教師は労働者なのか? 法律でまちまちな教師像 | 日本教育再生ネットワークのブログ

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若者は国の宝です。その宝を育てるのは、教育。国の将来の礎となる教育が、様々な問題を抱え、深刻な事態に陥っています。戦後の教育行政で深刻な問題点を抱える日本の教育ですが、再生へのルートマップが必要な時。様々な問題提起ができれば幸いです。

教師は労働者なのか? 法律でまちまちな教師像
特別寄稿 全国教育問題協議会 山本豊常務理事

 

子供たちの未来に希望を与えたい教育再生を願う本ブログを閲覧いただき、ありがとうございます。

 

日本の教育正常化をめざす一般社団法人・全国教育問題協議会(中尾建三理事長)は長年、教育改革に関する提言を行い、美しい日本の心を育てる教育実現に向けて手弁当で活動してきました。

 

その中心となっているのが、長年、全国教育問題協議会で基礎を築いてきた山本豊常務理事です。

 

今回は、山本豊氏の「教師は労働者なのか? 法律でまちまちな教師像」というタイトルの特別寄稿を以下、紹介します。

 

 

法律によってまちまちな教師像

 

自民党は教師を「聖職」といい、社民党は「労働者」、公明党は「使命職」、共産党は「教育労働者」または「一面聖職労働者」など、各政党の教師像はまちまち。

 

それぞれ自党の考えをそれなりに語っているだけで、格別に「教師とは何か」を客観的に明らかにしたわけではありません。

 

それどころか、教師とは何かをますます分かりにくいものにしています。

 

 

わかりにくいのは呼名ばかりではありません。法律上、教師の性格は一層わかりにくくなっています。法律上、教師の呼称はいろいろあり、どの呼称が教師の「身分」にふさわしいか、さっぱりわかりません。

 

教師の呼称が関係各法律によって、どのような呼称になっているか調べてみました(下表参照)

 

このように、教師の法律の呼び名も乱雑を極めており、他の職種には見られません。

 

 

たとえば、「教育基本法」 では、教師は「教員」と呼ばれますが、「学校教育法」では「教諭」と言われます。

 

また、「定数基準法」では「教職員」といい、「教育公務員特別法」ではもちろん「教育公務員」で「免許法」では「教育職員」と言われ、さらにこの上に「教員(公務員法)」「労働者(労働基準法)」「勤労者(憲法)」などといった呼び名が加わります。

 

法律上の呼び名がこのように多種多様な職種はほかにはありません。

 

 

戦後、教師を見る目がいかに錯乱しているかを物語っています。

 

なお、「教師」というのは俗語であって法律用語ではありません。

 

教師は労働者なのか

 

教師は「労働基準法」の上では、第八条第十二項で、教師を「教育・研究または調査の事業」に従事する「労働者」としていますが、「労働組合法」は適用されないから実質、労働者とは言い難い。

 

かと思えば、「国家公務員法」または「地方公務員法」では争議権はないものの団結権および団体交渉権(ただし、協約締結権はない)は保障されているといった具合で、結局、教師は「労働者」であるのかないのか、法律上では、さっぱり、要領を得ないのが現状です。

 

現に、敗戦後、日教組は「教師は労働者である」と綱領に謳ったばかりでなく、政府も日教組、その他の教員組合を労働組合としてきて処遇してきたし、私立学校の教員の団体は現在、「労働組合」を結成することを認めております。

 

 

教師を労働者とする考えは、日本を占領したアメリカ軍の教師像でした。

 

アメリカ教育視察団の勧告の中にも「教員組合(労働組合)」も含めて、あらゆる種類の教師の団体は、その結成を許されるべきだ」と述べています。

 

占領軍が敗戦後の日本の教師の処置に関する諸法律は、この勧告の趣旨に基づいて作成された背景から、日教組の結成、綱領は、アメリカ軍の手によって作られたと言っても過言ではないといえます。

 

最も、教師を労働者とする思想は、欧米では当たり前であったかもしれません。

 

もともと「教師」を意味する古語ペタゴギーのもとの意味は「教僕」です。

 

古来、西欧では、教師は雇われて、子どもたちの面倒を見る奴隷でした。

 

「奴隷」または「しもべ」から「労働者」へという意識の転移はきわめて容易であり、教師を労働者とする考えには、そんなに抵抗はなかったのです。

 

 

イギリスでは、「教師は黒服の労働者」と言われたし、教師は労働者と割り切っているアメリカの教師たちには、「その労働力を時計で計って売る(マルクス)」ことは何の疑問も持たず、登校すれば必ずタイムカードに登校時刻を記録しているのでしょう。

 

日本の場合、いまもなお東洋思想が生きており、教師に対しての期待と信頼が日本の国民の心に残っています。口では「教師は労働者」と言い張る日教組の組合員にも、頭の中の思想と身についた伝統には落差があり、日本の学校には、いまだにタイムカードはないし、要求もしないようだ。

 

教師の法制上の地位確立が必要

 

最近は、行使の争議行為も以前と比べて少なくなったが、現状のような雑多な法律の教師への適用は、教師はもとより、司法の判断を動揺させ、子どもたちの教育を一層荒廃させてしまう要因になることは事実でしょう。

 

少なくとも、法律上の教師の地位だけでも明確にし、教師たちに疑問の余地のない行動指針を示す時が到来していると考えます。

 

 

いま一般化している教師への俗称である「教師」および「先生」に最も感覚的に近い呼称は「聖職」と思われますが、これは①神仏に仕える職業、②キリスト教の宣教師や牧師などの僧職とまぎらわしく、教師たちが「学習指導の技術者」であるという一面を見失わせてしまいます。

 

といって、「階級的視点を明確にした教育労働者」などと言うのは国民感情にはなじみません。

 

 

とすれば、教師を「専門職」とするのが最も妥当で、この見方には充分に国際性があり、ユネスコ、ILOなども、この呼称を使っていますから適当であると思います。

 

教師は当然、教育に関する知識、技能の専門家でなければなりませんが、それとともに、「自己」の職務内容を自律的に確立し得る「自由」を持たなければなりません。このことこそが「専門職」の真の意味であり、学校教育法第二十八条が示す「教諭は児童の教育を掌る」との意味を表現したものと思われます。

 

もちろん、自由には当然、責任が伴いますが。

 

 

以上のような教師観を国民共通のものとして定着させるために、最終的には、やはり、「教職員法(教師と学校事務などを処理する職員、その他の職員のための法律)」の立法が必要であります。

 

この法律には、①教職員の身分②給与③免許④服務⑤定数⑥教職員団体など一切を包含し、この法律を立法することによって、教職員の地位を明確にすると同時に、二十一世紀の新しい教職員団体のあり方を国民に問うことになります。

 

教員は労働者なのか、地方公務員なのか。それとも、全体の奉仕者なのかといった曖昧な戦後の教師観にピリオドを打つことは必ずや国民各層の支持を得られ、教育界の活性化を図ることになることと確信いたします。


【「教員」との呼称で表記した関係法律】

 

教員基本法、学校教育法、高等学校設置基準、大学設置基準、理科教育振興法、産業教育振興法、高等学校の定時制教育及び通信教育振興法、僻地教育振興法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、私立学校法、教育公務員特別法

 

【「教職員」との呼称で表記した関係法律】

 

公立義務教育諸学校の学校編成及び教職員定数の標準に関する法律、公立高等学校設置適性配置及び教職員定数の標準に関する法律

 

【「教育職員」との呼称で表記した関係法律】

 

義務教育諸学校における教育の政治的中立に関する臨時措置法、教育職員免許法、女子教育職員の出産に際しての補助教育職員の確保に関する法律

 

【「教育公務員」との呼称で表記した関係法律】

 

教育公務員特例法

 

【「学校の職員」との呼称で表記した関係法律】

 

学校保健法、結核予防法

 

【「職員」との呼称で表記した関係法律】

 

地方公務員法、国家公務員法

 

【「労働者」との呼称で表記した関係法律】

 

労働基準法

 

【「勤労者」との呼称で表記した関係法律】

 

憲法

 

【「全体の奉仕者」との呼称で表記した関係法律】

 

教育基本法

 

天下り法令違反の解職人物、なぜ公立中で授業?
森友学園、前川前事務次官問題の本質を衝く
全国教育問題協議会が意見表明
 

篭池問題で混沌とする平成30年2月26日、名古屋市立八王子中学校において講師に前文科省事務次官の前川喜平氏を迎え、生徒を対象に授業を実施したニュースが報道されました。

 

この前川喜平という方は昨年、文科省職員の天下り問題について、違法行為の責任を与野党の国会議員から糾弾されて解職された方で、解職後は森友・加計問題について事務次官としての責任ある立場にあったにもかかわらず、一転、安倍内閣に対し、反旗を翻し、文科省OBで現京都造形芸術大学教授と連携して安倍内閣批判の急先鋒となって日本各地で教育後援活動を行っている人物です。

 

いま国会では、森友学園問題の真相、財務省の公式文書の書き換えの真相について国民の疑問に正しく明確に伝えるべく、前国税庁長官だった佐川宣寿氏の証人喚問を行っていますが、前川喜平氏の公立中学校の授業事件がたまたま起こりました。

 

野党の一部やマスメディアは、この事件を自民党文教関係議員の政治的圧力の行使であり、教育への不当な支配であり、財務省と同様、文科省の官僚の政治家に対する忖度疑惑と決めつけ、マスコミ、一部の市民団体、野党の方々がそれぞれの方法で財務省、文科省、安倍内閣に対する責任追及に躍起になっているニュースを報道していますが、わたくしたち全国教育問題協議会(全教協)は、この機にあたり、教育の正常化を目指して取り組んでいく姿勢を堅持し、是々非々の視点から率直に提言いたします。

 

私たちは、森友学園問題と前川事件は日本の未来の国づくり、人づくりに影を落としかねない課題としてとらえ、課題の解決に向けて最大限の知恵と努力を惜しみなく取り組む所存です。どうぞ、よろしくご高察下さい。

 

平成30年4月 

 

一般社団法人・全国教育問題協議会 理事長 中尾健三

 

 

国会混乱、早期収拾で教育正常化へ全力を
与党は慎重かつ毅然たる姿勢示せ

全国教育問題協議会の意見書

 

一、いま国会では山積する難題の審議を棚上げし、国有地の払い下げ問題にプラスして最近、国会議員の学校教育への政治介入を問題として混乱しています。国民に真相の究明を理由にして各政党、マスメディア、イデオロギー集団、また、共産党、社民党ほかの野党は拘置所に入所している篭池被告への訪問など、それぞれが手練手管を駆使して喧伝しています。

 

なぜ、一部の勢力は日本の未来を築く重要な課題を避け、異常なまでの組織的活動を展開するのでしょうか。全教協として意見を集約し、理由の核心をまとめました。

 

その理由は森友学園への教育方針に感動した安倍昭恵夫人、解職された前川喜平本文部事務次官の政府に対する怨念を利用し、憲法改正や電波改革に挑む安倍政権を貶め、自民党政権、そして、日本の現体制の崩壊をもくろんでの活動の狙いがあります。

 

この機に当たり、与党は結束して自身を持って慎重かつ毅然たる姿勢を示して下さい。

 

一、自民党文教委員の一人である池田佳隆氏が「文科省に連絡したのは地元の皆様からの「なぜ今、前川氏か」との声があり、そのような懸念があれば、その懸念を文科省に届けるのは当然、国会議員の義務である」との理由を述べています。その姿勢は当然であり、支持します。ただ、組織としての行動ですので、行政と党が連絡を密にしての活動をご期待申し上げます。

 

一、教育への政治的介入について前川氏は、今回の件について不当介入と述べています。教育は、最終的には国が責任を担うのであり、今回の対応は、不当介入の範囲ではありません。以前、民主党政権の幹事長であった輿石東氏は、民主党政権時代に、日教組の新年会の挨拶で「教育の政治的中立性はあり得ない」と公言しましたが、当時、与党の民主党も、マスコミも、ほどんど取り上げなかったのは、なぜなのでしょうか。

 

一、不可思議なのは、天下り事件の法令違反を犯し、解職された人物をなぜ、八王子中学校校長、名古屋市教育委員会は生徒への授業として行わせたのか、私立学校ではなく、公立の中学校で開いたその真因は何か疑問です。

 

いくらなんでも、いくらなんでも前川さん、おかしいよ

 

全教協副理事長 恒﨑賢仁

 

 

①面従腹背(表面だけは服従するように見せかけているが内心では反対すること)が人生訓で文科省トップの立場で天下りの斡旋をして解職され、8000万円の退職金を受け取り、平気な顔で安倍政権の倒閣デモに参加する方。

 

②北朝鮮の日本人拉致事件に関わった朝鮮総連との深い関係や朝鮮学校での教育内容を無視して朝鮮学校の無償化を推進した方。

 

③東日本大震災の大川小学校の悲劇の真相究明を隠ぺいしようとした方

 

④売春の交渉といわれている出会い系バーに行って、貧困女子の調査などとウソの言い訳をする方

 

⑤前川喜平氏は「教育基本法16条に文科省の学校への調査要請は不当」と言っていますが、どこが不当なの?

 

⑥「教育の中立性が大切」と言う中、日教組の偏向教育、自虐史観教育、天皇制批判、国歌君が代の批判こそ問題視すべきです。

 

⑦国民と国会議員には教育内容を監視する義務と権利があります。前川問題で文科省に確認した自民党文教科学部会に所属する赤池誠章氏と池田佳隆議員は何も間違ったこともしていないので言い訳などせずに堂々として意見を述べて下さい。

 

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◆一般社団法人・全国教育問題協議会 (全教協)は昭和52年に結成され、40年以上、要望活動、提言活動、研究活動、情報宣伝活動をしている「美しい日本人の心を育てる教育」を推進する民間人による全国組織です。

とくに自民党の教育公約について「青少年健全育成基本法」の制定実現を核に要望しました。以下が要望内容の要旨です。

 

 

【教育問題についての要望書】

■青少年健全育成基本法の制定

■教員の政治的中立の徹底をはかり、教員の過剰な政治活動に罰則規定を設ける

■教育長を教育委員会の責任者とし、教育委員会制度を抜本改革する
■教科書検定基準を抜本改善し、近隣諸国条項を見直す
■道徳教育の徹底を図り、道徳教育の教科化を実現する


 

【文教予算ならびに税制改正に関する要望書】

■教育への支出を未来への先行投資として文教関連予算を確保する

■義務教育費の全額国庫負担制度の実現

■児童・成都の学級定数の改善と教職員定数の改善

■いじめ防止対策法に関する財政措置を講じる

■新しい教科書発刊の際、見本本の配布費用は国庫負担にする

■教育・文科・スポーツ介護などのボランティア活動に対する寄付行為に対し、税控除の対象とする

■教員(公務員)への締結権を与えたり、人事院を廃止することに反対する

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