頭をポカーンとさせて
カラダの力を抜くとカラダそのものが動き出す活元運動。
調整したいところを勝手に自ら動いて調整していく。
それは人間が頭で作った健康法じゃない。
いのちがやっていること。
いのち自らがやりたい調整。
その活元運動を訓練していくと
カラダが整体に近づき
野生を取り戻していく過程で
面白い感受性の変化がある。
背骨の弾力が回復して
カラダの感受性も回復していく過程で
ぼくの場合は好き嫌いが激しくなった。
もともと好き嫌いは激しいほうなのに、困った。 
この人、すごく根性悪そうなんだけど～
この人、人相が悪いから触りたくないんだけど～
生理的に触りたくないんだけど～
え～嫌なんだけど・・・・・
申し訳ないけど、感じてしまう
とはいえ、そんな感覚すらないようでは
カラダの野生はたかがしれているから
整体指導者には向いていない 
ふれることでこちらの状態に感応させていく。
愉気とは、
こちらの安心感を相手の中に放り込むことでもある。
野口整体の講習会などは女性が多かったので
ぼくのような大男は組む相手としては敬遠される傾向があった。
あるとき、２人組での稽古であぶれている
ものすごく暗～い顔をした
根性の悪そ〜うな女性がいた。
仕方なく 
いやいやながらその方とペアになって驚いた 
ぼくらはまずうつ伏せになっていただき
背中に気を通していき
背骨を観察してその人の状態や歴史を観察していく。
その女性の背骨は
恐竜ステゴサウルスのようにギザギザだった。
講義でしか聞いたことのない背骨。
まれにあるというギザギザの背骨からは
長期にわたって受けた暴力
DVなどを連想しなければいけないよと教わっていた。
そのギザギザ背骨をした女性が
まさに今ぼくの前にうつ伏せになっていた。
そっかあ
だからこんな顔になってしまっているのか
本当に暗さがこびりついたような顔をしていた。
と、同時に彼女に触れながら
申し訳ない気持ちになった。
ごめんなさい
そりゃ、暗い顔になっちゃうよねって。
ぼくの整体指導室は８畳ひと間のビルの一室。
部屋に入って来られてパッと一瞥すると
ものすごく暗い顔をされた方や
不幸せな顔をされている方がみえられることがある。
入ってきたのは久しぶりに会う友人だった。
２歳の子供を持つママなのにまとっている空気は
不幸せそのものだった。
えっ、なぜ？
こちらに緊張が走った。
伝わってくる緊急事態は何によって引き起こされているのか。
まずはカラダが深呼吸できるように
休息ができるように調整を施した。
驚いたのは
数日後に彼女の旦那さんが亡くなったことだった。
おそらく自殺だと。
部屋に入った瞬間に
ぼくが感じた強烈な違和感
いったいあれは何を感じ取ったんだろう。
知り合いに頼まれて乳癌のひとを観たことがある。
当日、部屋に入ってこられた女性はものすごく暗い顔をされていた。
乳癌の手術は終えられていると伺ったんだけど
あきらかに卵巣部にしこりが感じとれた。
病院でここは観てもらっていないんですか？
と伺うと
来週精密検査を受けますって。
おそらく転移している。
背骨はぼくが見たことのない状態だった。
だけども、一番気になったのは卵巣のしこりじゃなかった。
何が彼女の自然を乱し
この状態を作り出したのか。
どうしたらこんな緊張状態になるのか。
彼女は殺処分場から引き取られてきた保護犬のような表情をしていた。
それは何かに怯えているということだ。
それを裏付けるように頭が緊張していることを
背骨は表現していた。
くわえて、
死などという漠然とした恐怖ではなく
明確な対象のある恐怖があることを背骨は語っていた。
対象が人間だとしたら誰だ？
旦那か？
それとも親？
癌といったって
心身という畑が生み出した実。
その畑はなぜ出来上がったのか。
あなたは誰かの目を気にして生きていないですか？
愉気をしながら問いかけた。
びっくりしたように見つめ返してきた彼女は
ゆっくりと頷いた。
そして話しだした。
数年前に９２歳で亡くなった同居の父親が
威圧的な男で
母親と共にいつも父親に怯えながら生きてきたというのだ。
そっかあ
だからこんな顔になってしまっているのか。
そりゃ、暗い顔になるわけだよね。
ＤＶ男は死んだというのに
彼女のカラダは未だ怯えていた。
だから整体指導としては
怯えを軽減させて
彼女のカラダが変わっていけるように誘導していくという視点で
調整していくことになる。
リブログ・シェアは大歓迎です。
アメブロでは個別の相談や、メッセージに対する返信は行っておりません。