下駄 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 幻覚だったのかもしれない。

 それを見た記憶は明確に脳に刻まれている。

 

 先日、四条通を歩いていた。

 身のこなしが軽く速い速度で歩く人が目に入った。

 その御仁の足元を見ると、高下駄を履いている。

 

 高下駄を履くのは天狗か野山を駆ける修行僧である。

 アスファルトの道で高下駄を履くと、歯の損傷が早い。

 小生は大学生の頃、普通の下駄を履き学内を歩いていたが、歯の傷みが早かった。

 歯が一枚の高下駄なら、損傷は普通の下駄以上であろう。

 

 小生が目撃したのは、現代の服装で現れた天狗ではなかろうか。

 京都でたまに山伏を見るが、山伏は足袋を履いている。

 

 あれは天狗なのだろうか。