今回も、かもしれないトークに終始しますが、経絡・ツボといったものを調べていると、最近は「肝経」という一連のツボも結構気になっています。

 

東洋医学でいう肝については下記のリンクがわかりやすかったです。

 

東洋医学の「肝」の働き

 

東洋医学や漢方薬に親しんでいる方なら、肝といえばイライラの感情と関係が深い、というのはすぐに思いつくのではないでしょうか。

 

上記リンクでは「1.「血を蔵す」ことが出来ないと、目や筋に血を送ることが出来ないので、目のかすみ、視力低下、筋の痙攣・痺れなどが起こります。

2.「疏泄」が出来なかったら、i)気の流れが滞り、胸が苦しくなったり、ため息が出たり、おならが出やすくなったりします。このことを「気滞」と呼びます。ii)感情のコントロールがきかなくなり、イライラしたり、怒りっぽくなったり、抑うつ状態になったり、判断力が低下したりします。iii)胃腸のサポートが出来なくなり、食欲不振や下痢や腹痛をなどを起こしやすくなります」とされており、肝の不調は機能性ディスペプシアとか、過敏性腸症候群のような症状とも重なるような印象があります。

筋の痙攣というのも、筋弛緩効果のある精神系の薬(レキソタンなど)が痛み症状に効果的であることから肝との関係を示唆しているように思われます。

ぎっくり腰は怒りの感情でなるとも言われているようですが、おそらくこれは怒りにより腹部が緊張したり、体がねじれる結果として腰に負担がかかる現象ではないかと思っています。

筋肉の緊張はイライラとか我慢の感情に関係が深いのではないかと思われ、骨盤周辺の筋肉の緊張もイライラとか我慢の感情からくる現象なのかもしれません。

 

さて、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎といった症状からすると、膀胱の不調であれば「膀胱経」、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアのような胃腸の不調を伴うようであれば「胃経」といった経絡が真っ先に想起されます。

 

ですが、膀胱といった泌尿器、胃腸といった消化器に症状が出るからといっても、それが膀胱経や胃経へのアプローチでよいのかは一考の価値があるかもしれません。

 

同じ症状でもどのような感情からきているのかが異なればアプローチも異なるはずで、仮に慢性前立腺炎や間質性膀胱炎といった症状がイライラや我慢の感情からくる症状なのであれば、膀胱系や胃経の前に、肝経も気にしたほうがよいかもしれません。

もとい陰陽五行では臓器同士の連携・相互関係(どこかの臓器が疲れると他の臓器が頑張って負担が波及する)があるので、もちろん膀胱経や胃経も射程に入るかもしれませんし、さらにストレスによる呼吸の浅さを考慮すれば心経といった心臓を含めた呼吸器の経絡も関与してくることは想像に難くありません。

 

もうひとつ、肝経に注目するかというと、自律神経失調は「感情の抑圧」と関係が深いとされているようだからです。

 

自律神経のしくみ ④ 自律神経と脳の関わり

 

上記リンクでは「たとえば、「つらい」「苦しい」などの感情を理性で抑制してしまうと、視床下部はうまく情報を受け取ることができません。すると、視床下部は自律神経のコントロールもうまくできなくなってしまうため、自律神経失調症を引き起こすきっかけになるのです。」と解説されており、慢性のストレスが身体症状となって現れると頻尿とか排尿困難、慢性の腹痛とか、動悸やめまいといった色々な症状(身体表現性障害)となるなら、イライラや我慢、感情の抑圧と関係が深いとされる肝の不調が慢性前立腺炎や間質性膀胱炎に一定程度関与しているような気がしてきます。

 

自身の体感レベルでいえば、

・自身は四逆散というイライラ、感情の抑圧に効果があるとされる漢方薬が胃腸の不快感に一定の効果を感じた

・精巣痛や泌尿器のトラブルには肝経の1つである足五里が効果的とされ、実際自身も押すと圧痛がある

・太衝という、脚の親指と人差し指の付け根を押すと痛いが、これは緊張やイライラ、下痢と便秘を繰り返す、月経前症候群(PMS)といった症状と関連するようで神経症とか神経過敏と関係が深そうである

・胸筋が慢性的に硬いし押すと痛いが、これは頭の緊張やそこからくる眠りの浅さを示唆しているらしい

といった自覚もあり、これらをみると経絡でいえば肝経の不調を表現しているようにも感じます。

 

肝経が文字通りのキモであるなら、例えば慢性前立腺炎や間質性膀胱炎における漢方薬の処方にも示唆があるかもしれず、「排尿トラブルだから猪苓湯だ」といった発想ではなく、イライラや我慢状態に効果的な処方・方意も効果を期待できるかもしれません。

もっとも、一度慢性疼痛や頻尿などの状態になると24時間痛みや尿意からくる不快感が気になって仕方がないので、それがイライラ状態、ノイローゼ状態といった肝経の不調状態を招くということもありそうで、この辺になると鶏と卵の関係になってしまうかもしれません。

もとい、漢方の専門家であれば脈診や腹診をしてどのような心理状態なのかを見極めるでしょうから、素人である自身がここで偉そうに語るまでもありませんが。

 

 

最近では、およそあらゆる体の不調(変化)というのは、およそ感情のつかえや本能的な反応からくるものだと思うようになったのですが、頻尿、排尿困難、腹痛、膀胱痛といった症状を自律神経失調とか身体表現性障害と捉えれば、根本には感情の抑圧がありそうですし、感情を発露できない、あるいは感情を共有する人的関係に乏しい(孤立状態)というのも症状の背景にありそうに思っています。

 

職場や組織というのは友達を作る場所ではないですが、あまりに殺伐としていたり重労働だとやはり心身の不調を招くでしょうし、配偶者が全然話を聞いてくれないとか、そもそも話す相手がいない、あるいは八方美人的に他人のペースに合わせ過ぎることも自律神経失調になりそうな気がします。

それゆえ、ときには「転地、転職、転婚」という環境調整が必要なのかもしれません。

 

個人的には、骨格でいえば胸椎、腰椎、仙骨、仙腸関節といった骨盤周辺の変位が神経痛を起こしているのではないかと思うようになりましたが、その大本には何らかの感情が絡んでいそうで、それは自身の場合、イライラとか我慢、何か要求が満たされないというもどかしさがあるのかもしれません。

ついでに言えば、その心理はおそらく数年~数十年といった長い期間をかけて醸成されたものではないかと思っています。

 

我慢強いというのは一般的に美徳ですが、体が壊れるようでは行き過ぎなので、この辺は自身の倫理観(罪の意識)、価値観などを振り返る認知行動療法的な取り組みが必要そうで、瞑想といったものもよさそうですが、個人的には自分と価値観の異なる他人と人的関係を築いたりするのもよいかもしれないと思っています。

(他人との交流という意味では、だいぶ以前の記事で書いた中島敦の「悟浄嘆異」の沙悟浄が悟空という自身と全く異なるパーソナリティに触発されるという寓話と似ています)

「水の中で暮らす者は自らが濡れていることに気が付かない」という格言(?)があるそうですが、ストレスをストレスとして認識できていない、あるいは内心では認識していても理性や倫理観でそれを抑えていると、内分泌が乱れたり筋骨格も歪んで不調になる、という感じなのかなと思っています。

 

自分にとって何がストレスなのかを把握することは「自分とは何者なのか」という問いとイコールであるとも感じます。

また「ありのままの自分」というのをさらけ出すことには恐怖や不安が伴うもので自己防衛的(孤立的)になったり、あるいは強がりの結果、異様に「良い人」としてふるまったりしそうで、そうした不安感や緊張も症状に関係していそうです。

さりとて全くの粗野や粗暴でよいのかというとそうでもなくて、理性と本能のバランスの問題という、実につまらない回答に落ち着くのかもしれませんが、少なくとも自身は修行体質的なところがあるので、その辺もアン・バランスなのかもしれません。

まあ、自分が何者なのかがわかれば、おそらく輪廻転生から解脱できるでしょうから、ことはそう簡単ではないでしょうが。。。

 

 

自身は治療家でもないので、経絡やツボについては、自分の心身の状態をなんとなく把握するための手がかりとして調べている程度ですが、感情から心身を把握するという東洋医学や手技療法のアプローチにインスパイアされていて、神経の不調という点では肝経といった経絡にも何かヒントがあるのではないかというお話しでした。