慢性前立腺炎の症状に睾丸が痛いという現象がありますが、これについては過去記事でもさんざん触れた通り、痛いのは睾丸そのものというより精巣上体と呼ばれる器官であるように感じています。

 

今回はこの睾丸の痛み問題について、恥骨から考えてみた、という内容です。

過去記事の内容を再編纂したような感じなので重複感があったら恐縮です。

睾丸の話題が多いですが、間質性膀胱炎といった症状をお抱えの女性にも多少は参考になればと思いつつ……。

 

 

精巣上体は膜状の組織から精管という管に移行する組織らしいので、陰嚢内の膜をグリグリこねると痛いなんてこともあるかもしれませんし、精巣上体の尾部といったあたりが特に痛いという感じもあるかもしれません。

ついでいうと、自身は初期症状では精索が硬くて、睾丸そのものも通常より熱感があり怒張して腫れていたという自覚もあります。

 

まあ、普通に考えれば精巣上体炎(主には感染症で起こる)と呼ばれる症状に思えますが尿検査では手がかりなしなのはお約束ですね。

さもなくば精索あたりの痛みからすると精索静脈瘤ではないかとも思えるわけですが、精索静脈瘤の手術を多数手がける大病院で診てもらったら慢性の精巣上体炎と診断されたりして、堂々巡りという結果でした(笑)

 

最近はこれらの診断名にまったくこだわらなくなったので、病名はもはやどうでもよいのですが、通常の尿検査では検出できない弱毒性の感染症が関与している可能性はありうるとは思いますし、慢性の冷え(血行不良)や抗生剤の服用で内因感染的な状況になることも可能性としてはありえるかなとか、過去記事でもいろいろ書きました。

 

で、最近は体の運動構造上の問題に凝っているので、そうした視点でみるとこの睾丸の痛みというのは虚血性の炎症(うっ血)といえるかもしれないとも思っています。

下腹部から陰嚢へのつながりというのは精索という束でつながっているわけですが、その精索というのは鼠経靭帯や恥骨の上をまたいで陰嚢につながっているようです。

すると、恥骨が出っ張ってくると精索が圧迫されて血流が滞ることは想像に難くありません。

かなり初期の記事では桂枝茯苓丸といった「オ血」を駆除する漢方薬が睾丸痛に効果するという報告も紹介していますが、そうなると睾丸の痛みはやはり血流の問題(血の戻りが悪いも含めて)が指摘できそうです。

虚血性腸炎という、虚血が原因とされる腸の発赤、炎症があるらしいので、それが睾丸で起こってもおかしくはないかな、という見立てです。

細かい補足をすると、恥骨という骨だけの問題でもないかもしれず、内転筋群の起始(股の付け根)の靭帯(名称がわからない)が精索を圧迫するということもあるかもしれず、そうなると股関節から脚先までのねじれ(O脚やひざ痛の要因)現象とかも精索を圧迫する要素にあげられるかもしれません。

まあ、何らかの感染症であろうが、そうでなかろうが、血行が悪いというのは体に良くないのでしょう。

 

さて、恥骨の問題については、過去にもリンクしましたが下記の体操などは参考になろうかと思っています↓

 

恥骨体操 下腹の引っ込め方

 

こういう体操をすれば精索への圧迫はリリースされていきそうです。

もっとも、体操さえすればOKというわけではなく、より根本的には日常生活で恥骨が出てきてしまうような姿勢、身体の使い方をしていないかを点検して修正していくことだと思います。

 

以前の記事でも触れたと思いますが、この恥骨体操の効果は恥骨を引っ込めるのとあわせて腸骨を上げるという面があろうかと感じています。

恥骨を押してヒップリフトしていくと腰の下部の腸骨(腰の背面側)がググっと上がってくる感じがあろうかと思います。

つまり、恥骨が出ると腸骨が下がる、腸骨が下がると恥骨が出てくるという関係がまずひとつあると思います。

 

自身は腸骨が下がってしまっている自覚があるのですが、これはいわゆる老人体型ともいうべき体型で、前立腺の肥大が高齢者に多いというのも腸骨の下がりが指摘できようかと思います。

(もっとも、高齢者は高齢者らしい体形があろうかと思うので、それが一概に悪いとも言えませんが)

 

間質性膀胱炎は中高年の女性に多いという解説もあり、その実男性にも案外いるのではないかとか言われていますが、そうなるとやはり腸骨の下がり問題(=恥骨の出っ張り問題)が指摘できるのではないかと思われます。

 

恥骨が出てくるような姿勢=腸骨が下がるような姿勢、という点で見ればいわゆる骨盤後傾、骨盤がゴロンと後ろに倒れてしまう座り方はかなりまずそうです。

イラスト左のような座り方は恥骨が出っ張り、腸骨が下がり、腰椎が伸びきってしまっています。

おそらくですが、股関節も前面に出っ張ってきてしまい鼠経靭帯とかを圧迫するようにも思われます(下半身の冷えになるかも)。

尾骨にも圧がかかるので仙腸関節(陰部神経と関係があるらしい)もおかしくなりそうですし、尾骨が狂ってくると全身にその影響が及びそうです。

この点、右の図のように坐骨で座るようにすれば恥骨が引っ込むので、精索への圧迫は少なくて済みそうです。

ただ、坐骨で座っていてもなお腸骨が落ちたまま、ということはあり得て、座った姿勢だとハムストリングが縮みがちになるので脚裏を伸ばすというのはやっておいて損はないと思います。

座った状態でも恥骨体操で腸骨が上がってくる感じを再現すればよいのかもしれませんが、身体感覚の問題ですし、骨盤の問題は全身に影響してしまうので、下手にいじくりまわすと余計におかしくなるかもしれず、できれば専門家に指導をいただくのがよいかと思います。

 

 

で、恥骨が出っ張るような体の使い方という点でみると性活動も挙げられそうで、慢性前立腺炎は性活動との関連があるという話も聞くところ、検査で検出できない感染症という可能性を除けば、性活動による体の使い方、つまり腰の運動と骨盤の狂いというのが考えられそうです。

慢性前立腺炎では射精時痛がするということもあるようですが、射精のときというのは割と恥骨が出っ張りそうですし、性活動における腰の運動というのも恥骨が出っ張る(骨盤のタックイン)動作のように思います。

 

自慰行為も含めて頻回の性活動というのは(それ自体は悪いとは思いませんが)骨盤という点で見ると恥骨が出てしまうようなアライメントの崩れを誘発しそうです。

 

射精時には骨盤周辺の筋肉がどう動くのかというのも興味があって、過去にちょっと調査もしたのですが西洋医学的な文献はあんまりこれというのはありませんでした(整体の文献では性行為の後の体操的なものがあったと記憶しています)。

肛門挙筋とか骨盤底筋がいろいろ動くのでしょうし、骨盤は締まっていくように感じますが、総じて恥骨が出てきてしまう感じになりそうで、これが前立腺炎とか膀胱といった骨盤に収まっている臓器に負担をかけてしまいそうです。

 

また、過去記事でも書いたように、恥骨というのは腹直筋とか腹部の筋肉とつながっていて、胸骨は筋肉的なつながりはありませんが筋膜的つながりというべきか、恥骨→胸郭→首までのつながりがあるので、上体の崩れ(ネコ背)が恥骨のアライメントに与える影響もあろうかと思います。

 

 

さて、そうなると恥骨はとにかく引っ込めていればよいのか、という疑問が湧いてきます。

この点、骨盤前傾の姿勢は恥骨が引っ込んでいるように見えるので骨盤前傾なら問題なしのようにも思えてしまいますが、おそらく慢性前立腺炎、間質性膀胱炎の方の中には骨盤前傾の方も結構いらっしゃると思います。

 

この点については言葉で表現するのが難しいのですが、骨盤前傾であっても腸骨が下がってしまっているというのはあり得るという感じでしょうか。

骨盤の前傾・後傾を調整する際にどこを支点にするのか、という問題なのですが、これはパントマイムのようなもので、同じように骨盤を前傾させるにしてもどこを支点にするのかで出来上がる姿勢が異なる、と言えそうです。

 

いわゆる骨盤前傾の場合はおそらく脊柱起立筋で腰を反り上げるような姿勢だと思いますが、これだと腹部のテンションが抜けてしまいそうで、多裂筋による腰の反りと腹部の軽いテンションがうまく拮抗して胴体が筒のような感じに、骨盤周辺のお腹がペッコリ薄くなるような感じが目指すべき姿勢かなと感じています。

 

骨盤の前傾・後傾についてどこを支点にするか問題はもう書く気力が尽きたので、いつか別の機会に触れてみたいですが、今のところは上記のようなイメージを持っています。

 

 

というわけで睾丸の痛み問題から恥骨の出っ張り問題、骨盤の前傾・後傾という話題でしたが、現実には前後傾だけではなく左右差、ねじれの問題もありますし、上半身の問題も絡んでくるでしょうから、今回の話もあくまで自身の感覚と現象の断面を切り取って考えてみた程度の内容です(過去記事との重複感があったら恐縮です)。

風が吹けば桶屋が儲かる、という体の変化のプロセスを体感的に追っているつもりですが、身体というのは鶏と卵のような反応も多くて単純な因果関係では語れないことが多いなとつくづく思います。