カウンタック(奇跡の個体) |  ZEPHYR

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― the field for the study of astrology and original novels ―
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 心の泉から溢れ出るものを書き綴っています。

前回に引き続き、漫画の話である。

「カウンタック」というヤングジャンプに連載されている漫画が、ここのところのお気に入りだ。


カウンタックというのは、知っている人も多いと思うが、イタリアのランボルギーニ社が作ったスーパーカーだった。今はもう生産されていないが、フェラーリに対抗する最右翼のメーカーの伝説的マシンとしてファンも多い。

カウンタックはマルチェロ・ガンディーニがデザインした前衛的なスタイルも含め、最高時速300km/hを誇るスーパーマシンとして、その名を知られていた。

フェラーリのマシンは外見的に「美しい」「きれい」「流麗」とかいう表現がありがちなのに対して、カウンタックは「すげー」「なんだこりゃ」「速そう」といった人間の直情的表現が相応しい。


私が中学生の頃、「サーキットの狼」という池沢さとし氏の漫画が流行っていて、これがスーパーカー・ブームに火をつけた。

私も放火された一人だった。

その頃、カウンタックはカリスマ・マシンだった。


しかし、時代は変わり、いまや国産でもちょっといじれば300km/hオーバー。

それでもなお、カウンタックの光は、ほかをよせつけないものがある。


「カウンタック」はそんなスーパーカーブームに子供時代を過ごした青年が、本当に夢をかなえてカウンタックを入手、そこから始まっていくさまざまな出来事をドラマにしている漫画だ。

読んでいると共感して、「うん、うん、そうだよな」とか思う部分が多い。

作者の思い入れが熱く感じられる。


最近のストーリーでは、オリジナルのカウンタックでは本当は300km/hなど出せないので、カスタマイズする話になっている。

この過程で、主人公の持つカウンタックがメーカー公称値どおりの2450mmのホイールベースだとか、メーカー値以上の前後のバランスが実現されているとかいう話が出てくる。

当時のカウンタックなどのマシンは、一台一台ハンドメイドされていたようなものなので、メーカー公称値がそのまま実現されていることの方が珍しいのだ。

ゆえに主人公のカウンタックは、「奇跡の個体」だとまで言われるようになる。


奇跡の個体。

素晴らしい表現だ。

じつは私は最近、自分の身辺でも「奇跡の個体」を発見した。


以下、次回に続く。