新型のマツダ・ロードスターを街で見かけるようになった。
じつは一年前、ちょうど今の時期まで、私はロードスター乗りだった。
NA、ユーノス・ロードスター初期型である。
一年前、息子をその車で通学の集合場所まで送っていった帰り、近所のおっさんの乗るRV車が下りの右コーナーをインベタで突っ込んできた。
向こうから言うインベタだから、つまり私の真正面です。
衝突の瞬間までに私はほぼ停止したが、向こうはかなりのスピードを出していて、しかも下り、しかも小雨が降っていたこともあって、止まれなかった。
もろロードスターの鼻先を潰してくれ、その反動でギヤ抜けを起こした我がロードスターは後方へはじかれ、あろうことか2メートルはあろうか、土手下の田んぼへ尻から落下、突き刺さってしまった。
私は車の中で、成層圏を目指すパイロットみたいな姿勢で空を見ていた。
前と後ろの両方だ。年式が古いので、車両保険で出るお金では直せなかった。
それに車体が受けたダメージを考えると、安心して今後乗っていくことも難しいと判断、14年間を共にした愛車を手放すことになった。
NAでどこへでも取材に行った。関東、近畿、四国、九州。たいていは家内と一緒だった。
その思い出いっぱいのロードスター。
ちょっと辛い。
しかし、思い出まで消えてしまったわけではない。
いつかまたロードスターに乗る日が来るだろうか。
それはわからない。
しかし、いつかまた。