古本 | 抑鬱亭日乗

抑鬱亭日乗

複数の精神疾患を抱える者の独言を忌憚なく収録する
傾いた視線からこの世はどのように見えるのか

 筑摩書房からかつて出版され、現在は絶版になっている本を古書店で偶然発見した。

 しかも100円で。

 需要が予想以上に少なかったのだろう。

 出版社側は絶版したままで、古書店は最安値の100円で販売する。


 英語についてのエッセイのような本である。

 一部の人間しか読まないと思われる。


 前の持ち主はどうやら、英語に興味があり購入したようだ。

 定規をあてて赤のボールペンでいたるところに下線を引いている。

 熱心な勉強家である。


 が、その人物は英語の初歩的な部分を理解していないらしい。

 重要でない部分に下線を引き、?マークがあちこちに記入されている。

 後半部分から下線は少なくなり、ついに止めたようだ。

 そして売却したのだろう。

 

 古本を読む醍醐味の一つとして、かつての所有者の痕跡を発見することが挙げられる。

 前の所有者がどう考えて本にしるしをつけたのか等、一方的に想像することが楽しい。