時間さえあればちょっとした体操や自身の身体を使った人体実験的なものを試しているのですが、足先など下半身の冷えについてなんとなく感じたのは、胸郭の引き上げとの関連です。

 

あくまで素人が感じたレベルの話なので正確性は保証できませんが、ネコ背状態=胸郭の下がり(肩甲骨が上がって巻き肩になってくる)と捉えて、試しに、反り腰でもなんでもいいので立位で胸郭を目いっぱい垂直に引き上げるというのをやってみると、まず腰がじんわり伸びてくる感じがして、腹部から股関節のストレッチ感(腸腰筋等の伸展か?)にくわえて足先の冷えもその場ですぐに改善してくるように感じました。

胸郭の引き上げ自体が結構難しいのですが、単に上げるだけなら両手であばら骨をとらえて、天井側に引っ張り上げる(肘や肩甲骨を床側に引き下げながら手のひらで天井側に押し上げる感じ)というやり方でもよいかと思います。

冷えの改善は時間的には20秒くらい体感できたように思っていて、ジンジン、じんわり血が通る感じがしました。

半ば無理やり胸郭を上げる動作なので、お腹は極端に伸ばされ、ベッコリへこむような感じになります。

 

おそらく肋骨を挙上することで腹部のインナーマッスルにもテンションがかかり、股関節周辺のアライメントも変わって下半身への血流が良くなったのではないかと思っています。

 

腰が伸びて腰にもジンジンと血が通うような感覚があったのですが、この感覚が前立腺や膀胱、腸といった臓器への血流改善に関係するのではないかと想像していて、そうなると骨盤周辺の臓器の血管走行の様子が知りたくなってきました。

(3D的にわかるような細かい図はすぐには見つからなかった)

 

この肋骨を上げるという姿勢はお腹を伸ばすこととイコールだと思っていますが、四つんばいでお尻を高くかかげる姿勢が楽、なんて現象も、一つは肋骨を挙上する姿勢だから、と言えるのかもしれません。

もっとも、何気なく四つんばいでお尻を高くかかげる姿勢だと多くの場合、肩甲骨も上がってしまうので、よりベターなのは首やうなじを突き出して肩甲骨を下げながら四つんばいでお尻を高くかかげる、なのでしょうが。

 

ただ、胸郭を上げるという動作を阻むのが肩甲骨周辺の筋肉の硬さ、コリで、胸椎の上のほうを柔らかくしようと思っても背中がガチガチで難しいということもあろうかと思います(自身はそう感じています)。

そうなると背中をゆるめないといけないのですが、どうやってゆるめるかとなると、複数のアプローチがあろうかと思っています。

 

この辺は最近読んでいる筋膜経線の本を参考にいろいろ考えています。

身体が動く際には連動して動く一定のライン、筋道があって(筋膜経線)、例えばデッドリフトのように体の裏側を収縮する運動というのは足底腱膜、ふくらはぎ、ハムストリング、脊柱起立筋から後頭部までの筋肉・靭帯といった組織が連動して動く、と。

ですので、高重量で筋トレをすると頭が痛くなるなんてこともありますが、ひとつの理解として体の背面を使うことで後頭部の筋が引っ張られて神経を圧迫したり筋肉痛状態になる、ということが言えるのかもしれません。

 

で、背中のゆるめ方ですが、例えば左の肩甲骨の内側あたりが硬い・張り感がある、という場合、凝っているのが脊柱起立筋であれば連動するラインにアプローチすればよさそうで、そうなるとターゲットは左脚の足底腱膜やアキレス腱、ハムストリング、左の後頭部あたり、ということが言えそうです(足指もありかもしれない)。

慢性前立腺炎は座りっぱなしに多い説からすると、座位というのはハムストリングが縮みがちの姿勢なので、結果として背中が張ってきて胸椎の可動が悪くなり、ネコ背の姿勢を治そうにも背中が言うことを聞かない、という関係になるのかもしれません。

そうなるとゆるめるべきは背中ではなくハムストリングだった、ということもありえそうです(あくまで素人の想像ですが)。

座るという姿勢が体にどのようなテンションをかけるのか、という点から考えてみるのもありかもしれません。

 

これも素人の浅はかな想像ですが、左の背中の張り感が(脊柱起立筋ではなく)菱形筋の場合は、菱形筋と前鋸筋につながるラインというのがあるらしいので、左の肋骨が下がってくると菱形筋が引っ張られて背中の張り感になってくるのかな、とか色々想像が芽生えてきます。

このほか、小胸筋とか胸と方の付け根が凝るなら手の親指の酷使からきているかもしれないとか、筋膜経線というものを知ると、いろいろな体の運動構造上の関連というのがわかるような気がします。

というか伝統的な武道や整体の世界ではこんなの当たり前で、頭を調整して腰にアプローチするとか常識の範囲だと思いますが、それだけに昔の人はすごい観察力をもっていたのだなと感心しきりだったりします。

実際の調整においては、このラインがしっかり通るような関節の角度とテンションも重要かと思われ、単に頭をグリグリすればよいというわけではなく、腰までつながるような角度とテンションをかけて頭を調整するのでしょう。

もとい、ではなぜヒトの肋骨は下がってしまうのか、というと、ある種の感情的な問題もあるのでしょうし、姿勢の崩れが内臓などにどのように影響するのかも大変奥深い世界だと思うようになりました。

 

と、まあアレコレ試しに体を動かしたりしているのですが、興味本位であんまりいじくりまわすのもよくないと自戒はしています。

代償姿勢に代償姿勢が重なり姿勢が悪くなっているとはいえ、身体は代償姿勢によって一定のバランスをとろうとしているので、頑張ってつっかえ棒になって身体を支えているポイントを調整してしまうと余計にガタガタっと崩れてくるということはあろうかと思います。

あんまり追い込み過ぎないのも肝要かなと思っています。