先日の衆議院選挙で自民党は大敗を喫した。
自民の幇間も議席数を減らす結果となった。代表者が落選する体たらくである。
一方、野党は大きく躍進し、議席数の過半数を占めることとなった。
そこで、自民党は国民民主党の力を借りようと苦心している。
国民民主と結託すると、議会運営が円滑になると考えたからであろう。
自民党からオファーを受けた国民民主党は自らの政策を実現させるためか、前向きに捉えているように思われる。
国民民主党のウェブサイトを覗くと「手取りを増やす」というキャッチフレーズが目に入る。
ニュースなどを視聴していると、減税を実施することで、個人の手取りを増やそうとしているようだ。
基礎控除の見直し、年少扶養の復活により、個人の手取りを増やす計画である。
この「手取りを増やす」という政策に小生は疑問を抱いている。
減税により、個人の手取りを増やすことばかり考えているようだが、この政策には大きな問題点がある。
国家の税収が減少し、税収の財源調達機能が低下する恐れがある。
財源調達機能とは、国家が租税により資金を調達し、その資金により、国民に有形・無形をもたらすことを指す。
社会保障や公共工事といった大きなプロジェクトは徴収された税により実行される。
しかし、減税は国家収入を減らすこととなるため、これらの大きなプロジェクトの実行に支障をきたす。
個人の手取りを増やすことばかり考えていると、社会全体という観点でみると大きな落とし穴がみえる。
個人のカネは増えたが、国家全体の収入が減少し、本来国家がなすべき政策の推進に支障をきたしかねない。
手取りのカネで、社会保障や公共事業等を行うことは困難である。
減税により手取りは増えるものの、減税はいいことづくめではない。
減税を全面的に主張する政党が政権を握ると、別の大きな問題が姿を現す。
為政者には財政学を学んでほしい。
自らが主張する政策の問題点に気付くために。