DNA | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 冤罪の問題をとりあげた本を読んでいる。

 現在のDNA鑑定は導入された頃よりはるかに発達し、その精度を増している。

 

 そのDNA鑑定について、導入当初は精度が低いものであったようだ。

 ある事件で冤罪になり、刑に服していた御仁は導入当初である1990年代のDNA鑑定を物的証拠とされ、これが決定的な要素となり、実刑を言い渡された。

 真実は冤罪であり、真犯人は今も野に放たれたままである。


 この事件について、最新のDNA鑑定によって御仁は真犯人ではないことが突きとめられた。「無罪」であるとして釈放された。

 科学至上主義の落とし穴である。 


 現在、冤罪を訴えている犯人とされる人物のDNAを採取し、その物的証拠と突き合わせてみてはどうだろう。DNA鑑定が導入され始めた1990年代にこの鑑定方法に基づき、刑に服している御仁は多いと思われる。


 なぜ、最新の鑑定方法を過去の事件に援用しないのだろう。

 検察が不利になるからか?裁判官が判決を覆したくないからか?

 

 冤罪の問題を考えるにあたって、いつも疑問に思う。