腰方形筋に触れたのでこれを例に姿勢の問題が慢性前立腺炎や間質性膀胱炎といった不調にどう関係するのかを、素人なりに考えてみました。

自身は医療関係者でもないので、あくまでも素人の想像です。

内容の正確性は保障できませんので、この点は悪しからずご容赦ください。

 

前回触れた腸骨下腹神経の神経支配ですが、胸椎12番から伸びているようですが、解説の中には腰椎1番(胸椎12番の一つ下の骨)がメインになるというものもありました(神経は途中で合流・分岐したりするので)。

いずれにしても胸椎12番とか腰椎1番付近から伸びているとイメージすればよさそうです。

 

で、自律神経の解説では膀胱の交感神経は腰椎1番とか2番あたりが関係しているそうです。

 

「筋肉の緊張・こわばりが神経を圧迫・絞扼して、様々な痛みや内臓の機能亢進・停滞につながる説」から見てみると、脊柱から内臓に伸びている自律神経のどこかに圧迫・絞扼などがあれば確かに何かしらの不調になりそうです。

ですので、自律神経失調というのは背骨の歪みとか、それを引き起こす筋肉の過緊張・過弛緩とはおそらく密接にかかわっているように思われます。

 

手技療法の世界では前立腺や膀胱の急所は腰椎5番、生殖器は腰椎4番とされているようですが、腰椎5番が狂ってくるとセットで変位してしまうのが腰椎1番らしく、そうなると膀胱の不調というのもL5、L1の変位からきそうで、腸骨下腹神経との関係でいえば、L1付近のこわばりが腸骨下腹神経に障って下腹部痛になってしまう、という説明もできそうです。

 

腰方形筋というのは肋骨の12枚目(胸椎12番)を腸骨を結ぶ筋肉で、脊柱起立筋の下にある深層筋らしいのですが、これがこわばると腰痛や腰背部のこわばりの要因となるような印象もあります。

 

※イラストのピンクの部分が腰方形筋です。

 

すると腸骨下腹神経との関係では脊柱起立筋や腰方形筋がこわばるような姿勢が下腹部痛につながりそうに思えます。

胸椎12番、腰椎1番は膀胱の交感神経と関係するので膀胱の機能にも影響することがあるかもしれません。

 

では、脊柱起立筋や腰方形筋が緊張するような姿勢とはどのようなものか、というとわかりやすい例ではやはりネコ背とか、胸郭が下がってしまうような姿勢ではないかと思われます。

 

胸郭が下がってネコ背気味になってくると、これを背面で支えようとするので、背中に負担がかかってきそうです。

重心が前側に移動することで大腿部が緊張・疲れやすいという姿勢ともいえるかもしれません。

 

 

ネコ背・下がった胸郭を背中側で引っ張りあげようとするので、脊柱起立筋や腰方形筋が緊張して腸骨下腹神経に障って下腹部痛になる、という感じでしょうか。

また、ネコ背になると腸骨が後屈しそうで、お尻が垂れ(老人姿勢)、腹圧も高くなりそう(神経の圧迫になるかも?)ですし、代償姿勢の結果、おそらく仙骨も後ろに飛び出てくるように思われ、膀胱がつながる仙骨神経叢にも影響して膀胱の不調になるということが考えられそうです。

 

胸郭が下がった姿勢というのは肋間が狭く、硬くなってしまうそうで、呼吸が浅くなり、こういう状態が続くと慢性疲労状態になったり、肋間のリンパも流れが悪くなっていろんな不調になるかもしれません。

 

では、なぜ胸郭が下がってしまうかというと、これはストレスの影響という言説もありますし、単にデスクワークやスマホ姿勢といった生活習慣からくる影響もありうるでしょう。

感情的な面との関係では、委縮したり緊張すると胸が硬くなったり、がっくり肩を落とすような姿勢になりがちなので、こういう心理が慢性化すると胸郭の姿勢が崩れて、それが腰背部の張りになっていろんな不調になるということが言えるかもしれません。

 

慢性前立腺炎は座りっぱなしに多い説からすると、背中が丸まるような姿勢で長時間過ごしていると胸郭が下がって腰が丸まり、腰方形筋とか脊柱起立筋がバキバキになって神経性の痛みが出たり、自律神経失調になるということがあるのかもしれません。

腹圧の上昇で血流が悪くなって前立腺に静脈瘤のような炎症が起きることもあるのかも。

 

なお、慢性前立腺炎では膝が痛い、という現象がありますが、手技療法の世界では膝痛は多くの場合、膝のねじれからくるとされているようです。

この点、歩く運動というのは骨盤なり体幹がいくらか捻じれる運動を伴っているのですが、腰や体幹部が固まって腰のねじれが効かなくなると、その代償として膝でねじり運動をするようになるとされているようです。

ですので、膝が痛くなるのは腰がこわばるせいで膝にねじれの負担が押し寄せた結果、と言えるかもしれません。

(このほか坐骨神経痛のように神経支配の関係で痛みが膝に放散するという説明もできるとは思います)

 

この点、間質性膀胱炎における膀胱内膜の損傷というのは姿勢の問題で説明できるのかというと微妙ですが、強いて言えれば虚血性の炎症かもしれませんし、姿勢の悪化でホルモンなどの内分泌がおかしくなったり、中には姿勢の問題が免疫系にも影響するということをおっしゃる方もいるので、そういう現象もあるのかもしれません。

ストレスで粘膜がおかしくなることもあるようでストレス説という説明もできるのかも?(自身は専門家でもないので、この辺はあくまで想像の域を出ませんが)。

 

いずれにしても自身は腰背部のこわばりや慢性の腰痛を持っているので、慢性疼痛(セロトニンの低下)の対応としての精神系の薬の服用のほかに、体操や歩き方の修正などのボディワークも活用してみています。

体操については大量に本を買い込んでいろいろ読み漁ったりしていますが、身体感覚の世界でもあるので、専門家にも指導をいただいています。

 

腰や体幹部がしなやかに動くような姿勢が理想でしょうが、長年の生活習慣や心理状態が招いた症状だとも思っているので、ボディワークにしてもすぐには効果を実感しにくいかもしれません。

が、これはもう地道にやっていくしかないかなと思っています。

生活習慣や心理状態を改善するための環境調整もいわずもがなです。

 

こうした理学療法とか整体的な見方ですべて説明できるとも言い切れませんが、調べていくと割と説得的というか、つじつまが合うところも多いように思います。

過敏性腸症候群のような症状も背骨と自律神経との関係で説明できるところがあるかもしれません。

 

『骨盤の頭痛』では骨盤底筋の緊張というのが症状の大きな要因とされていますが、自身としては骨盤底筋の緊張もさることながら、その上流にある問題として胸郭の問題(背骨の崩れ)があるのではないかとも感じており、骨盤底だけいじっていればよいのかというと、そうとも限らないように思っています。

前提として、胸郭の引き上げとか、さらにその上流にある問題としてある種の心理状態も考慮する必要がありそうに思っています。

 

手技療法ではどんな病気もたいてい自律神経の失調を伴うものだとも言われているようですが、その背景には背骨や姿勢が歪んでしまうような筋肉の緊張・弛緩、さらにその後ろには何かしらの生活習慣や心理状態があるように思えてきます。