小林和彦『ボクには世界がこう見えていた』(新潮文庫、2011年)を読了した。
抽象的で主観的な思考を客観視していることから、読むのに少々、てこずった。
難解な部分が少なくないため、誤解している箇所があちこちにあると思われる。
統合失調症の患者が自分の状態を客観的に捉えているため、精神医学に貴重なものと思われる。
小林氏は合計4回にわたり、精神科に入院している。
その一回目の入院に至る精神の高揚とそのカタストロフィーを中心としている。
同氏はアニメ制作会社で働き、ある時期を境に精神が高揚し始める。
この頃から、世界のすべてが自分にメッセージを送っていると思い始める。
難解な書物を読んでは誰かに議論を吹っかけたり、言い負かしたりする。
また、人類は皆、繋がっているという経験(妄想?)をする。
この経験により、他人からのテレパシーを送受信し始める。
とんねるずの木梨憲武とテレパシーのやりとりをしたようだ。
これは妄想ではなく本当のことだと述べているので、医者には病的に映るのだろう。
数年後、祖母の死去により再び精神が高揚し始め、ある部分で再び均衡が崩れる。
私は躁や妄想、幻聴、死にそうになる不安を経験していないため、部分的にしか読めていない。
感想らしいことは書けないのがもどかしい。
一読することをおすすめしたい。