無意識運動が営んでいた生命に
妊娠３ヵ月ごろに乗り込んだ意識が「わたし」。
だからずっと「わたし」が生きていると思っている。
その「わたし」が何かのきっかけで健康でいたいと願いだす。
腕時計やスマホで血圧や心拍数、睡眠時の呼吸のデータを管理したり
食事のカロリー計算をしてみたり
「わたし」は健康について向き合っていく。
すると「わたし」という自我意識が忙しくなっていく。
脳内の思考が常に健康について考え始めるころには大分忙しくなっている。
この生命を運営している無意識運動をもっとも邪魔をしているのが
大脳緊張になる。
要は脳内の思考。
だから思考を使って健康を管理しようとすればするほど
皮肉なことに無意識運動は滞っていく。
でも立ち止まってよく考えてみると見えてくる
生命を営んでいる無意識運動って
肺での酸素や二酸化炭素の出し入れ
体液、血液の循環
採り入れた食物の分解から吸収、そして排泄
皮膚での呼吸から排泄
どこをとっても「わたし」は一切関与していない。
ぼくらは当たり前のように朝、目が覚めると思っている。
当たり前のように口から放り込んだ食べ物が数時間後に肛門から出てくると思っている。
当たり前のように手足やカラダを動かせると思っている。
営まれている生命の営みは当たり前であるが故になかなか認識できない。
病気や怪我によって当たり前が、当たり前じゃなくなったときに初めて気づける。
生まれてからずっと無意識運動の営みに乗り込んでいるのにね。
整体指導で愉気をしていると
当たり前に営まれている無意識運動に嫌でも気づける瞬間がある。
それが意識運動では絶対に出来ない動きをカラダがやりだしたとき。
痛いという膝に愉気をしていたら
太腿の薄筋という筋肉だけが、まるで尺取り虫のように動き出した。
むにょーん、むにょーん、むにょーん
カラダの持ち主である本人も、横にいた奥さんも目を丸くして
無意識運動が行なっている動きを見つめていた。
感情が滞っている仰向けのお腹に愉気をしていたら
突如として、お腹中のいたるところから
まるで沸騰した鍋底から沸き立つ気泡のように
天井方向へ、ふわぁ～っとお腹が沸き立った。
カラダの持ち主である本人が怯えるほどの光景。
カラダが野蛮であるって
実はカラダにとっての最高の誉め言葉。
無意識運動が活発に動けるカラダと言ってもいい。
人生で女性のカラダが一番野蛮になる時期。
それが妊娠中。
四国に嫁いだ方が
妊娠して悪阻が酷いからとわざわざ再び訪ねてきてくれた。
もともと活元運動もやっておられる方だったので
調整をして目に愉気を行った。
仰向けになっている彼女の目に、ちょうどぼくの手のひらの中央を当てる。
ぼくの手のひらの真下に彼女の眼球があったんだけど
途中から眼球が激しく天井方向へ動き出した。
この動きは意識運動では絶対に出せない。
本物の活元運動が出ているかどうかの指標でもある動き。
ぼくの手のひらは動かしていないんだけど
まるで手で眼球をバスケットボールのドリブルしているみたい。
３０分近く眼球は激しくドリブルしていた。
愉気をしているぼくも
愉気を受けている彼女もただただ激しく勝手に動いている眼球を感じていた。
この動きはカラダがやりたくて行っている運動。
自分の意識がまったく関与していない不思議な運動が収まるまで
ふたりで見守ることになった。
目が緩んで頭骨が緩んで、連動している骨盤の可動性が回復すれば
悪阻など表現する必要がなくなってしまう。
カラダがやりたいことを、カラダにやらせてあげるだけ。
カラダが動きたいように動いている光景は大切なことをぼくらに思い出させてくれる。
※演奏している人が泣いている名演
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