小池龍之介の魔境 1 | ぽっぽのブログ

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綴ることなく綴りゆき、やがて想う果て、彼方へ消えゆく定めの声か



先日知ったのだが小池龍之介が魔境に入っていたようだ。



小池龍之介の著書は初期のものを二冊持っている。ヴィパッサナー系統に属するであろう瞑想と日常におけるその応用についてわかりやすく記されているので、瞑想の初心者には良い手引きとなるような内容であり、私自身小池龍之介のことは良い仏僧だなと思っていた。



しかしそれ以降の著書は内容に変わりばえがないように思えたので読んでおらず彼の近況については全く知らなかった。



どうやら彼は去年あたりから「もうすぐ解脱する」と語り始め、最終的に全てを捨てて路上生活に入り、そこで旅をしながら瞑想をして、最終的な解脱を成就しようとしていたらしい。



また彼はある時点から自分や他者の過去生についても語り始め、壮大な妄想のストーリーに取り憑かれていたようだ(本人談)。それらのことは彼が懺悔と称している録音に肉声で語られている。



彼はいざ放浪の瞑想修行の旅に出ると、今まで自覚していなかった自分の様々な煩悩が吹き溢れてきたという。そして遂には全く瞑想ができなくなり、非常に苦しい状態になり、旅を途中で切り上げて帰ってきた。



そこで彼は自分が思っていたほどには高い境地に至っていなかったことを知り、それまでに語った過去生などについての話も誇大妄想であったとして、懺悔の録音を公表した。



私はその録音を全て聴いてみたが、興味深い内容であった。彼が魔境に入っていたのは間違いないだろう。しかしそれを自覚できて、尚且つそれを公表して謝罪したのは善いことだと思う。



彼は懺悔において「瞑想を教えたり、本を書いたり、講演することを一切やめて、還俗し、これからは一般市民として生きながら、一人静かに瞑想を修行してゆくつもりだ」と語っていた。



しかし結局それは取り止めて、瞑想道場のようなものは続けることにしたようだ。ただそれは「他者と一緒に等しい立場から共に瞑想を修行してゆく」というスタンスに変えてゆくとのこと。つまり「先生」みたいな立場はもう取らないと。



何というか色々と惜しい人だなと私は思った。