柴又女子大生放火殺人事件①~事件概要~ | 全曜日の考察魔~引越し版

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1996年9月9日に東京都葛飾区柴又で発生した放火殺人事件。警視庁による正式名称は「柴又三丁目女子大生殺人・放火事件」。

捜査が継続しているものの犯人は逮捕されておらず、未解決事件となっている。また、捜査特別報奨金制度(公的懸賞金制度)対象事件である。

概要

1996年9月9日午後4時半ごろ、東京都葛飾区柴又3丁目の民家より火災が発生。約2時間後に消し止められ、焼け跡から上智大学4年生の小林順子さん(当時21歳)の遺体が発見された。被害者の女子大生は2日後にアメリカへの海外留学を控えていた。遺体は口と両手を粘着テープで、両足をパンティーストッキングで縛られており、首を鋭利な刃物で刺されていたことから警察は殺人事件と断定。現場の状況や交友関係などから、顔見知りの犯行と思われた。
事件から10年経った2006年9月に、両足の縛り方が「からげ結び」という特殊な方法だったこと、現場に残されたマッチ箱の残留物から家族以外のDNAが発見されたことが公開された。
2014年9月に2階の遺体に掛けられていた布団に付着した血液から犯人と思われるDNA型が検出され、1階で発見されたマッチ箱に付着したDNA型とも一致したことが報道された。
事件の現場である被害者宅の建物は現在存在しないが、跡地には被害者の名前をつけた地蔵が祀られている。

事件前後の状況

事件発生日は、朝から雨が降ったりやんだりしており、昼過ぎから強く降り出し始め、15時0分過ぎにはさらに激しくなっていた。父親は福島に出張中、姉も仕事でおらず、家には母親と被害者の二人きりだった。15時50分少し前に被害者がトイレに行くために自室から一階に降りてきた。仕事に出かける準備をしている母親に「こんなに雨が降っていても自転車ででかけるの?」と話した。これが最後の会話になった。

  • 15:50 - 母親が仕事のために家を出る、この時玄関に鍵はかけなかった。
  • 16:15頃 - 近所の通行人によると火は出ていなかった。
  • 16:35 - 出火。
  • 16:39 - 隣家から119番通報。
  • 18:00頃 - 内部が全焼、ようやく火が消し止められる。

消防隊員が2階で被害者を発見、直ちに病院に搬送されたが、死亡が確認された。

被害者と室内の様子

  • 被害者は2階の両親の寝室で父親の布団の上で横向きに寝かされ、夏用の掛け布団を頭からかぶせられていた。布団の左右の端は体の下に挟み込まれていた。

  • 被害者は首を右側に集中して6か所刺されて出血多量で死んでいた。
  • 口には粘着テープが貼られていた。
  • 両腕も粘着テープで縛られていた。かなり抵抗したとみられる傷が手に数か所あり、その上から粘着テープが巻かれていたので両手は殺害後に縛られたと見られている。
  • 両足はストッキングでからげ結びに結ばれていた。からげ結びは造園、足場組み立て、和服着付け、舞台衣装、古紙回収、電気工事、土木関係などの業種で用いる。造園業では「かがり結び」とも呼ばれる。
  • 着衣の乱れはなかった。
  • 気管にすすが付いていなかったことから殺害後に放火したとみられる。
  • 仏壇のマッチで1階東側の6畳和室の押入れに放火されていた。
  • 1階のパソコンにも火がつけられていた。
  • 父親が普段使用しているスリッパが2階に揃えて残されていた。

凶器

  • 刃物 - 小型ナイフのような鋭利な刃物で約8センチ、刃幅約3センチとみられる。まだ見つかっていない。
  • 粘着テープ - 外部から持ち込まれ使用された。

犯人の遺留品

犯人が持ち込んで使用した粘着テープに三種類の犬の毛が付着していたことが2009年1月に判明した。被害者宅は一度も犬を飼ったことがなく、特別捜査本部は犯人が複数の犬に囲まれる生活をしていた可能性が高いとみている。
2階にある仏壇の近くにあったマッチ箱が1階玄関付近に落ちており、そこからA型の血液が採取されている。被害者も含め家族にA型の人間はいない。マッチ箱は犯人が火を付ける際、使用したとみられる。