台風 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 昨日から風が強かった。

 時折、雨音がする。

 墓参りへゆくが、風で蝋燭に火がつかない。

 御先祖様に申し訳ないので、数十本の線香に火をつけて供えた。

 

 夕刻に菩提寺の和尚がお経を唱えに来る約束だが、やってこない。

 予定時刻から90分遅れで、和尚が登場した。

 開口一番、遅刻の弁明が始まる。

 「えらいすんません。今年は新仏が3人もいはりましてな。新仏は時間がかかりまんねん。ふー、暑いわ、ホンマ」と。

 

 そういえば、分家の隠居が今年逝去した。新仏の一人である。

 本人の姿よりも声が先に登場する御仁であった。

 悪い御仁ではないが、癖の強い変わった性格の持ち主であった。

 過去に何度か「この世から税金がなくなりますように」と言っていた。

 小生はその分野の仕事で糊口をしのいでいる。

 隠居のこの発言を未だ許せずにいる。

 

 和尚は仕事を終えると「まだ次がありまんねん」と言い、足早に去った

 布施は忘れずに手早く懐へおさめた。

 封筒に入っている布施は課税されることなく、和尚の収入となる。

 高野山大学へ行き、坊さんになって課税されないカネで生きてみたい。