島田紳助氏が暴力団関係者とのメールが発覚し、引退会見を開いたことからもう11年。
紳助氏が四、五年前に数度メールをやり取りした暴力団関係者というのは、ボクシング元世界チャンピオン、渡辺二郎氏なのである。
もちろん、メディア報道も解せない。紳助氏と十数年来の友人である渡辺氏との交友を黒い関係と決めつけていいのだろうか。広域暴力団幹部として警察の名簿に名前が乗っているかもしれないが、ボクシングの元世界チャンピオンである。かつて日の丸を背負って世界の頂点に立ったヒーローである。名の知れた元世界チャンピオンとのメールのやり取りを暴力団関係者との親密交際とみなすことが妥当なのであろうか。
紳助氏にも聞きたい。十数年来の友人である渡辺二郎氏とメールすることがルール違反なのであろうか。十数年来の友人ではないのか。あの時、一番重い罪を受ける、そう紳助氏は言い切った。後輩にしめしが付かないと、引退の理由を説明したが、渡辺二郎とメールしたことがそれに価するものだろうか。そもそも暴力団との関係をなぜ、自分だけが責められなければならないのかと卑屈にならないのだろうか。
かつて紳助氏は渡辺氏の裁判で情状証人として出廷している。涙ながらに、渡辺氏の情状を訴えたという。紳助氏に聞きたい。かつての情状証人として出廷した渡辺氏をヤクザといい、十数年来の友人との付き合いがはたしてルール違反に当たるだろうか。一番重い罰を受けると芸能界を引退する理由になるだろうか。
芸能界を去る前に渡辺二郎が極心連合会相談役だと警察が認定する前の話を紳助はするべきである。渡辺二郎がヤクザだと認定される前の話なら、なんのルールにも反していないではないか。
ヤクザを肯定する見識を持てとは言わない。ただ、かつての友人をヤクザだと反社会的なシンボルとして持ち上げて心が痛まないのだろうかと思ってしまう。