教職員の勤務のあり方 変形労働時間制の問題点 | 日本教育再生ネットワークのブログ

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若者は国の宝です。その宝を育てるのは、教育。国の将来の礎となる教育が、様々な問題を抱え、深刻な事態に陥っています。戦後の教育行政で深刻な問題点を抱える日本の教育ですが、再生へのルートマップが必要な時。様々な問題提起ができれば幸いです。

 

子供たちの未来に希望を与えたい教育再生を願う本ブログを閲覧いただき、ありがとうございます。

 

日本の教育正常化と美しい日本人の心を育む教育をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は戦後教育で大きな問題点を残している学校教育、教科書問題、教育環境の正常化(健全化)を目指し、憲法改正を推進して美しい日本人の姿を体現する教育再生を活動の指針としています。

 

今回は教職員の勤務のあり方が「変形労働時間制」として法律制定された内容と課題について全国教育問題協議会の山本豊常務理事の綴った解説内容を紹介します。

 

教職員の勤務のあり方が変わります
変形労働時間の内容と問題点

 

 

全国教育問題協議会 山本豊常務理事(栃木県)

 

令和元年12月4日、公立の義務教育諸学校の教職員の働き方を改革するため、文部科学省が国会に提案していた所謂「変形労働時間制」に関する法律が国会において可決されました。

 

その結果、いつも忙しくて中々休暇を取ることが出来ない教職員が、子供たちが休む夏休みや閉校時を利用してまとめて休暇を取ることが出来るようになります。

 

1. このような動きが起こって来たわけ


(1) 安倍晋三首相の熱き想い


日本の生産年齢は、15歳から65歳までの年齢を言いますが、日本では15歳から22歳は就学しているので、平成10年に約7000万人だった働く人があと10年後の2030年には、約800万人減少する予想が統計で示されました。

 

安倍晋三首相は、かねてから労働力の減少を見通して高齢者や女性の一層の社会進出を目指す政策として「一億総活躍社会」の実現のための働き方改革の具体化を図りました。


そのために「医療」「教育」「運輸」といった過重労働の改革に取り組んでおり、今回は教職員の働き方の改善を図ったのです。

 

 

 

 

 

(2) 教職員の過労死を防ぐため


教育現場からの要望に加え文部科学省は2016年(平成28年)に全国の公立小中学校の教職員の勤務の実態調査をした結果、小学校で30%、中学校で60%の教員が過労死ラインである月80時間を超える超過勤務をしていることがわかりました。

 

つまり小学校1日の就業時間は11時間15分、中学校は11時間32分で法律で決まっている1日7時間45分を1日約3時間も上回っていることが判明し、教職員の超過勤務が、永年野放しになっていることが実証されました。


義務教育諸学校に勤務する学校が、まさにブラック企業と言われる所以になってしまい、社会問題となった。
 

 

 

 

 

 

(3) 実った歴代文部科学大臣の取り組み


平成29年(2017年)6月当時の松野文部科学大臣は、中央教育審議会に学校における働き方改革について意見の集約を求めました。平成14年(2002年)に学校が週5日制になった時、授業時数はそのままで土曜日を休日となったため、平日の教員の負担が増大し、教員の長時間勤務の原因になったこと、過酷な勤務を敬遠して教員志望者が減少したこと、超過勤務のため、教員の意欲の低下の傾向になることを勘案して継続して中央教育審議会において検討してきました。


その結果、平成31年(2019年)1月25日に柴山文科大臣に答申され、令和元年(2019年)萩生田文科大臣が就任し国会において教員の働き方改革の具体策として変形労働時間制が可決されました。

 

 

 



2. 賛成意見を発表した全日教連、郡司委員長の見解


教育の正常化を目指して活動している全日本教職員連盟、郡司委員長は、次のように見解を述べましたので箇条書きにまとめました。
 

(1) 給特法改正により無制限だった在校等時間が上限時間として月45時間、年360時間以内となり現状に比べると大幅に改善されたことを評価したい。


(2) 給特法の改正を機会に夏休み、冬休みでのまとめ取り、各種研修の改善など、これを機に年間を通しての業務の見つめ直しをつける工夫を取り組むチャンスとして捉えたい。


(3) 給特法の改正を機に、新しい時代を生きる子供たちを育成する教職員がこれからの学校教育を見つめ直し、自らを高めるために業務内容を改善すると共に様々な経験を積み、心身共にリフレッシュする機会として捉えることが大切です。

 

(4) 私達教職員は、専門職として、また教育現場の責任者としての自覚を持ち、文科省、教育委員会と力を合わせ保護者や地域社会の理解と協力を得ながら、より充実した学校教育を求めて取り組むための第一歩としてこの度の給特法の改正を捉えたい。

 


 


3. 残される問題点


(1)  戦後日本の教職員は20年間待遇が据え置かれていました。残業手当をはじめ、部活動指導手当、管理職手当など諸手当は一切支給されていなかった。昭和47年(1972年)教員給与特別措置法(給特法)が施行され、当時の教職員に、一律月8時間の残業手当として月給の4%が支給されました。それから42年たった今、教育現場は、月80時間超過勤務が現実となっていますが、今回の答申には、全然触れていないことに不満であることが本音でありましょう。


(2) 文部科学省の調査によると、いじめ発生50万件、高校中退5万人、小学生の校内暴力の増加、全国の教師5000人が精神疾患による病気休職者が現実であります。また中学校の部活動職務に左右される小学校の勤務、管理職の無理解による管理強化を直視せずに変形労働時間のみにもし頼るとなると、この問題は解決しません。教育現場の実態に基き人材確保・文教予算の確保という視点に立って取り組まなければ解決されないと痛感します。

 


(3) 子供のためであれば勤務時間が少々超過しても日本の教師は不満を言いません。教師は、崇高な職業であるという使命感を持っているのが日本の教師でありましょう。しかし、日本の教師観、行政の教師観は、教師が労働者なのか、専門職なのか、特別職なのか、単なる公務員なのか法的には不明確であり、このままでは、教育の正常化は不可能と言えましょう。

 

 

【山本豊(やまもと・ゆたか)】


栃木県宇都宮市出身。宇都宮大学学芸学部を卒業後、20年間、栃木県内の小中学校の教諭を務める。その後、栃木県教職員協議会に所属し、日本教職員連盟副委員長や後に結成された全日本教職員連盟委員長、日本教育文化研究所理事長などを歴任。その間、教員の身分、地位向上を目指す人材確保法の成立や「美しい日本人の心を育てる教育の創造」に向けた国旗・国歌法の制定に向けた運動にも尽力する。平成28年、長年にわたり学校教育の充実発展に尽力し、文部科学大臣表彰を受ける。現在、一般社団法人・全国教育問題協議会常任理事、財団法人・教職員福祉財団参与として全国で講演活動に取り組むなど、多様な年齢層の保護者や現場の教職員への支援、啓発活動に取り組んでいる。

 

 

 

 

一般社団法人・全国教育問題協議会は、いわゆる保守とか革新、右とか左と二分してとらえられがちですが、特定のイデオロギーを主張している団体ではありません。

 

日本の教育を通じて美しい国にしようと集う団体です。

 

このたび、全国教育問題協議会は同会顧問の日本教育史研究の権威である杉原誠四郎・元武蔵野大学教授の監修をたまわり、総力を挙げて「教育に関する勅語Q&A」を発刊しました。

 

一人でも多くの方々がご一読いただければ光栄です。

 

お問い合わせ、ご購読、ご注文全国教育問題協議会オフィスまで。

電話03-3263-6536 FAX03ー3264ー3829 ご注文(クリックするとご注文フォームに飛びます)

 

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【いま日本の教育問題は何か】

 

昨年、一般社団法人・全国教育問題協議会は全国の役員、会員、全日本教職員連盟の役員など400名を対象にアンケート調査を実施し、その結果は下記の通りでした。数字は関心の高い順です。

 

■学校教育
1 道徳教育の欠落
2 いじめの多発化
3 教員の反体制運動
4 教科書の採択
5 ジェンダーフリー運動

 

■教育環境
1 家庭の教育力の低下
2 性情報の氾濫
3 スマートフォンの乱用
4 対教師暴力の増加
5 教育行政の形骸化

 

■社会風潮
1 偏向するマスコミ報道
2 親の教育観の欠落
3 忙しすぎる教員勤務
4 不完全な日本国憲法
5 教育軽視の風潮

 

全国教育問題協議会は「人づくりなくして国づくりなし」をモットーに日本の教育正常化を目指して結成して41年となる一般社団法人です。

 

 

 

 

◆一般社団法人・全国教育問題協議会 (全教協)は昭和52年に結成され、40年以上、要望活動、提言活動、研究活動、情報宣伝活動をしている「美しい日本人の心を育てる教育」を推進する民間人による全国組織です。

 

とくに自民党の教育公約について「青少年健全育成基本法」の制定実現を核に要望しました。

 

 

【教育問題についての要望書】

 ■青少年健全育成基本法の制定

■教員の政治的中立の徹底をはかり、教員の過剰な政治活動に罰則規定を設ける

■教育長を教育委員会の責任者とし、教育委員会制度を抜本改革する
■教科書検定基準を抜本改善し、近隣諸国条項を見直す
■道徳教育の徹底を図り、道徳教育の教科化を実現する


【文教予算ならびに税制改正に関する要望書】

■教育への支出を未来への先行投資として文教関連予算を確保する

■義務教育費の全額国庫負担制度の実現

■児童・成都の学級定数の改善と教職員定数の改善

■いじめ防止対策法に関する財政措置を講じる

■新しい教科書発刊の際、見本本の配布費用は国庫負担にする

■教育・文科・スポーツ介護などのボランティア活動に対する寄付行為に対し、税控除の対象とする

■教員(公務員)への締結権を与えたり、人事院を廃止することに反対する

日本の教育再生を目指す一般社団法人・全国教育問題協議会(全教協) の活動に参加したい一般の方々、法人の方々は随時入会可能です。入会したい方はお申し込み下さい(←ここをクリック)

 

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