タニシのような眼のあいつ 4 | ゆうゆうねこの感想ブログ

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「会計ねこ子の感想ブログ」から
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内容は、本などの感想です~~


まだこの話を続けていいですか





ダメって言われても 続いてしまうのですが…






武田家の最後は






① 土屋惣蔵の「片手千人切り」に見られるような「立派な最期だった」という説と





② 「疲労と空腹でろくに抵抗もできないまま 簡単に打ち取られてしまった」という説






があると書きましたが






「笛吹川」で 深沢七郎は ①②両方を書ききっているのです







勝頼と新府城を出た 700人が半分になり 最後は50人ほどになっていったといいます






子どもに対する愛情だけで一心に そのあとについて行った 「おけいやん」は






「当たり前だ帰(けえ)るのが」と惣蔵に訴えますが

 





惣蔵は「先祖代々お館様のお蔭になって」と タニシのような目を吊り上げます






それがいいことなのかどうかは別として この時惣蔵は もはや 武田旗下の土屋昌恒という一人の侍であって 「主君に殉じる」というイデオロギーの中で死んでいくと 思い切っていたのでしょう






おけいやんに「(任務を言いつけた弟と山を下りて) 帰れ」という惣蔵は 冷静でさえあって 本当は 「弟も逃がしたい」と思っていなかったでしょうか 






そして たった一人で敵を「片手切り」しながら 惣蔵は 「藤づるが切れれば 俺もこの川に落ちるのだ」 「この川しもには(生家のある)笛吹橋があるのだ」と思っていることが書いてあるのです 






武士として死んでいこうと思い切った 惣蔵の最後を支えていたのは あの貧しい家と 家族だったのではないかと思うのです





間違っているでしょうか