慢性前立腺炎や間質性膀胱炎(膀胱痛症)に効果がありそうな体操はたくさんあると思うのですが(それだけ体がアチコチ硬いので)、強いて厳選すれば、

 

・(肩甲骨ではなく)胸郭を動かす体操(=胸椎が反れるようになる体操と言ってもよい)

・大腰筋、腸腰筋を伸ばす体操(下腹部痛、排尿・排便時の痛みや不快感の解消のための体操)

 

の2つかなと思っています。

病態論はもう繰り返しませんが、痛いのは膀胱や前立腺といった器官ではなく、痛みのメインになるのは骨盤内のいろんな筋肉の痛みだと考えています。

排尿時痛とか膀胱内膜の痛みというのは腰椎5番の負担からくる反射による痛みの可能性が高そうで、尿道や膀胱内膜が損傷して痛いというよりかは、腰椎5番とか仙骨神経叢の神経が圧迫されたりすることで生じる神経へのストレス信号が尿道や膀胱内膜に反射する現象だと思われます。

腰など背中の負担からくる神経への負担が「あたかも内臓が痛いかのような症状」を生むのではないかと思います。

慢性的にそういう神経障害が続くと、次第に炎症が進んで内臓も損傷するということはあるかもしれませんが(潰瘍性大腸炎などもそういうイメージかなと勝手に思っています)。

 

 

肩甲骨が動かない、動かしにくいという人も結構いらっしゃるのではないかと思いますが、動かないのは肩甲骨というより胸郭だと思っています。

胸郭を動かす運動については下記も参考になるかと思います。

 

肩甲骨より肋骨を動かす。意識は胸骨

 

【立甲したい人】はコレやってみて!?1番分かりやすく「3ステップで肩甲骨を出す方法」を解説

 

動画では四つんばいでやっておられますが、四つんばいであれば肩甲骨の位置を固定したまま体幹部分を前後にゆっくりスライドするのは自身もよくやりました。

体幹を前に出せば、首が亀のように伸びてなで肩になっていきます。

これが肩甲骨が下制した状態です。

体幹を後ろに引くときは四つんばいでお尻を後ろにゆっくり引いていきます。

これは肩甲骨が上がった状態ですね。

 

立位でも、壁に手のひらをつけて肩甲骨を固定し、そこから胸郭を前後にスライドさせたり、ちょっとしゃがんで体幹を下に下げたりとか、アレンジは可能です。

 

とにかく肩甲骨ではなく、「胸郭を動かす」ということをまずは意識すべきだなと思いました。

自身は最初は肩甲骨が全く動かなくて微動だにしない情けない状態だったのですが、これでもまだ多少は若い(30代半ば……)からなのか、数週間で「立甲」くらいはできるようになりました。

自分でもちょっと驚く変化でしたが、こうした立甲ができても肩コリと無縁になったりはしません。

肩コリは結構複雑な現象で、肩回りの筋肉は何層も薄い筋肉が重なっているという事情もありますし、腰やハムストリングが肩を引っ張ったり、胃などの内臓が肩の奥のほうを引っ張ったり、腕や指、頭の影響を受けたりするので、立甲ができても肩コリが治るわけではないと思います。

 

肩甲骨が動く=胸郭が動くようになると胸椎を動かす前提ができるような感じになるので、まずはこれをやってみたらよいかと思います。

 

 

さて、腸腰筋のストレッチですが、まず下腹部が痛い、という自覚がある方については、痛いのは大腰筋や腸骨筋といったお腹の奥にある筋肉が関与していることを疑ったほうがよさそうです。

 

【究極マニア談義】大腰筋を鍛えすぎて損傷?お医者さん首をかしげる怪我しました。。。

 

大腰筋を痛めた方のエピソードですが、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の腹痛現象にもかなり似ているような印象を受けました。

「お腹が痛い」といっても、お腹のどこが痛いのか正確に把握できる人は少ないですし、かりにそれが大腰筋とかだと泌尿器科や内科の医療者もなかなかそれを指摘することは難しいでしょう。

理学療法の専門家とかならまだしも、頻尿で腹部が痛いという場合にはまずは泌尿器科にかかることが多いでしょうから、もうこの辺から症状と相談先にある種のズレが生じていると思います。

自身は大腰筋とか腸骨筋が常に痛い、という自覚があるので、最近は手技療法、ボディワークこそが改善に寄与すると思っています。

 

大腰筋というのは長時間の座位などで凝り固まる筋肉なので、座る時間が長い人は要チェックですし、あぐらや長坐で腰が立てられない人は腸腰筋が縮んでいる可能性大だと思います。

腸腰筋が縮むと慢性の腰痛持ちとなることもあり、これで腰椎5番に負荷がかかると腰の神経への負担が尿道とか膀胱内膜の痛みとして反射してしまうということになってしまいそうです。

 

腸腰筋のストレッチもいろんな方法がありますが、代表的なのは例えばこういう感じでしょうか↓

 

たった5分で毎日できる【腸腰筋をほぐして鍛える】ストレッチ&トレーニング!

 

単純な体操に見えますが、この、脚を前後に開いた姿勢でちゃんと腸腰筋が伸ばせるかがかなり重要ではないかと思っています。

というのも、腸腰筋が縮んでいる人というのはどんな姿勢でも腸腰筋が縮んで腰が伸びない、腰を反れない姿勢に固まってしまっているので、脚を前後に開いて上体を起こしてのけ反るような姿勢をとろうとしても、もうその時点で上半身を反ることができなくて腸腰筋に効かせることができなくなってしまうケースが多そうだと思っています。

 

一生懸命上半身を起こしてのけ反ろうとすると腰の下が痛くなってくる人というのは、胸郭が動きにくく胸椎が硬い人なので、胸郭とか胸椎の可動性も併せて改善していく必要があるわけです。

 

以前の記事では前後に足を開いた腸腰筋体操は効果が薄そうだとは書きましたが、これもやり方次第だと思います。

重要なのは呼吸をゆっくり深くとって実践することと、細かい点では、上半身をどういう向きにしたらより腸腰筋に効くのかを探す作業だと思っています。

自身は、右足を前、左足を後ろに伸ばした状態であれば、反った上体を若干左に向ける、ないしは左に傾ける(体側の外側に上体を移動させる)ほうがより大腰筋に効くと思っています。

体操はちょっとした動作の差で効果が全然異なってくるので、専門家に指導をいただくのが一番ですが、どういう姿勢をとればより効果があるのかを探るのは重要ですし、面白いものだと思っています。

 

腸腰筋が縮んでいる人はどんな姿勢でも腸腰筋が縮んでいる(それこそ寝ている時でも)ので、慢性的に腰が丸まり、足を前後に開いても腰や背中が丸まったまま、ということも多いかもしれません。

まあ、腰を伸ばすために大腰筋を伸ばしたいので、これもやむを得ないわけですが、お腹の奥の柔軟性を追求するなら、背面のゆるみも必要になるので、上半身の特に背面をゆるめる体操とお腹の奥を伸ばす体操の2つはセットでやったほうがよいと思います。

 

このほか上げていけば切りがありませんが、強いて厳選するなら、胸郭を動かして肩甲骨が動くようになる体操、腸腰筋といったお腹の奥を動かす体操の2つが重要だと思っています。

 

もっと厳選するなら大腰筋、腸骨筋(つまり腸腰筋)を伸ばす体操だけでも下腹部の痛みや違和感、排尿・排便異常に効果があるのではないかと自身の体感からも思っています。

お腹の奥を伸ばせるようになると、頻尿傾向が改善されたり、便が溜まると腸が痛むような症状がなくなったり、尿がたくさん溜められるようになると感じています。

 

ストレッチはいろんなやり方がありますが、漫然とやるのではなく、どういう感じでやれば効果がしっかり出るのかをよく観察したり、実験しながらやったほうがよいように思います。

自力でやるのもよいとは思いますが、できれば専門家による指導があれば一層よいかと思っています。