り」を強烈に体験した。
どんな小説でも大なり小なり、その「宿り」はある。が、イベント用のミステリーなどでは、論理構築と必然的に求められるストーリー展開などの強制があって、なかなか強烈に得られることない。
が、今回は冒頭からFINまで、その「宿り」を感じた。
書く前にA案よりB案のほうがいいかなと思っていたのに、なぜかA案に沿った書き方をしてしまい、それが謎解きでも最終的に効果的な形で結びついたり、登場人物の動きが予想もしない方向へ向かっても、それがうまく展開と解決のための伏線となり、主人公の暮らしの細部までもがミステリーとしての構造を「結果的に」補強した。
端的にいえば、導かれて書いたら全てがうまく行った、というわけである。
この新作の執筆で、私は忘れがちになっていた大切なものを取り戻したように思う。
一仕事終わったところで、「リメンバー」を再開する。
きっとこの感覚が「リメンバー」にも生きると思う。
「リメンバー」をこの四ヶ月ちょっと中断していたのは、ひとえに私の個人的事情である。
しかし、それも先が見えてきた。
この先に待っているいくつもの仕事を、どんどんやっつけてやる(ま、現実の生活があるから、なかなかどんどんとはいかないけどね)。