働き方といじめ 2019年の教育界を問う 全国教育問題協議会 | 日本教育再生ネットワークのブログ

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若者は国の宝です。その宝を育てるのは、教育。国の将来の礎となる教育が、様々な問題を抱え、深刻な事態に陥っています。戦後の教育行政で深刻な問題点を抱える日本の教育ですが、再生へのルートマップが必要な時。様々な問題提起ができれば幸いです。

 

子供たちの未来に希望を与えたい教育再生を願う本ブログを閲覧いただき、ありがとうございます。

 

日本の教育正常化と美しい日本人の心を育む教育をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は戦後教育で大きな問題点を残している学校教育、教科書問題、教育環境の正常化(健全化)を目指し、憲法改正を推進して美しい日本人の姿を体現する教育再生を活動の指針としています。

 

今回は全国教育問題協議会の山本豊常務理事がまとめた「2019年(平成31年・令和元年)の教育界を振り返って」を紹介します。

 

 

 

2019年の教育界を振り返る

学校の働き方改革、一歩前進へ

いじめ対策が喫緊の課題に

 

全国教育問題協議会常務理事 山本豊

 

 

【教育界の現状】

 

令和元年(昨年)の教育界を振り返ると、最も注目されるのが「学校での働き方改革」における「教師の1年間変形労働時間制」導入に向けた「教員給与特例法」が改正されたことでしょう。しかし、学校の繁忙期と閑散期の時間を融通しあっても総労働時間は変わらないし、超過労働勤務手当の4%はそのまま、教員の業務を見直し、負担軽減をすることが最優先とする意見も根強いのが教育現場の声であります。


勤労者の働き方改革が叫ばれている中、「教師はブラック」とのイメージが増加し、大学卒の教職希望者が激減し、各地の教員採用試験の競争率が2割以下の県が増加しており、日本の教育の根幹に関わる大きな問題となりました。

 


さらに、教員の精神疾患による休職者も、毎年5000人を超えており、そのため教員の児童生徒に対するケアも手薄となり、多忙化に拍車をかけています。また、過去最少の児童数でありながら、小学生のいじめの件数が激増するなど、暴力行為の増加と共に問題になっています。


また、OECDにより学習達成度調査では、パソコンによる調査のためか、日本の生徒の成績が下がっており、文科省では1人1台のパソコン整備の方針を固めています。


2019年12月17日、萩生田文科大臣が、2021年1月に実施する大学入学共通テストに予定されていた、国語と数学の記述式問題の導入見送りを発表しました。また、文科省は11月にも共通テストの目玉だった英語民間試験の活用延期を決めており、大学入試改革の2本柱が失われました。今後の文科省の対応が注目されます。残念ながら、児童生徒へのわいせつ行為やセクハラで処分された教員の数は2018年度、282人と過去最多であった。

 

 

教育問題1.教師の1年単位の変形労働時間制

 

昨年12月4日に、参議院本会議で教員給与に関する特例措置法の一部を改正する法律(給特法)が可決裁しました。今回の改正により、公立学校の教員に「1年単位の変形労働時間制の導入」が可能となりました。また、教員の勤務時間の上限を示した「ガイドライン」が「指針」に格上げされました。改正給特法では、長時間労働が深刻な公立学校教員の働き方改革をすすめるため、文科大臣が業務量の適切な管理等に関する指針を策定するとともに、夏休み期間中などの休日のまとめ取りを想定し、自治体が条例を定めれば、1年単位の変形労働時間制の導入が可能となります。

 

 

◆給特法改正の背景◆


去る平成28年に文科省が実施した「教員勤務実態調査」(平成29年4月)により、小学校教諭が自宅への持ち帰り仕事の時間を含まず平日1日あたり11時間15分、中学校教諭は、平日1日当たり11時間32分働いていることが分かりました。このため、小学校教諭の33.5%、中学校教諭の57.6%が過労死ラインとされる「月80時間を超えての時間外勤務」となっている事が明らかになりました。


この結果を重視した自民党の教育再生実行本部長の桜田義孝衆議院議員が平成29年5月18日に、安倍首相に第8次提言書を提出、同6月22日にこれを踏まえ、松野博一文相が中央教育審議会に諮問、平成29年12月26日、中教審の中間報告をもとに教員の変形労働時間により休業中のまとめ取りの具体化策をまとめ、平成31年12月4日、給特法改正案が成立したのです。


第二次安倍晋三内閣が掲げた、経済政策「アベノミクス」を支えるものとして平成29年3月に内閣官房の「働き方改革推進会議」が打ち出した、働き方改革における学校の働き方改革の一つとして導入が決定されたのです。

 

教育問題2.  高校改革の動き


5月17日、安倍晋三首相の私的諮問機関である、教育再生実行会議(座長:鎌田薫、前早大総長他22人で構成)首相官邸で、第45回会議を開催し、「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革」について、安倍首相に提出しました。


提言内容


提言はAI(人工知能)やビックデータの量や質、種類、データの発生頻度、更新頻度など、先端技術の急激な発達に対応するために、全ての学生が先端技術の基礎的な素養を身に着ける必要があるとして、以下の項目の実現に向けて取り組みます。


1. 文系・理系に偏らないよう、大学入試を見直す。
2. AI人材の育成を目指し、大学校などでの関連分野の教育プログラムについて国が認定する制度を創設する。
3. 高校の教育理念に応じ、普通科の学習内容の方向性を類型化する。
4. 情報分野など変化が早い現代社会に対応するため、教科書の改訂のペースを見直す。このうち、高校普通科の改革問題では、柴山文科大臣が4月7日に中教審に諮問した「新しい時代の初等中等教育の在り方について」にも、高校普通科より専門性の高い学科に改革、再編することが盛り込まれています。
   
教育問題3.  教員の組織率の低下問題


この度、文部科学省は、平成30年10月1日現在での日本の教職員の団体加入状況(全国組織)を発表しました。※別表1、別表2、別表3(PDFファイル)参照

 

【説明】


 昭和22年、日教組が結成され、昭和33年(1958年)の団体加入率は、94.3%、その内日教組は86.3%と最高だった。ただし、その後、教職員団体全体の組織率、日教組の加入率も減少し、平成15年(2003年)には、組織加入率は49.7%で団体に加入しない教師の方が多くなり、平成30年(2018年)では、非組織者は全体の66.7%、日教組加入者率は33.3%となった。

 


◆平成30年10月1日付け発表の教職員団体の加入状況◆
  ○日教組   230294人(22.6%)
  ○全 教     36497人( 3.6%)
  ○全日教連   19750人( 1.9%)
  ○日高教      8244人( 0.8%)
  ○全管協      3737人( 0.4%)
その他の団体    41065人( 4.0%)
教職員総数、1020857人中団体加入者は、約33万9千人で、33.3%である。

 

 

 

教育問題4.増加する暴力行為

 

文部科学省は、10月17日、全国の公立小中高における平成30年度間の暴力
行為の発生状況を発表しました。それによりますと、

 

●小・中・高における暴力行為の発生件数ー72940件

●前年度に比べ9600件の増加

●児童、生徒1000人当たりの発生件数は、5.5件

●暴力行為は、小・中・高いずれも増加

 

 

 

教育問題5.いじめ件数50万件突破

 

平成25年に大津市でのいじめの自殺事件を受け創造された「いじめの防止対策推進法」は自殺や骨折など心身に大きな被害がでる「1号事態」、長期欠席を余儀なくされる「2号事態」を重大事態ととらえていますが、「1号事態」は、270件、「2号事態」も420件共に過去最多になった。平成30年の全国の小・中・高・特別養護学校で認知されたいじめは、547000件で、昨年を13万件上回った。

 

 

◆いじめとは◆


平成25年のいじめ防止対策推進法では「一定の関係がある児童・生徒による行為で、対象者が心身の苦痛を感じているもの」とあります。平成29年の文科省の定義についての基本方針では、「児童・生徒間のけんかやふざけ合いのように見える行為」であっても、当事者の児童・生徒が苦痛に感じたら「いじめ」と認知した結果、「いじめ」の件数が急激に増加した。

 

 

◆学校種別いじめ重大事態◆

重大事態とは、いじめの中でも児童・生徒に与える影響を考え①児童・生徒の生命、心身、財産に重大な被害を生じる疑いのある時②児童・生徒が相当な期間学校を欠席を余儀なくされている疑いのある時・平成30年度には、重大事態が発生した学校は585校602件発生している。

 

 

教育問題6 青少年の自殺 332人

 

 

 

 

文科省に教育施策に関する要望書を提出 全国教育問題協議会

 

一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は2月13日、文部科学省の篠原誠事務次官に「教育施策に関する要望書」を提出しました。全国教育問題協議会(全教協)は昭和52年(1977)結成以来、43年間にわたって教育正常化を目指して全国の民間人が集い、活動を展開しています。

 

以下は要望書の内容です。

 

1.日本国憲法第26条、教育基本法第4条(教育の機会均等)に基づき、大学入試に関する選抜方法について再検討し、新制度について実現に向け、取り組んでいただきたい

 

2.教員の働き方改革については、教育基本法第9条(教員)にある専門職として崇高な業務に見合った法の改正を実現していただきたい

 

3.教師の勤務条件の悪化、その他の理由で全国的に教員志望者が激減する傾向ですので教育施策の重点対策として取り組んでいただきたい

 

4.全教協は、結成以来、教育を尊重する国づくりを目指して、国を挙げて「教育の日」の制定を希望します。

 

5.日本国憲法第21条(表現の自由)と12条(濫用の禁止)の接点が不明確であったり、現憲法には、家庭や家庭の重要性の条文が見当たりません。これからの人づくりに対する憲法の条文改正を希望いたし、各政党へもお願いしています。このことにもご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 

 

一般社団法人・全国教育問題協議会は、いわゆる保守とか革新、右とか左と二分してとらえられがちですが、特定のイデオロギーを主張している団体ではありません。

 

日本の教育を通じて美しい国にしようと集う団体です。

 

このたび、全国教育問題協議会は同会顧問の日本教育史研究の権威である杉原誠四郎・元武蔵野大学教授の監修をたまわり、総力を挙げて「教育に関する勅語Q&A」を発刊しました。

 

一人でも多くの方々がご一読いただければ光栄です。

 

お問い合わせ、ご購読、ご注文全国教育問題協議会オフィスまで。

電話03-3263-6536 FAX03ー3264ー3829 ご注文(クリックするとご注文フォームに飛びます)

 

一般社団法人・全国教育問題協議会であなたも「美しい日本人の心」を大切にするため、一緒に「教育は国家百年の大計」「国づくりは人づくり」をやってみませんか?

 

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【いま日本の教育問題は何か】

 

昨年、一般社団法人・全国教育問題協議会は全国の役員、会員、全日本教職員連盟の役員など400名を対象にアンケート調査を実施し、その結果は下記の通りでした。数字は関心の高い順です。

 

■学校教育
1 道徳教育の欠落
2 いじめの多発化
3 教員の反体制運動
4 教科書の採択
5 ジェンダーフリー運動

 

■教育環境
1 家庭の教育力の低下
2 性情報の氾濫
3 スマートフォンの乱用
4 対教師暴力の増加
5 教育行政の形骸化

 

■社会風潮
1 偏向するマスコミ報道
2 親の教育観の欠落
3 忙しすぎる教員勤務
4 不完全な日本国憲法
5 教育軽視の風潮

 

全国教育問題協議会は「人づくりなくして国づくりなし」をモットーに日本の教育正常化を目指して結成して41年となる一般社団法人です。

 

 

 

 

◆一般社団法人・全国教育問題協議会 (全教協)は昭和52年に結成され、40年以上、要望活動、提言活動、研究活動、情報宣伝活動をしている「美しい日本人の心を育てる教育」を推進する民間人による全国組織です。

 

とくに自民党の教育公約について「青少年健全育成基本法」の制定実現を核に要望しました。

 

 

【教育問題についての要望書】

 ■青少年健全育成基本法の制定

■教員の政治的中立の徹底をはかり、教員の過剰な政治活動に罰則規定を設ける

■教育長を教育委員会の責任者とし、教育委員会制度を抜本改革する
■教科書検定基準を抜本改善し、近隣諸国条項を見直す
■道徳教育の徹底を図り、道徳教育の教科化を実現する


【文教予算ならびに税制改正に関する要望書】

■教育への支出を未来への先行投資として文教関連予算を確保する

■義務教育費の全額国庫負担制度の実現

■児童・成都の学級定数の改善と教職員定数の改善

■いじめ防止対策法に関する財政措置を講じる

■新しい教科書発刊の際、見本本の配布費用は国庫負担にする

■教育・文科・スポーツ介護などのボランティア活動に対する寄付行為に対し、税控除の対象とする

■教員(公務員)への締結権を与えたり、人事院を廃止することに反対する

日本の教育再生を目指す一般社団法人・全国教育問題協議会(全教協) の活動に参加したい一般の方々、法人の方々は随時入会可能です。入会したい方はお申し込み下さい(←ここをクリック)

 

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